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冷たい空気が肌を刺すような夜
黒く歪んだ空間の中に、蓮華は静かに跪いていた
鬼 舞 辻
その声は、静かだった
だが、その静けさの奥にあるのは怒りでも、呆れでもない
絶対的な圧
声がした瞬間、空気が膠着し、心臓が一つ脈を打つ度に全身の細胞が軋む
鬼 舞 辻
無惨の視線が蓮華を貫く
触られていないのに、心臓が指で潰されるような感覚
鬼 舞 辻
蓮華は、何も言えなかった
言い訳も、否定も、口に出来ない
ただ、無一郎の顔が、まだ瞼の裏に残っていた
鬼 舞 辻
無惨は低く言った
その声には、命を物と見る冷酷さが滲んでいる
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
蓮 華
蓮華の声は、霞のように細く掠れていた
一瞬、無惨の姿が霞に滲み、その場から消える
だが、圧だけは暫くその場に残っていた
蓮華は、何も無い空間で暫く膝をつき続けていた
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夜の町を歩く蓮華の前に、ふいに柔らかい気配が降りてきていた
現れたのは、軽やかな足取りと、やけに明るい声の男
猗窩座だった
蓮華は少しだけ顔を上げ、無言で視線を向ける
猗 窩 座
猗窩座の言葉に、蓮華は静かに頷いた
蓮 華
猗 窩 座
猗窩座は夜空を見上げながら、暫く何も言わなかった
猗 窩 座
蓮 華
蓮華がぽつりと呟く
猗 窩 座
猗 窩 座
猗窩座は笑うでもなく、真面目でもなく、その間にいるような声で言った
猗 窩 座
猗 窩 座
蓮華は、その言葉を黙って聞いていた
猗 窩 座
猗 窩 座
ふっと笑う猗窩座
その笑いに、少しだけ、救われたような気がした
蓮 華
蓮華が言うと、猗窩座は目を細めた
猗 窩 座
蓮華は小さく笑った
その笑みは、いつもの仮面ではなかった