『 泡沫のような君と。 』

流れで一緒に帰ってるけど 私は１人で帰りたい

休日もお前と一緒かよ

勝手に話進めんなし。

来てしまった、

ただ海は海でも上から 見下ろせるとこに来てみた

いつも見ていた海が少し小さく見える

ここならアイツも来ないかな、

確か台風が近づいてるとか 近づいてないとか、、、

そんなんで海も荒れていた

うざ

うざ

沈黙の中、海だけは波を休まずに 寄せたり離したりしていた

嘘つき、

いつも曖昧な答え方しやがって

そんなんで騙される程、 ばかじゃねぇっつーの

なんなんだよ。

結局、大した事も話さずに 帰ってきてしまった、

少し声のトーンを落とす お母さんを横目で見る

何の話だよ、

恋だの愛だの

お母さんの口からは毎日 そんな言葉しか出てこない

勉強とかそういう心配は無いのかよ、

ふふって微笑みながらルンルンで メイクをしていた

どうせ今日も " 男 " だ。

メイクに昨日より露出の多いワンピース

ほんと、どうにかして欲しい

少し寂しそうな顔をする

ねぇ、お母さん どうしてそんな顔するの、？

たぶん、ずっと聞きたかった

答えがどれだけ最低でも

わかっていても

パパの気持ちはまだ終わってないよ

って言って欲しかった、

お母さんと話しても苛立ちが 募るばかりだった

お母さんは浮気を認めた

頭に浮かぶ言葉をぶつける 気力も無かった

ただ苛立ちよりも哀しさが勝ってたの。

そんなダサい吐き台詞だけを残して 家を飛び出した

ねぇ、こんな時 " アンタ " ならどうしてた？

無視して部屋に篭もってた？

誰かに助けを求めてた？

それとも

私と同じように逃げ出してた、？

少し散らかった部屋は居心地が悪かった

母さんの声が遠く聞こえる

今、 " アイツ " は何をしてるだろう

飯食ってんのか

風呂入ってんのか

勉強してんのか

歩いて数秒、すぐに逢える距離なのに 物凄く遠く感じてしまう

ﾊﾞﾀﾝｯ

アイツのことを考えたら 居ても立っても居られなかった

アイツはどこにいるだろうか、

アイツによく似た女の人だった

メイクをしていて露出の多いワンピース

ツンと鼻に来る匂い

これから男にでも会うんだろうと想った

少し哀しそうに微笑む芹のお母さん

その言葉に返事はしなかった。

ごめんなさい、 俺にその約束はできないです。