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美鈴

もう…いや…

なんでこんな目に…?

悪いことなんかしていない…

どうしてこんな目にあったの?

耐えられない…

真希子

あ,ブス女!

真希子

おはよ〜

机には

死ね,きもい,変態

悪口の山

私の父親は痴漢した

犯人は冤罪だと主張していたけど

結局,自責の念に潰されて

自殺した

お母さんはショックで 入院している

もう耐えられない

今日で上靴を隠されたのも何回目か

さよなら

美鈴

う,うーん

美鈴

え?

美鈴

てんご…く?

目を開けると

見知らぬ所にいた

なに…ここ

綺麗な部屋…

天蓋のベッドから私は 上半身を起こした

着せられている シルクのパジャマ

レースカーテン

何もかもが綺麗だが

場所の検討もつかない

あら

お目覚めに?

美鈴

え,誰?

そこにはメイドの服を着た 綺麗な女性が立っていた

はじめして

私,マルジェインと申します

マルシェイン

ご安心ください!

マルシェイン

あなたの敵ではありませんので

マルジェインと名乗る女は 突然早口で喋り出した

饒舌な女だ

 いわゆるラノベとかの 異世界転生をしてしまったらしい

マルシェイン

フォーゼラダ様がお待ちです

マルシェイン

歩けますか?

美鈴

え,ええ

美鈴

フォーゼラダ?

マルシェイン

あなたは森の中で倒れていたのです

マルシェイン

それをフォーゼラダ様が見つけて
保護したのです

マルシェイン

三日も昏睡状態でした

そういうと彼女は 指を三つ立てた

美鈴

と,もりあえずその…
フォーゼ…?なんとか様を…

マルシェイン

フォーゼラダ様です

美鈴

はい

美鈴

の所へ案内してくれますか?

マルシェイン

かしこまりました

フォーゼラダの部屋は

私が寝ていた部屋から 歩いて1分ほどで着いた

書斎のような雰囲気がある

にしても,かなり広い

この屋敷のクローゼットが 私の住んでいるマンションの リビングと同じくらい広い

念のため鏡を見せてもらったが 顔は変わっていなかった

マルシェイン

フォーゼラダ様
彼女がお目覚めになりました

フォーゼラダ

そうか

フォーゼラダ

おお,おはよう

フォーゼラダ

フォーゼラダだ

美鈴

あ…

美鈴

おはようございます

美鈴

美鈴です

フォーゼラダさんは 思っていたよりずっと若く

この間テレビで見た俳優に 似ていた

美鈴

あの…私…

フォーゼラダ

ふむ

フォーゼラダ

いいたいことはわかっている

美鈴

え?

フォーゼラダ

君はそちらの世界で言う
異世界転生をしたのだろう?

フォーゼラダ

死にたいと思っていたはずだ

フォーゼラダ

そして実際に首をくくった

まるで占い師のように 全て言い当てている

そのような能力があるのか…?

美鈴

は…はい

美鈴

あの…なぜそれを?

フォーゼラダ

簡単だよ

フォーゼラダ

そちらの世界で死のうとしたものは

フォーゼラダ

一回こちらへ来るのだから

話によると

私の世界で死んだものは

一旦こちらの世界へ連れてこられ

あるミッションをクリアしたら 生き返れると言う

美鈴

そうなんです…か…

フォーゼラダ

そうだ

人見知りなのか 愛想が悪いのか 全く口角が上がらない

美鈴

あの…
絶対生き返らなくてはいけないのですか?

フォーゼラダ

いや

フォーゼラダ

そういうわけではないよ

フォーゼラダ

辞退もできる

美鈴

じゃあ,辞退します

私は全く抑揚のない声で言った

なにを好き好んで あの世界へ戻るのか

フォーゼラダ

そうか…

じゃあ死獄谷行きだな

突然背後から声が聞こえてきた

そちらに顔を向けると とてもすらっとした男の人が立っていた

フォーゼラダさんよりも ひとまわり大きく

爽やかなイケメンってところだ

美鈴

あの…誰ですか…?

フォーゼラダ

おお,彼はゆ…

ゴホンっ!

突然彼の口から大きな声が出た

キュウです

そういうと彼は 前髪を手で巻き上げた

美鈴

あの…死獄谷…?

