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それから数日、関 哲汰の存在は 学校中の話題の中心だった。

登校すれば誰かが彼の話をしていて、 休み時間には廊下に人だかりができる。 休みの日に彼のSNSを見たっていう子が 騒いでいたし、女子たちはこぞって “接点”を探していた。

だけど、咲だけは、そんな波に乗ることなく、淡々と日々を過ごしていた。

彼と目が合うことも何度かあった。 それでも咲は、 あえて感情を出さずにすっと視線を逸らす。

女子生徒

……あの子、ちょっと冷たくない?

女子生徒

え、でもそこがミステリアスでよくない?

クラスの女子たちのそんな囁きが聞こえるたび、咲は心の中で苦笑いを浮かべていた。

(——ミステリアスじゃなくて、ただの防衛本能だってば。)

けれど、ある放課後。 教室に忘れ物を取りに戻った咲は、 ふと後ろから声をかけられた。

哲汰

君って、他の子と
ちょっと違うよね

振り向くと、そこには哲汰がいた。 制服のネクタイを緩め、 少しだけ気の抜けた表情で、 でもまっすぐに咲を見ていた。

……興味なっ……

そう答えようとして、 でも咲はなぜか言葉に詰まった。 哲汰の瞳には、好奇心でも見下しでもなく、 「本気の関心」が映っていたからだ。

哲汰

俺、名前……聞いてなかったよね。咲ちゃん、で合ってる?

……うん、小堺咲

すると彼は、ふっと微笑んだ。

哲汰

咲ちゃんってさ、自分のこと
“引き寄せてる”って思ってるでしょ?

……なに、それ

哲汰

俺も、たぶんそういうタイプ。気づけば人が寄ってくる。
でもさ、本当に近づいてくる人って、意外と少ないよね

その言葉に、咲の胸が一瞬だけざわついた。

哲汰

咲ちゃんのこと、
ちゃんと見てみたくなった。
俺だけは、ちゃんと。

それは、咲が今まで何度も言われてきた 「気のあるセリフ」とはまったく違った。

どこまでも真っ直ぐで、 どこか寂しさを知っているような、 そんな響きだった。

……やめた方がいいよ、
私、めんどくさいから

そう言って教室を出たけれど―― 心の奥に、哲汰の声が、小さく残った

……俺だけは、ちゃんと

それは、誰にも届かなかった咲の本音に、 そっと触れるような言葉だった。

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