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4人の夏

第7話 - 7話莉音と麗華の賭け

2020年07月15日

#恋愛

#学園

#スポーツ

#高校生の恋

#1位と2位

#過去

霧夜

久我莉音

おはよう

藤宮大（MASARU）

おはよ

藤宮大（MASARU）

なあ、いつ告白するんだよ？

久我莉音

…

久我莉音

まだ先

藤宮大（MASARU）

それもう5回ぐらい聞いたんだけど？

久我莉音

俺にも考えがあるからね

藤宮大（MASARU）

…

藤宮大（MASARU）

その考えって？

藤宮大（MASARU）

なあ、いつまでもあいつに告白しないなら俺が取るぞ

藤宮大（MASARU）

俺の気が変わる前にさっさと…

久我莉音

うるさい

藤宮大（MASARU）

！？

久我莉音

お前に力石は渡さないし、お前じゃ無理だから

久我莉音

俺は本気だよ

藤宮大（MASARU）

わ、わかったから

藤宮大（MASARU）

とりあえず胸ぐらつかんでる手を離してくれ

久我莉音

見たらわかるよ

久我莉音

今日、決行予定だし

藤宮大（MASARU）

？

力石麗華

ねえ、久我

力石麗華

この紙切れは何？

久我莉音

紙切れだなんて失礼だな

久我莉音

ちゃんと丁寧に書いたでしょ、どこで何をやるか

力石麗華

そんなことは見たらわかる

力石麗華

体育館でバスケをしてどうしろっていうのよ？

久我莉音

じゃあ、一気に言っちゃおうか

バン！！！！！！

力石麗華

！？

布施都

な、何？なんで急に机を…？

久我莉音

ちょっと教室のみんな、聞いてよ

久我莉音

今日の放課後、力石さんと一体一でバスケの試合をするから

久我莉音

みんな、見に来てね

力石麗華

何を勝手に…！

久我莉音

あ、ちなみに負けた方は買った方のお願いを必ず受け入れること

久我莉音

一言で言うと「賭け」かな

布施都

久我君、賭けをして何がしたいの？

久我莉音

そんなの今言ったらつまらないじゃん

久我莉音

ぜひ見に来てよ、ね？力石さん？

力石麗華

…

布施都

もうすぐ約束の時間だよ、麗華

布施都

大丈夫？気分悪いとかない？

力石麗華

私の事は心配しなくていいから

力石麗華

あんたは落ち着いてなさい

力石麗華

もう着替えるのもめんどくさいし、スカートの下にジャージでいいや

力石麗華

行こう、都

布施都

う、うん

布施都

（きっと、私は麗華を心配しているんじゃない）

布施都

（麗華がまた、莉音君に近づいていくのを、見たくないだけ）

布施都

（私の、ただのわがまま）

力石麗華

約束通り来たけど

久我莉音

遅いよ

久我莉音

もう人だかりできてるのに

力石麗華

知らないわそんなの

力石麗華

そもそも、あんたはバスケできるの？

久我莉音

できないわけがないでしょ

久我莉音

この日のために、訓練したんだから

莉音は3ポイント地点よりはるかに遠い場所からボールを投げ、見事にバスケットゴールに入れて見せた

力石麗華

…バスケ部、入ったの？

久我莉音

そうだよ

久我莉音

練習期間は短いけど、誰よりも努力してきた

久我莉音

力石さんのためにね

力石麗華

私のため？

力石麗華

ちょっとよく分からないけど

力石麗華

まあいいわ

力石麗華

先に言っておくけど

力石麗華

私は、強いよ

久我莉音

はぁ、はぁ…

力石麗華

もう終わり？

力石麗華

こんな程度で挑みに来るなんて随分私も舐められたね

久我莉音

はぁ、まだ…

久我莉音

まだだよ…！

布施都

久我君…！

藤宮大（MASARU）

行くな、布施

藤宮大（MASARU）

莉音の意志を潰す気か

布施都

…！

久我莉音

ぐぁっ！

ドン！と床に体が叩きつけられる音とともに莉音が声を上げた

莉音の体には、何ヶ所も痣がある

逆に麗華の方は無傷どころか息を上げてすらいなかった

力石麗華

ねえ、久我

力石麗華

私とやるのは、ちょっとあんたには早いよ

力石麗華

もう終わりにしよう、勝ち負けとかいらないから

