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敢えて言うならメリバかも…
ニル
〔2007年12月✕日 〜1週間後〕  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ この7日間で、ここの黒い事情を嗅ぎ付けつつ 自身が変装していた天弓についての情報(←変装において重要な情報源)も仕入れた。
基本的に、天弓という少年は閉鎖的な場所に隔離されてはいるが 定期的なある一定時間だけ、自由時間が設けられるのだと分かり、その時間帯を利用して 他の情報も集めて回った。
一つの懸念とすれば、変装は完璧でも"口調"を似せる為の声を 彼が発する前に気を失わせてしまったことくらいか──────
天弓(変装中の南雲)
斎(4歳)
今日も職員らに投げ込まれても、受身を取れるくらいには手慣れてきた変装中の南雲は 薄暗い部屋内で体育座りしていた斎に向かい、柔らかく声を掛ける。
しかし、いつまで経ってもどこか汐らしく 口数が少ないのはいいとして───
仲間であるはずの彼(天弓)ではなく、"変装している僕(南雲)"を、捉えにきているような気がする
斎(4歳)
すると突如、いつもは頷くか少し言葉を返すかで終わっていた斎が自ら口を開き 真っ直ぐな目で見上げた。
斎(4歳)
斎(4歳)
天弓(変装中の南雲)
その年齢に見合わぬ声音と問で、しっかりと見据える斎
すると追い討ちをかけるように、訂正しようとしてくる彼に向かって続けた。
斎(4歳)
トドメのように言い放った言葉で、遂に折れてしまう
天弓(変装中の南雲)
天弓(変装中の南雲)
天弓(変装中の南雲)
耐え切れなくなったかのように吹き出す天弓。 それと同時に服をたくし上げ、その見慣れた姿は瞬く間に別人へと変わってしまった。
黒髪のラフマッシュに、似ても似つかぬ黒目と天弓より背高な少年──────
正体は、天弓に変装していた南雲
南雲 与市(14歳)
これまで一度も見抜かれたことが無かった変装を、このまだ幼い子にいとも容易く見破られた事実に 驚きと好奇心、少しばかりの屈辱が残り 南雲は見下ろしながら、値踏みするような視線を送る。
そんな南雲を、斎はただ静かに見上げていた
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
そういえば、借りていたのを忘れていたので そろそろ種明かしだと言わんばかりに、ベッド下の方を指差す。
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
南雲 与市(14歳)
そう言うと、いつの間にか移動させていた本物の天弓を 隠していたベッド下から引き摺り出し 南雲によって睡眠薬で眠らされ続けている彼を、そのままベッド上に寝かせた。
その扱いに斎は眉を顰めるも、言葉を信じる事しか出来ない為 首を傾げつつ、ふん…と鼻を鳴らす。
南雲 与市(14歳)
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
パシッ
正体もバレたことなので、これで身を引こうかと腰を上げた瞬間 服裾を強く掴まれる感覚と共に、思わずつんのめる南雲。
視線を落とすと、そこには僅かに泣きそうな顔を堪えるように唇を噛み締める斎が 南雲の服裾を掴み、顔を俯かせていた。
南雲 与市(14歳)
南雲 与市(14歳)
『…おいてかないで……』
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
"おいてかないで(見捨てないで)"
"ここからでたいよ(生きたいよ)"
やっとで振り絞るように零した言葉と共に、涙が頬を伝って床に落ちる。
天弓とも支え合いながら生き抜いてきた。しかし、この幼い命も風前の灯で 生きる気力もすり減り、僅かに"自由"を求めていたのだ。
自由なようで遮断され、親のレールの上を歩かされる日々を強いられた "籠の中の鳥"の南雲 物理的に何もかもが隔離・遮断され、孤独に囚われ続けた先に "あるかも分からぬ自由"を求める斎────
南雲 与市(14歳)
何か通ずるものを感じ取り、握り締められた自身の服裾を掴む斎の手に重ねると 優しく包み込んでから、目線を合わすようにしゃがんだ。
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
すると、南雲は両親から与えられていた腕時計を懐から取り出し 斎の手首に巻き付けてみた。 ちょっとぶかぶかの、しかし特別な意味を込めて────
南雲 与市(14歳)
"腕時計を僕の代わりだと思って"なんて…馬鹿なことしてるなぁ、という自覚はある。
自分らしくないや、とも───
でも、この歳で人生を諦めるのは早すぎる。 だから、なんでもよかったのだ。 生きる目的ができればなんでも、ただ少しだけ、ほんのちょっとだけ……それが僕であればいいなと思っただけ。
斎(4歳)
斎(4歳)
巻き付けられた腕時計を触っていたが、何か温かい感情が込み上げてきて 思わず声を上げて笑ってしまう。
初めて他者からの"与え物"
どんな金貨や価値のあるものより重みも何もかも、欲しかったもの全てが感じられ 目尻には涙が浮かんでいた。
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
"おにいちゃん"…?
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
"おにいちゃん"という言葉の響きの素晴らしさに、生まれて初めて気付く南雲。
思わず高揚感から斎を抱き締めると、頭を柔い手つきで撫でてからゆっくり身を離し 優しく微笑む。
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
斎(4歳)
斎(4歳)
初めて自分から、相手に純粋な問を投げ掛けた それに応じるよう、南雲は静かに頷く
南雲 与市(14歳)
斎(4歳)
ナグモ ヨイチ "南雲 与市"
その言葉を胸内で反芻すると、口元を僅かに緩ませ微笑んだ。
斎(4歳)
斎(4歳)
南雲 与市(14歳)
南雲 与市(14歳)
短い期間だったが、斎にとっても掛け替えの無い"生きる理由"が生まれ 境遇は違えど、"南雲"という新たな繋がりが出来た。
彼が出ていくのを見送り、その"いつか"に思いを馳せ待ち続ける。
しかし、いつまで経っても彼が僕を迎えに来ることはなかった。
ニル
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