鬼神丸
郷雨では特に問題は見られませんでしたね
蓮爺
そうじゃな
蓮爺
そのおかげであの村で作られた米を食べられてワシは満足しとる
鬼神丸
”さとのまい”という名のお米ですよね
蓮爺
いやはやあれほどの米は生きてく中で簡単には食えんぞ?
鬼神丸
高級品なんですね
蓮爺
また機会があれば食べたいものじゃ
鬼神丸
ですね
鬼神丸
それじゃあ一応僕達のやることは終わりましたし
鬼神丸
一度楓ノ里にと戻って報告といきますか
蓮爺
そうじゃな
クラマ
クラマ
はぁ…はぁ……
鬼神丸
鬼神丸
あれは?
蓮爺
村で会った女性じゃな
鬼神丸
なにか焦った様子でこっちに来ます
蓮爺
話を聞いてみるぞ
鬼神丸
鬼神丸
大丈夫ですか?
クラマ
クラマ
あ、あなたは………
鬼神丸
少し前にお会いした者です
鬼神丸
なにか慌てた様子でしたので…
クラマ
た、助かったわ
クラマ
実は私さっき人に化けた妖狐に会ったの
蓮爺
化け狐が出たと?
クラマ
それで私たまたまそれを見てしまって
クラマ
怖くなって逃げてきたんですけど…
クラマ
恐らく気づかれていてもうすぐそこに…
鬼神丸
分かりました僕たちに任せてください
蓮爺
化け狐となると実力者の可能性が高いぞ
蓮爺
ここはワシが出よう
鬼神丸
ですが…
蓮爺
たまにはワシも戦闘しないと
蓮爺
体が訛っちまうからのぉ
クラマ
(ちっ…この爺さんの力なんぞ私は知りとうない)
クラマ
(とはいえそれを言い出すことは出来ぬ…)
ニビ
ニビ
この辺まで逃げてったはずだが……
蓮爺
おや?
蓮爺
お主が化け狐か?
ニビ
あぁ?
クラマ
そ、そうです彼が……
ニビ
(なるほど俺は化け狐ということにしてる訳ですね)
女性を追ってやって来たその男は人型ではあるが尾てい骨付近から尻尾が生えている
ニビ
もしそうだとしたらなんだ?
蓮爺
人に化けて何をしようとしていた?
ニビ
答える必要はねぇな
ニビ
だが、俺を見たのなら仕方ねぇ
ニビ
皆殺し決定だな
蓮爺
お主にその力があるかは疑問ではあるが
蓮爺
ワシが相手しよう
ニビ
爺さんには興味ねぇな
ニビ
どうせすぐに消し飛ぶ脆い体をもってるんだ
ニビ
先にそこの若いのを出して逃げ出せばいいんじゃねぇのかァ?
ニビ
まぁ、逃げたところで無駄なんだけどな
蓮爺
ワシをただの爺さんだと侮るなかれ
クラマ
クラマ
彼じゃすぐに死んでしまいます!
クラマ
鬼神丸さんあなたがお爺さんの代わりに…
鬼神丸
大丈夫ですよ
鬼神丸
あの人見た目以上に強いですから
クラマ
(くっ…そう簡単にはいかないか)
クラマ
(どさくさに紛れてこっちに攻撃を仕掛けて欲しいが…)
クラマ
(あやつにそんな力があるかどうか……)
ニビ
ならまずは爺さんからあの世に送ってやるよ!
ニビ
妖術解放
ニビ
火属性 炎華ノ宴
無数の火球が蓮爺を囲み逃げ場をなくして一気にその火球が彼を襲う
爆破したその火球はまるで一輪の華のように綺麗に咲く
クラマ
お爺さんが!?
ニビ
まずは爺さんを仕留めた
ニビ
次はお前だ若いの!
ニビ
そこの女を守りながらはさぞ戦いずらいだろうがなぁ!?
