美鈴
なんでこんな目に…?
悪いことなんかしていない…
どうしてこんな目にあったの?
耐えられない…
真希子
真希子
机には
死ね,きもい,変態
悪口の山
私の父親は痴漢した
犯人は冤罪だと主張していたけど
結局,自責の念に潰されて
自殺した
お母さんはショックで 入院している
もう耐えられない
今日で上靴を隠されたのも何回目か
さよなら
美鈴
美鈴
美鈴
目を開けると
見知らぬ所にいた
なに…ここ
綺麗な部屋…
天蓋のベッドから私は 上半身を起こした
着せられている シルクのパジャマ
レースカーテン
何もかもが綺麗だが
場所の検討もつかない
?
?
美鈴
そこにはメイドの服を着た 綺麗な女性が立っていた
?
?
マルシェイン
マルシェイン
マルジェインと名乗る女は 突然早口で喋り出した
饒舌な女だ
いわゆるラノベとかの 異世界転生をしてしまったらしい
マルシェイン
マルシェイン
美鈴
美鈴
マルシェイン
マルシェイン
マルシェイン
そういうと彼女は 指を三つ立てた
美鈴
マルシェイン
美鈴
美鈴
マルシェイン
フォーゼラダの部屋は
私が寝ていた部屋から 歩いて1分ほどで着いた
書斎のような雰囲気がある
にしても,かなり広い
この屋敷のクローゼットが 私の住んでいるマンションの リビングと同じくらい広い
念のため鏡を見せてもらったが 顔は変わっていなかった
マルシェイン
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
美鈴
美鈴
美鈴
フォーゼラダさんは 思っていたよりずっと若く
この間テレビで見た俳優に 似ていた
美鈴
フォーゼラダ
フォーゼラダ
美鈴
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
まるで占い師のように 全て言い当てている
そのような能力があるのか…?
美鈴
美鈴
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
話によると
私の世界で死んだものは
一旦こちらの世界へ連れてこられ
あるミッションをクリアしたら 生き返れると言う
美鈴
フォーゼラダ
人見知りなのか 愛想が悪いのか 全く口角が上がらない
美鈴
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
美鈴
私は全く抑揚のない声で言った
なにを好き好んで あの世界へ戻るのか
フォーゼラダ
?
突然背後から声が聞こえてきた
そちらに顔を向けると とてもすらっとした男の人が立っていた
フォーゼラダさんよりも ひとまわり大きく
爽やかなイケメンってところだ
美鈴
フォーゼラダ
?
突然彼の口から大きな声が出た
?
そういうと彼は 前髪を手で巻き上げた
美鈴
美鈴
キュウ
美鈴
永遠の拷問… という言葉がずっと頭の中で響き渡る
そんなのいやだ…
美鈴
待てよ…
じゃあ,ミッションとやらをクリアしてもう一回死ねばいいじゃないか?
ここに来るのは一回だけなんだし…
美鈴
気づけば私は返事をしていた
?
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
フォーゼラダ
美鈴
美鈴
私は手を差し出した
手首の赤い線が 見えてしまう
美鈴
私はとっさにそれを隠した
キュウさんは 少し悲しそうな表情を浮かべ こっちだ,と言った
話が終わって 外に出ると
虹色の馬が二匹ついた 馬車が来ていた
キュウさんは私を馬車に乗せて 紙を差し出してきた
キュウ
キュウ
すると なにも書いてなかった紙に 黒い文字が浮かび上がってきた
龍山にて 宝玉を取る
そう書いてあった
その下に星が五つ光り輝いている
キュウ
美鈴
キュウ
つまり一番厄介だということ なんだろう…
美鈴
キュウ
キュウ
キュウ
キュウ
キュウ
美鈴
美鈴
私は運さえ味方についてくれない
みじめな女
キュウ
キュウ
長い沈黙に耐えかねたのか 彼が口を開いた
美鈴
美鈴
キュウ
美鈴
だから日本語も喋れるんだ と今更ながら感じた
美鈴
美鈴