美鈴

なんですか,それ

キュウ

辞退した人間は
死獄谷で永遠の拷問を受ける

美鈴

ええっ

永遠の拷問… という言葉がずっと頭の中で響き渡る

そんなのいやだ…

美鈴

え…っと…じゃあ…私…

待てよ…

じゃあ,ミッションとやらをクリアしてもう一回死ねばいいじゃないか?

ここに来るのは一回だけなんだし…

美鈴

やります!

気づけば私は返事をしていた

そうか

フォーゼラダ

それは感心だね

フォーゼラダ

じゃあ,ミッションへと移ろうか

フォーゼラダ

ゆ…じゃなかった
キュウよ,案内しなさい

フォーゼラダ

彼は案内人だからね

美鈴

そうなんですね

美鈴

よろしくお願いします

私は手を差し出した

手首の赤い線が 見えてしまう

美鈴

あっ

私はとっさにそれを隠した

キュウさんは 少し悲しそうな表情を浮かべ こっちだ,と言った

話が終わって 外に出ると

虹色の馬が二匹ついた 馬車が来ていた

キュウさんは私を馬車に乗せて 紙を差し出してきた

キュウ

改めてミッションを教えよう

キュウ

これだ

すると なにも書いてなかった紙に 黒い文字が浮かび上がってきた

龍山にて 宝玉を取る

そう書いてあった

その下に星が五つ光り輝いている

キュウ

む…
難易度MAXか…

美鈴

あの…
難易度って?

キュウ

ミッションの成功度だ

つまり一番厄介だということ なんだろう…

美鈴

あの…
フォーゼラダさんは一体?

キュウ

君たち人間が
死に陥ると

キュウ

森に落とされる

キュウ

その落ちた人を管理する人が
フォーゼラダさんの仕事だ

キュウ

ミッションの難易度は
運らしいから

キュウ

フォーゼラダさんの
せいではないぞ

美鈴

はぁ…

美鈴

運さえ私を…

私は運さえ味方についてくれない

みじめな女

キュウ

キュウ

君はなぜ死のうと?

長い沈黙に耐えかねたのか 彼が口を開いた

美鈴

あー

美鈴

私の父が痴漢?じゃわかんないか

キュウ

いや,君たちの世界の言葉は
既に勉強済みだ

美鈴

そうなんですね

だから日本語も喋れるんだ と今更ながら感じた

美鈴

で,父が痴漢して
自殺して

美鈴

私は変態の娘ってことで
学校でいじめられて…

美鈴

あはは

目から水がこぼれ落ちた

その水が涙だと認識するのに 少し時間がかかった

キュウ

…君は…
お父さんを憎んでいるかい?

美鈴

…どうだろう

美鈴

大嫌いかな?

父なんて大嫌い

誰のせいでこんな目に…

キュウ

すると, 着きましたぜ と

御者が声をかけた

涙を悟られたくなくて 逃げるように馬車を降りると

真っ暗な洞窟の前に来ていた

キュウ

さぁ,いこう

美鈴

は,はい

洞窟に入ると

全く視界が見えなくなった

歩くたびにジャリっと 音がする

キュウ

いい忘れていたが

キュウ

君には魔法が備わっている

キュウ

いざという時は
シャガリズと唱えるんだ

なんとセンスのない言葉なのか

美鈴

キュウさんの魔法は?

するといきなり 視界が明るくなった

見ると彼の掌から 炎が燃え立っていた

キュウ

こんな魔法です

美鈴

かっこいい

美鈴

あれ,呪文唱えなくていいんです?

キュウ

ああ

キュウ

ここに住んでいる人はね

キュウ

着いたよ

キュウさんが指差したところには

紅蓮に染まった鱗

体調五メートルほどのまさに 「ドラゴン」がいた

しかも目が覚めていた…

美鈴

うそ…

美鈴

戦わないといけないの…?

キュウ

頑張るんだな

キュウ

俺は手を出せないんだ

すると突然ドラゴンが 叫び出した

カラオケに行って マイクがキーンってなる音

それより酷い

美鈴

ぐっ…

美鈴

みみ…が…

美鈴

ま…ほうを…

私はあの呪文を唱えた

すると,掌から 氷が出てきた

しかしドラゴンはそれをかわす

美鈴

あ…ああ

私は何度も何度も唱えた

しかし,一向に当たる気配はない

美鈴

そんな…

ついにドラゴンが口から 真紅の炎を吐き出した

私は…どうすることも できなかった

まともに喰らった

美鈴

ここ…は?

