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幼い頃から、ずっと入院していた。

病院はすごく退屈だった

だけど、そんな中でもお友達はできた。

けど、お友達はみんな段々いなくなっていく。

退院したり、そのまま帰らぬ人となったり。

僕はずーっと籠の中。

僕はずっと待ってるんだ。

幾千見た物語のように、僕をここから連れ出してくれるような人を…

(暇だなぁ…)

(先生のあれ…また断れなかった、)

(なんでだろう?嫌なのに…)

(…怖い。)

僕は本を取り出す。

僕のお気に入りの童話だ。

塔の上に囚われた姫が、王子様に救われる話。

(…いいなぁ、この子は。)

(僕にも…いつか、そんな人が現れれば…)

コンコン

…はーい

冬弥

失礼します。類さんいますか?

えっと…Toyaさん?

冬弥

冬弥で大丈夫です。

…冬弥さん、なぜここに?

冬弥

実は…昨日、聞いてしまって。

そう言って彼は、スマホを取り出した。

冬弥

昨日の貴方と先生の会話です。

え…?!

決定的な証拠だった。

これがあれば、解放される…?

冬弥

これを警察に出せば、きっと捕まえてくれるでしょう。

冬弥

けれど…類さんがそれを望まないのであれば、俺は何も出来ません。

……、

言わなきゃ

ちゃんと自分で言わないと、何も起きない。

変えたい、今の現状を!

……僕、は、

ずっと…嫌、だった!

お願い…冬弥さん、僕を、助けて、!!

冬弥

…分かりました。

冬弥

出来る限り精一杯、協力します。

ぁ…ありがとう、!

冬弥

類さんは安心して治療しておいて下さい。

冬弥

あの人の事は、俺がなんとかします。

う、うん!

冬弥

えっと…話してくれてありがとうございました。

冬弥

今日はもう帰ります。

冬弥

また、何かあったら連絡してください。

冬弥

これ、俺の連絡先です。

わぁ…いいの?

冬弥

はい。いつでも好きな時に連絡してください。

…ありがとう。

……冬弥さんか、、

…信用しても、いいのかな、?

初めてだった。

誰かに心配されるのは。

(みんないっつも、自分の事ばっか。)

(けど、冬弥さんは……)

……

もしかしたら…

彼が、僕を連れ出してくれる王子様なのかもしれない。

(裏切られてもいい。今回で最後。)

(これで駄目なら…諦めよう。)

あ、連絡先……

…残しておこうかな。

冬弥

……

冬弥

(き、緊張した…!)

冬弥

(何故だ?ただ協力するという話をしただけなのに…)

冬弥

(連絡先を渡されて、不快に思っただろうか…?)

冬弥

(今頃、捨てられてるかもな…)

冬弥

そうだ、この証拠を警察に持っていかないと…

冬弥

…これで、救われるといいんだが、

翌週、先生は病院からいなくなった。

先生が…辞めた?

看護婦

ええ。セクハラで訴えられたんですって。

看護婦

詳しいことは何も知らないけど…

看護婦

まさか患者にセクハラするなんてね。最低以外に言いようがないわ。

…そう、だね。

(冬弥さん…本当に警察行ってくれたんだ…!!)

(お願い…ここから連れ出して…)

看護婦

あ、そうそう、類ちゃん。

ビクッ

看護婦

頼んでた資料、やってくれた?

…うん。これで、いい?

看護婦

……あら、今回もすごく丁寧ね。

看護婦

流石類ちゃん。頭が良くて助かるわ。

ぁ…うん、ありがと、

看護婦

さて、これを院長に渡して、さっさと昇格しますか〜

看護婦

じゃあね、類ちゃん。次も頼むわ。あ、お薬はまた自分で飲んどいて。

…うん、分かった。

……はぁ、、

また…断れなかった。

資料の作成なんて…患者にやらせる事じゃないのに…

この病院での僕は、奴隷扱い。

……もう、嫌、、、

早く…退院したいよぉ、、

それが駄目なら、逃げるしかない。

(…どこへ?)

(今まで何度も考えたじゃないか。)

(けど、毎回失敗に終わった。)

この世界に、僕の居場所なんて…

(……ないよ、、)

冬弥

…ただいま。

お母さん

あら、おかえりなさい。冬弥さん。

お母さん

ご飯出来てますよ。

冬弥

ありがとうございます。いただきます。

お母さん

そうそう、お父さんがお話があるって。

冬弥

父さんが…?

冬弥

…分かりました。

コンコン

冬弥

失礼します。

春道

…冬弥か。

冬弥

あの、お話とは…?

春道

聞きたいことがある。

春道

まだストリートをしているのか?

冬弥

…いえ、今は、、

冬弥

彰人…チームメイトの欠員で、休止中です。

春道

…ピアノは?

冬弥

冬弥

(してる…なんて言って、弾いてみろと言われたら、、、)

冬弥

(俺は…父さんの満足する演奏は出来ない…)

春道

…なんとか言ったらどうだ?

冬弥

あ…いえ、、していません。

春道

…はぁ、

春道

お前はこのまま、何もしないで生きていくのか?

冬弥

それは…、!

春道

もういい。話は終わりだ。

春道

母さんが呼んでいただろう。行くといい。

冬弥

……

冬弥

失礼、しました。

お母さん

どう?冬弥さん、美味しい?

冬弥

はい。とても美味しいです。ありがとうございます。

お母さん

それは良かったわ。あと、お母さん、これから出掛けるので。

冬弥

あ…

冬弥

はい、分かりました。いってらっしゃい。

お母さん

ええ、行ってきます。

冬弥

……

冬弥

(やっぱり…この家に、俺の居場所なんて…)

ないのだろうか。

冬弥

……類さんに会いたいな。

類さんは今何してるだろう?

あのセクハラ医師もいなくなったんだ。少しは過ごしやすくなっただろうか?

冬弥

そうだ。司先輩や彰人にも会いに行かなければ…

彼らは元気だろうか。

冬弥

…また、花でも買っていくか。

続く!

貴方の美しさに触れたくて

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コメント

20

ユーザー

看護師さん…ずっと味方だと思ってたのに…!!!裏切ったな!こんにゃろう!!!((

ユーザー

冬弥の母が「冬弥さん」呼びなの、公式設定と同じでいいですね……!はぁ。看護師さんも大概だな、、 あと心理描写が儚さと生々しさがあって、やっぱりこの連載神だ。(再確認)

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