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マフィアグループ「檳榔子」に捕まりまして。

第11話 - 檜皮兄弟後編

2025年05月15日

#創作

#一次創作

#マフィア

#仕事

一色

檜皮璃寛

っ…………

ソイツがバットを振り下ろすのとほぼ同時に、長い脚が、勢いよくソイツの下腹部に直撃した。

っぁが………ッ！？

檜皮璃寛

……っ？

腹を蹴られたソイツはみっともなく地面に倒れ込み、苦しそうに咳き込んでいる。

璃寛は、混乱したまま、自分を助けた人物を捉えた。

檜皮璃寛

……、寛由…

寛由は、地面にしがみついているソイツに近づき、ソイツの腕に靴を乗せ、力を込める。

檜皮寛由

アンタ誰ですか？何してるんですか？

檜皮寛由

てかバット使うとかダッサ…、漢なら拳でいけよ

っ……、クソが！離せや、善人気取りが！！

檜皮寛由

…

寛由はどこからか小さいナイフを取り出し、指先で弄ぶ。

檜皮寛由

馬鹿な口はこれか？あ？

檜皮寛由

…舌掻っ切られたくなきゃ、金輪際私達に近づくな

っ………！！

チッ…！

ソイツは焦ったように去っていった。強がっているようだが、足元は随分不安定だった。

檜皮寛由

……ふー…。

檜皮寛由

怪我は？

檜皮璃寛

え……、あ、無い

檜皮寛由

そう、良かった

檜皮寛由

帰ろう

檜皮寛由

…璃寛？

檜皮璃寛

…なんで、助けた

檜皮璃寛

……

檜皮寛由

？

檜皮璃寛

必要以上に関わんなや。

檜皮璃寛

…他人やろ

檜皮璃寛

（お前まで目ぇつけられたらどーしてくれるん…）

檜皮寛由

………。

檜皮寛由

…君も中々にダサいな

檜皮璃寛

っは！！？

檜皮璃寛

んでやねん、ふざけんな…っ

檜皮寛由

突然知らない人と暮らすことになって、気に入らないのもわかるけどさ。

檜皮寛由

受け入れようともせず拒絶するのは子供だよね

檜皮璃寛

っ……、家族って、そんな簡単なもんじゃ無いやろ…

檜皮璃寛

急に出てきて兄貴気取り？はっ…、ムカつくんだよ！！

璃寛はそう言って、寛由の胸ぐらを掴んだ。

だが、寛由は抵抗しなかった。寧ろ、いつもより穏やかな表情で璃寛を見つめていた。

檜皮寛由

…璃寛。

寛由は、自分の胸ぐらを掴んでいる璃寛の手を、左手で包み込むように握った。

檜皮璃寛

…………っ、

檜皮寛由

………生意気なガキが

檜皮璃寛

え？？？？？

次の瞬間、寛由の拳が、璃寛の顔めがけて振り上げられた。

檜皮璃寛

（え？この流れで？？）

檜皮璃寛

っ………！

璃寛はきゅっと目を瞑る。

が、その拳は璃寛の顔スレスレで静止していた。

檜皮璃寛

っ？…っ、？？？、？

檜皮寛由

…嫌いなんでしょ？暴力

檜皮璃寛

え……、

檜皮寛由

君には嫌われたく無いからね。やらないよ

檜皮璃寛

……

檜皮璃寛

（その時から見てたのか。）

檜皮璃寛

（……もっと早く来れたのに観戦してたってこと？？？）

檜皮寛由

…次こそ帰るよ。帰りたくないなら来なくていいけど

立ち尽くしている璃寛をよそに、寛由は足を進める。

檜皮璃寛

……なんなん、お前…

檜皮寛由

璃寛の兄。

檜皮璃寛

…………

檜皮璃寛

…待てや、…兄ちゃん

檜皮寛由

…………

檜皮寛由

…っふ

檜皮璃寛

っ…、何笑ってんの！

檜皮璃寛

やっぱアンタ、大っキライや…

檜皮寛由

ふふっ…、いや、ごめん

檜皮璃寛

もう良い、やっぱ寛由なんか兄貴じゃない！

檜皮寛由

んーん、兄貴だよ

檜皮寛由

帰ろう

檜皮璃寛

………、

檜皮璃寛

うん

檜皮璃寛

……って感じで…

藤あやめ

わーー、エモ〜

一色律

映画化決定

七瀬あお

ですね！！！

檜皮璃寛

ふふんっ、だろ？

檜皮璃寛

………。

檜皮璃寛

いや、なんでいんの！！？

七瀬あお

っあ、ほんとだ

一色律

俺ら休憩突入。
お前ら休憩終了。

藤あやめ

うろうろしてたら何か話してたから、聞き入ってもーたわ

檜皮璃寛

2人には話したことあるでしょ…

一色律

うん、聞いたことある

檜皮璃寛

じゃ初耳みたいな反応すんな！

檜皮璃寛

…じゃっ、戻るかぁ〜

七瀬あお

ですね

藤あやめ

俺らも戻ろ。タバコ吸いたかっただけやし

藤あやめ

室内で休憩したほーがええやろ

一色律

ん。

檜皮璃寛

ただいま〜

深緋刻

戻ったか。

梅重天

んじゃ、仕事再開な♡

檜皮璃寛

もぉやだよぉ〜〜…！

一色凛音

七瀬も、休めた？

七瀬あお

はいっ。

七瀬あお

元気モリモリです！仕事頑張ります！！

一色凛音

あはは、いいね。頼んだよ

藤あやめ

寛由、まだ寝てるん？

深緋刻

あぁ。

深緋刻

檜皮、ここ数日ぶっ通しで仕事やってたからな。寝かせてやろう

一色律

俺らにも、経済関連の仕事手伝わせてくれれば良いのに

白練御空

信用されて無いんじゃろ。

梅重天

んなっ……。

一色凛音

僕らには力不足だって？

藤あやめ

ふざけんなや！出来るし！！

深緋刻

藤に任せたら全ての金が消える予感しかしない

藤あやめ

あぁ！？

七瀬あお

（そういえば、お金関連のこと、全部寛由さんがやってるって言ってたっけ。）

七瀬あお

（すごいクマだったもんな…。眠れてれば良いけど）

檜皮璃寛

……。

檜皮璃寛

……兄貴、入るよー…。

檜皮寛由

……。

檜皮璃寛

うわっ…、ソファで寝てる

檜皮璃寛

腰痛めるって。もうおじさんなんだから。

檜皮寛由

ん゛ー………、

檜皮璃寛

うなされてるし…。

檜皮璃寛

（……持てるかな…）

檜皮璃寛

…よいしょ、っと……。

檜皮寛由

………

檜皮璃寛

（良かった、起きてない）

檜皮璃寛

（身長デカいだけで、細いからあんま重くないんだよな。）

檜皮璃寛

……おーい。熟睡中？

璃寛は、眠っている寛由の手を、軽く握った。

檜皮璃寛

……大好きだよ、兄ちゃん

そう小さく呟くと、急いで部屋から出る。

璃寛の足音が聞こえなくなった頃に、彼は目を開いた。

檜皮寛由

……、はー…。

檜皮寛由

（流石に運ばれたら起きるよ……、あの子は馬鹿か…。）

寛由は、少し温もりの残る左手を強く握る。そして、顔に浮かんだ何かの感情を隠すように、うつ伏せになって再び眠りについた。

おまけ

一色

寛由のイラストです

一色

あれっ。あれれっ。頬が赤いですね。

一色

何があったのでしょうか。

一色

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一色

では、また次回でお会いしましょう。

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一色

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