クラマ
(あの爺さんは彼が言うほどの実力は…)
鬼神丸
僕ばっかり見てていいの?
ニビ
あ?
蓮爺
蓮爺
よそ見はいかんなぁ
ニビ
!?
しかし蓮爺の持つ杖はただの杖ではなく、いわゆる仕込み刀という代物で
この仕込み刀はその辺の鈍ら刀より切れ味は高いが耐久性は少し劣っている
炎に包んだはずの蓮爺だったがニビが一瞬目を離した隙に彼の背後に回り首筋に刃を当てる
蓮爺
歳をとって一ついい利点があってのぉ
蓮爺
こうして油断してくれる者が多くいて戦況が簡単に傾くから助かるわい
クラマ
(なにあの爺さん…)
クラマ
(炎華ノ宴は回避が難しい術のひとつ)
クラマ
(それを掻い潜って隙を着いたというの?)
クラマ
(あの爺さんは一体何者なの……)
ニビ
ジ、ジジィ……
ニビ
俺を欺くために手を抜いていたのか?
蓮爺
何を抜かすか
蓮爺
勝手にお主が手を抜いたんじゃろ?
蓮爺
この言葉を知らんか?
蓮爺
人は見た目で判断しては行けない
蓮爺
まさにいい例じゃな
ニビ
ちっ……
蓮爺
大人しくここで退散すると誓えば命は取らんぞ?
蓮爺
ワシも鬼ではないからな
蓮爺
そこの女性には申し訳ないが生かしても構わないか?
クラマ
え、えぇ……問題は無いですけど
蓮爺
彼女の温情にも感謝するんじゃな
ニビ
ニビ
ふん…
ニビ
俺はまだ諦めたわけじゃねぇ
蓮爺
なに?
ニビ
妖術解放
ニビ
火属性 火炎だるま
蓮爺
!!
その言葉の後彼の体は一気に燃え上がり、背後をとっていた蓮爺は一度距離をとる
蓮爺
自らの体を発火させるとは……
ニビ
離れたな?
ニビ
ならこのまま女共々丸焦げになりなぁ!!
クラマ
(考えたなニビ…)
クラマ
(爺さんを自分から遠ざけつつ)
クラマ
(その体でこちらに突進すればコイツが)
クラマ
(私を守るために前に出る…)
クラマ
(そうすればコイツも力を出さざるを得ない)
鬼神丸
鬼神丸
下がっててください
鬼神丸
コイツは僕が止めます!
鬼神丸
いくよ!
鬼神丸
もちろん
鬼神丸
(あの時の抜刀と同じように…)
鬼神丸
(息を整えて神経を張り巡らせれば…)
ニビ
火だるまになりなぁ!!
鬼神丸
鬼神丸
ここだ!
炎こそ出せなかったが代わりに彼の纏う炎を刀が吸収しそのまま斬り裂く
ニビ
うがぁ!?
クラマ
(炎を吸収した!?)
クラマ
(刀が炎を吸収するなど聞いたことがないぞ)
クラマ
(これもこやつの力というのか!?)
ニビ
て、てめぇ…
蓮爺
本来の相手はワシじゃぞ
ニビ
!
蓮爺
それを忘れるでない
クラマ
(ここらが潮時か…)
クラマ
(妖術解放…無属性 転移)
弱っていたニビにトドメを刺そうとした時彼の下に術式が浮かびそのまま消え去った
蓮爺
なっ!?
蓮爺
今のは……
鬼神丸
逃げられましたね
クラマ
クラマ
た、助かりました
鬼神丸
何とかなりましたね
蓮爺
あと少しではあったがな
クラマ
なんとお礼を言ったら…
鬼神丸
いえ、そんなお礼なんて
鬼神丸
僕らは当たり前の行動をしたまでです
蓮爺
そうじゃな
クラマ
それでは私は一度村に戻ります
鬼神丸
道中危険でしょうから送りますよ
蓮爺
また襲われる可能性もあるからのぉ
クラマ
何から何まですみません