久我莉音

っ！

久我莉音

（立ち上がれない）

久我莉音

（せめて、ここから一点だけでも…！）

俺は最後の力を込めてボールを投げた

ガコン！

力石麗華

！？

久我莉音

俺は…そういう言葉が一番嫌いなんだよ

そう言い残して莉音は気を失った

久我莉音

ん…？

力石麗華

お目覚めですかー、お坊ちゃま

久我莉音

げっ、力石さん…

力石麗華

げっ、てなによ

力石麗華

長々とベッド占領しておいて目覚めの一言がそれ？

久我莉音

君だって俺の事嫌味ったらしくお坊ちゃまって呼んだじゃん

久我莉音

変わらないでしょ

力石麗華

はいはい、じゃあそういうことで

久我莉音

ねえ、今何時？

力石麗華

21時ちょうど

久我莉音

は？嘘

久我莉音

なんで起こさなかったの？

力石麗華

小学生のお子様が言うようなセリフを高校生になっても言うんじゃないよ

力石麗華

早く起きたかったなら自分で起きなよ

力石麗華

てか、起きたなら早くどいて

力石麗華

私、もう寝る準備終わって眠いんだけど

久我莉音

あ、わかった

久我莉音

力石さん、こっち来てよ

力石麗華

はぁ？

何でよ？といいながらもくる力石さんの腕を掴んでベッドに抱き寄せた

力石麗華

！

力石麗華

なにすんの！

久我莉音

はいはい暴れない

久我莉音

君が寝たら行くからさ

力石麗華

や、やめ…

力石麗華

意味がわからない…し…

背中をトントンしながら頭を撫でているとすぐ眠りについた

眠るまでそう時間がかからなかったので、かなり疲れていたのだろう

久我莉音

（さ、帰るか）

藤宮大（MASARU）

え？それを昨日力石にやったのか？

久我莉音

なんか問題？

藤宮大（MASARU）

いや、問題じゃねえけど…

藤宮大（MASARU）

ふふっ、あはははは！

久我莉音

…

久我莉音

なんなの

久我莉音

超不快

藤宮大（MASARU）

悪かったって

藤宮大（MASARU）

それにしても子どもっぽいところあるんだな、あいつ

久我莉音

まあ、ある人にはあるんでしょ

久我莉音

（家族がいないってのが関係してるんだろうけどさ）

藤宮大（MASARU）

それにしても頭撫でて背中叩いてやっただけで眠るなんてなぁ…

藤宮大（MASARU）

あいつもあいつでなんかあんのかもな

久我莉音

だろうね

久我莉音

力石、今日も休み？

藤宮大（MASARU）

らしいぞ

藤宮大（MASARU）

布施が力石から電話かかってきてたらしくてさっき電話で話してた

久我莉音

ふーん

藤宮大（MASARU）

…なあ、莉音

久我莉音

なに

藤宮大（MASARU）

お前、布施と付き合ってたんだってな？

久我莉音

本人が言ったの？

藤宮大（MASARU）

ああ、この前、保健室で

久我莉音

なるほど

久我莉音

確かに、付き合ってたよ

久我莉音

1年ももたなかったけど

藤宮大（MASARU）

…なあ、布施とそれについて話したことはあるか？

久我莉音

ないよ、もう前の話だしね

久我莉音

今更振り返る必要もないんじゃない？

藤宮大（MASARU）

…布施は、話したがってるぞ

藤宮大（MASARU）

お前が、忘れられないって

久我莉音

…

久我莉音

布施さんは、今も俺が好きなの？

藤宮大（MASARU）

そういうことだよ

久我莉音

…そっか、ずっと好きでいてくれたってことか

久我莉音

布施さんには申し訳ないけど、今の俺は…

藤宮大（MASARU）

力石一択、なんだな？

久我莉音

そうだよ

久我莉音

布施さん以上に、力石が好きだから

藤宮大（MASARU）

…そうか

藤宮大（MASARU）

なら、俺はその道を応援するしかないな

藤宮大（MASARU）

莉音、しくじるなよ

藤宮大（MASARU）

そして、布施とちゃんと話し合え

久我莉音

分かってるよ

久我莉音

しつこいな

久我莉音

俺は何としてでも、力石を落とすんだから

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