テラーノベル
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俺には、高校一年生の頃から、なんとなく気になる奴がいる。それは、隣のクラスの黒縁メガネの男子。目元まで伸ばしたサラサラな髪の毛は、まるで意図的に目元を隠すかのように流れている。授業の合間にある小休憩に覗くと、いつも大人しく席に座って黙々と本を読んでいる。少し近寄り難い雰囲気の人だ。 俺は、何度も彼を見かけた。廊下で。階段で。体育館で。校門で。どんな時も彼は一人だった。笑っているところも、誰かと連んでいるところも見たことがない。どこか寂しげで、だからなのか、なぜか気になって仕方がなかった。 彼を見かけると、なぜか目で追ってしまう。廊下ですれ違えば、振り返る。教室の窓から姿が見えれば、なんとなく目が止まる。たまたま街で見かけた日は、家に帰ってからも、なぜか彼のことを思い出した。自分でも変だと思う。 そんな気になる彼と、共に忘れられない特別な春を過ごすことになるなど当時の俺は想像すらしていなかった。
コメント
1件
読み終わりました。プロローグとしてすごく静かで、でも確かに惹きつけられる始まり方ですね。語り手が「なぜか気になる」と繰り返すことで、本人も説明できない引力みたいなものが伝わってきます。黒縁メガネの彼の孤高の佇まい——笑っているところも、誰かと連んでいるところも見たことがない——という描写が、その寂しげな雰囲気をくっきり浮かび上がらせていて、読んでいるこちらも「この二人、どうなるんだろう」と自然に次が気になりました。これからの「特別な春」が楽しみです。