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ワンク
≪ 天乃絵斗 side ≫
昨日よりも早めに目が覚めた気がして、時間を確認しにリビングへ来た
やはり間違っていなかった様で、普段より一時間ほど早く起きていた
その理由は容易に想像でき、恐らく母親が帰って来なかったからだ
それが特別珍しい訳でもなく、どうせ遊び歩いているだけだろう
天乃 絵斗
朝食すら用意されていなかったが、こちらとしては好都合だった
身支度を済ませ、適当に暇を潰していれば、丁度いい時間になっていた
天乃 絵斗
誰も居ない家に向かって小声で呟くと、玄関の扉をそっと開いた
家を出てから数分ほど歩いていると、不意に後ろから声をかけられる
らっだぁ
声を聞いた時点で察してはいたが、振り返ると案の定そこには彼がいた
天乃 絵斗
らっだぁ
彼とはよく通学路で会うことが多く、今も当たり前のように隣にいる
"ただの偶然"だろうし、困ることもないので気にせず過ごしているが
約二ヶ月間、今思えばいつも側に居た記憶があり、彼に少し違和感を覚えた
らっだぁ
今は授業の真っ最中だが、今朝のことを思い出して身が入らなかった
思い返すほど、何をするにも一緒で、常に行動を共にしていた記憶しかない
ふと隣の席を見れば、授業中ということを気にせずに机に突っ伏している彼
最初は席が窓際なのもあり、窓枠に切り取られた空を眺めていたのに
らっだぁ
ノート提出の度に慌ててノートを写しているのに改善する気はないらしい
天乃 絵斗
どうせまた頼まれるのだろうと、溜息を吐きつつ目線を黒板に戻した
いつの間にか時間は過ぎ、時計の短針はもう十二を指し始めていた
らっだぁ
この誘いも、もはや聞き慣れていて、むしろ聞いてない日が無いくらいだ
天乃 絵斗
最初はただの気まぐれで、断る理由もなかった為受け入れたこの誘い
今では当たり前にまでなっていて、余計に断ることができなくなっていた
天乃 絵斗
お互いお弁当は持って来ないので、購買へ昼食を買いに向かう
食堂でも買えるし、そっちの方が豪華ではあるが、食べる場所が制限される
特に食べ物への拘りも無い為、普段は購買で買ったものを教室で食べていた
しかし今日は普段と違い、教室へ戻る前に彼が口を開いた
らっだぁ
天乃 絵斗
らっだぁ
らっだぁ
そう言われ窓の外に目をやると、見事な快晴が確かに広がっていた
天乃 絵斗
天乃 絵斗
移動が面倒で、どこで食べても同じなんだから正直断りたかった
いや、普段なら、彼以外なら、迷うことなく直ぐに断れていただろう
段々と、彼が相手だと調子が狂ってしまう自分に嫌気が差してくる
一緒に居ると取り繕うのを忘れ、素に戻りかけることが多くなった
天乃 絵斗
"ただの他人"に気を許したところで良いことなんて一つも無い
天乃 絵斗
結局、そんな訳も分からないまま彼の後を追いかけていった
≪ 猿山らだ男 side ≫
複雑そうな表情をした彼を連れ、屋上の扉をゆっくりと開く
そこは意外にも人が居なかった為、おれらだけの広々とした空間になった
思っていた通りの快晴で、強くもない日光が当たり程良く暖かかった
らっだぁ
天乃 絵斗
また"作り笑い"をする彼に、そんなに退屈なのかと不安になってくる
それとも___
天乃 絵斗
らっだぁ
らっだぁ
天乃 絵斗
天乃 絵斗
らっだぁ
何か悩んでいるような気がしたから、少しでも気が楽になるといいな
そんな思いで屋上に誘ったが上手くいかず、更に暗い顔になってしまった
らっだぁ
おれが話題を振ることで、端的で冷えた会話が続く二人の帰り道
お互い黙っていても気まずくはない関係値で、無理に話す必要は無かった
けれど、話が止まることなく続いていくような関係値でもなかった
天乃 絵斗
いつの間にか別れ道まで来ていた様で、彼が道を曲がりながら振り返る
らっだぁ
軽く手を振ると笑顔を貼り付けながら振り返してくれ、少し頰が緩んだ
家に着き、ひと段落してから彼の事と今日の出来事を思い返す
らっだぁ
どれだけ話しかけても一定の距離を置いた返事が返ってくるのが当たり前で
側から見れば気づかないだろうが、間違いなく気を許されていない
最初は興味本位だったのに今では常に彼の事を考えてしまう程惹かれていた
だからこそ、距離を置かれるのは嫌だと思うようになってしまった
らっだぁ
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