美鈴
目から水がこぼれ落ちた
その水が涙だと認識するのに 少し時間がかかった
キュウ
美鈴
美鈴
父なんて大嫌い
誰のせいでこんな目に…
キュウ
すると, 着きましたぜ と
御者が声をかけた
涙を悟られたくなくて 逃げるように馬車を降りると
真っ暗な洞窟の前に来ていた
キュウ
美鈴
洞窟に入ると
全く視界が見えなくなった
歩くたびにジャリっと 音がする
キュウ
キュウ
キュウ
なんとセンスのない言葉なのか
美鈴
するといきなり 視界が明るくなった
見ると彼の掌から 炎が燃え立っていた
キュウ
美鈴
美鈴
キュウ
キュウ
キュウ
キュウさんが指差したところには
紅蓮に染まった鱗
体調五メートルほどのまさに 「ドラゴン」がいた
しかも目が覚めていた…
美鈴
美鈴
キュウ
キュウ
すると突然ドラゴンが 叫び出した
カラオケに行って マイクがキーンってなる音
それより酷い
美鈴
美鈴
美鈴
私はあの呪文を唱えた
すると,掌から 氷が出てきた
しかしドラゴンはそれをかわす
美鈴
私は何度も何度も唱えた
しかし,一向に当たる気配はない
美鈴
ついにドラゴンが口から 真紅の炎を吐き出した
私は…どうすることも できなかった
まともに喰らった
美鈴
美鈴
目を開けると 辺りは真っ暗闇に包まれていた
美鈴
母
美鈴
目の前に現れたのは ドラゴンでもなく
キュウさんでもない
お母さんだった
美鈴
母
母
母
母
そういうと 私の胸ぐらを掴み頬を叩いた
叩かれたことよりも
産まなきゃよかった と言われたことの方が辛かった
いつも私を守ってくれた母が…
美鈴
美鈴
美鈴
母
気付いたら私は逃げ出した
真っ暗な闇の中を駆け出した
マルシェイン
美鈴
なんで…?
マルシェインさんが…?
マルシェイン
美鈴
フォーゼラダ
フォーゼラダさんも…
母
違う
母
違う
マルシェイン
違う
フォーゼラダ
違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
お父さんは… そんな人じゃない…
優しくて,かっこよくて
にんじんが嫌いで 馬鹿だけど気が利いてて
キュウさんに嘘をついた
私はお父さんが
大好きだ
痴漢をしても
私の人生を狂わせても
あの笑顔に私は 助けられていた…
急に大きな声が聞こえて 私は目を覚ました
美鈴
美鈴
見るとドラゴンもいるし キュウさんもいる
キュウさんは うそだろ,という目で見ている
美鈴
美鈴
美鈴
死にたくなんかない
お父さんの痴漢は嘘だ
お父さんはそんなことをする人じゃない
私が真実を突き止めないと
美鈴
もう一度,呪文を唱える
すると
ドラゴンが氷漬けになった
美鈴
ところが ドラゴンが起き上がった
美鈴
そして口を大きく開けた
美鈴
ダメか…
ドラゴン退治すら… 私には…
キュウ
すると キュウさんが掌から炎を出した
あっという間に 辺りは火の海になったかと思えば
一気に炎が収まり ドラゴンは黒く焦げていた
キュウ
美鈴
美鈴
キュウ
キュウ
美鈴
あ…そうか
お父さんの名前 「ゆうき」だったな…
キュウ
キュウ
そういうと キュウさんは黒く染まった ドラゴンを指差した
そして中から レッドカラーの宝石が宙を巻い
私の手元で止まった
美鈴
美鈴
キュウ
キュウ
美鈴
美鈴
キュウ
キュウ
美鈴
キュウ
キュウ
美鈴
あー,なんで涙が
止まって,止まってよ
美鈴
キュウ
キュウ
気付いたら私は
死のうとした マンションの中にいた
紐はなかったけど…
美鈴
美鈴
美鈴
私の首には
あの宝石で作ってある ネックレスがしてあった
美鈴
真希子
真希子
真希子
そこまでいい終わらないうちに
一発殴ってやった
真希子
美鈴
お父さんに守られてるから…
絶対に… 絶対に…
負けるもんか…
あのペンダントが 笑っているかのように 光り輝いた
コメント
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このたびはTKDグランプリにご参加頂き誠にありがとうございます😊素敵な作品をありがとうございます、またご機会があればよろしくお願い致します♪