美鈴

どこ?

目を開けると 辺りは真っ暗闇に包まれていた

美鈴

キュウさん?

美鈴

美鈴

お母さん…?

目の前に現れたのは ドラゴンでもなく

キュウさんでもない

お母さんだった

美鈴

病院にいないと…

うるさい!

あんたの父親のせいで…
私は…

あんなのと結婚しないと
よかった…

あんたを見ると…
あいつを思い出すんだよ!!!

そういうと 私の胸ぐらを掴み頬を叩いた

叩かれたことよりも

産まなきゃよかった と言われたことの方が辛かった

いつも私を守ってくれた母が…

美鈴

お母さん…?

美鈴

やめて…お願い

美鈴

私を叩かないで…

うるさい!

気付いたら私は逃げ出した

真っ暗な闇の中を駆け出した

マルシェイン

どうしました?

美鈴

マルシェインさん…?

なんで…?

マルシェインさんが…?

マルシェイン

あなたは変態の娘でしょ?

美鈴

…ッ

フォーゼラダ

そうでしょう?

フォーゼラダさんも…

そうだよ!

違う

変態の娘

違う

マルシェイン

変態の娘

違う

フォーゼラダ

変態の娘

違う

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

お父さんは… そんな人じゃない…

優しくて,かっこよくて

にんじんが嫌いで 馬鹿だけど気が利いてて

キュウさんに嘘をついた

私はお父さんが

大好きだ

痴漢をしても

 私の人生を狂わせても

あの笑顔に私は 助けられていた…

急に大きな声が聞こえて 私は目を覚ました

美鈴

え?

美鈴

うそ…

見るとドラゴンもいるし キュウさんもいる

キュウさんは うそだろ,という目で見ている

美鈴

そうか…

美鈴

私は…

美鈴

生きないと…

死にたくなんかない

お父さんの痴漢は嘘だ

お父さんはそんなことをする人じゃない

私が真実を突き止めないと

美鈴

はぁ,はぁ,

もう一度,呪文を唱える

すると

ドラゴンが氷漬けになった

美鈴

やった…

ところが ドラゴンが起き上がった

美鈴

え…

そして口を大きく開けた

美鈴

あ…

ダメか…

ドラゴン退治すら… 私には…

キュウ

ハッ!

すると キュウさんが掌から炎を出した

あっという間に 辺りは火の海になったかと思えば

一気に炎が収まり ドラゴンは黒く焦げていた

キュウ

美鈴…

美鈴

キュウさん…

美鈴

ダメなんじゃ…

キュウ

娘を助けるのは

キュウ

父として当然だ

美鈴

え…

あ…そうか

お父さんの名前 「ゆうき」だったな…

キュウ

ほら

キュウ

宝玉を取りなさい

そういうと キュウさんは黒く染まった ドラゴンを指差した

そして中から レッドカラーの宝石が宙を巻い

私の手元で止まった

美鈴

本当に…

美鈴

お父さん…?

キュウ

ああ

キュウ

すまなかったな

美鈴

美鈴

なんで痴漢なんか…

キュウ

冤罪だ

キュウ

俺はしていない

美鈴

キュウ

信じてくれ

キュウ

頼む…

美鈴

あー,なんで涙が

止まって,止まってよ

美鈴

キュウ

美鈴…

キュウ

すまなかった

気付いたら私は

死のうとした マンションの中にいた

紐はなかったけど…

美鈴

美鈴

あれ…

美鈴

これ…

私の首には

あの宝石で作ってある ネックレスがしてあった

美鈴

真希子

きゃはは

真希子

あ,おはよ〜

真希子

へんた…

そこまでいい終わらないうちに

一発殴ってやった

真希子

んなっ…

美鈴

私は…負けない…

お父さんに守られてるから…

絶対に… 絶対に…

負けるもんか…

あのペンダントが 笑っているかのように 光り輝いた

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このたびはTKDグランプリにご参加頂き誠にありがとうございます😊素敵な作品をありがとうございます、またご機会があればよろしくお願い致します♪

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