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サウロス
さて、これで晴れて君たちはDランク冒険者になれた訳だが
サウロス
どうだ？実感のほどは？
フィン
あるわけないですよね？
フィン
だって僕たちまだ結成されて一日足らずですよ？
フィン
確かにレッドグリズリーやゴブリン退治はすごく頑張りましたけど
フィン
だとしてもパーティーでのクエスト数なんて二回ですよ？
フィン
それっぽっちで実力者たちと肩並べるのは…
サウロス
出来たてほやほやのパーティーがレッドグリズリーに恐れることなく
サウロス
戦ってそのうえで勝ってるんだ
サウロス
その事実を知れば他の奴らも納得する実力者だ
フィン
そ、そんなもんなのかなぁ…
カエデ
でも多分アレですよね？
カエデ
僕やハルが個人で積上げてきた功績も含めてですよね？
サウロス
ま、ほんとに少しだけそれを加味してるが
サウロス
それ抜きにしても確かな力の持ち主なのは俺の目から見ても変わりない
フィン
ちなみにこの昇進によって何かいい事が？
サウロス
一応仕組みの方から話そうか
サウロス
まずギルド側からも信頼されてる証になることだな
サウロス
というのも、下の階級の奴らはまだまだ未熟なもの達だ
サウロス
彼らを一人前と認めるためには
サウロス
特定の依頼をこなさないといけない
サウロス
それが達成できるとこのDクラスになれるんだ
サウロス
で、認められると少し難易度の高い依頼をお願いすることもあれば
サウロス
下の者のお守りということを頼むこともある
フィン
それができるほど実力ないけどね
フィン
言っても僕たちまだハルやカエデの指示がないと何も出来なかったし
サウロス
その辺は時間をかけることだな
サウロス
この手の昇進は結構レアケースだからな
カエデ
ですよねぇ…
サウロス
で、一番得することが追加される
フィン
得すること？
サウロス
Dクラス以上になると『タスト』の看板を背負う事になるんだ
フィン
それのなにが……
サウロス
タストの看板を背負うということはイコールで信頼の証である
サウロス
なので、ギルドカード自体がパスポートとしての役割を果たすことになる
サウロス
さらに言うとこのランクが高くなれば顔パスで済むのだ
カエデ
じゃあこの町を出て本格的に冒険者になれるってことですか！？
サウロス
察しがいいな
フィン
え？ギルド登録した時点で冒険者じゃ？
サウロス
確かに冒険者ではあるが制限がつけられてる
サウロス
分かりやすく言えばこちら側が指定したフィールドからは出られないということ
サウロス
それが顕著に分かるのが依頼内容だ
サウロス
ゴブリン退治の件やその前のスライム退治
サウロス
それら全て思い返すとわかるがこの町タストからはそれほど離れていない
カエデ
確かに言われてみれば近いですね…
サウロス
今回のような不測の事態にすぐに駆けつけることができるようにな
フィン
なぁるほど……
サウロス
ま、その癖してレッドグリズリーに遭遇させてしまったのはこちらとしても誤算だった
サウロス
それに関しては深く謝罪をさせてもらいたい
フィン
いいですって
フィン
なんやかんや生きてたし
フィン
生きてりゃ問題ないっすよ
サウロス
そう言ってくれるほどにいかに私達が慢心していたかが顕著になるな
サウロス
もう少しギルド全体のランクをあげようと思ったよ
サウロス
ある意味いい機会にはなったよ
カエデ
ま、まぁ僕達も偶然が重なって何とか倒せただけですし
カエデ
いつもこの時みたいなポテンシャルはまだ出せないですって
サウロス
なんにせよ君達がレッドグリズリーを倒した事実と
サウロス
我々ギルド側の体制の緩さが見て取れた
サウロス
これは確かな事だ
サウロス
君たちは誇っていいし私達は再度気を引き締めることにするよ
フィン
そんなに連呼されるならありがたく受け取っておこうかな
カエデ
そ、そうしよっか
サウロス
では、改めて君たちのパーティーをDクラスパーティーと任命する！
〜タスト ギルド内〜
フィン
やっぱり、実感はないよね
カエデ
そうですね
カエデ
それに僕達まだまだ連携も拙いですし
カエデ
課題は山ほどあります
フィン
そうだな
フィン
今すぐにでも新たな依頼を受けに行きたいが
カエデ
ハルやシュナさんはまだ休養中ですから
カエデ
今は仕方なく大人しくしてましょう
フィン
だね…
カリナ
カリナ
アンタらが入って早々Dクラスになった新参者ね？
フィン
は、はぁ……？
カリナ
あんた名前は？
フィン
ぼ、僕ですか？
カリナ
そ、あんた
フィン
ぼ、僕はフィンっていいます
カリナ
見たところ武器ないけど魔道士か何か？
フィン
い、いえ？
フィン
僕は武器無しで戦うんですよ
カリナ
はぁ？
カリナ
才能開花してないの？
フィン
してないです
カリナ
なら、なんで冒険者なれてんのよ
フィン
他の人とは違って代わりに僕は異能開花と言って身体能力強化の力を受けた
フィン
そのおかげでこの町に来る途中”槍斧の獣”に襲われたが何とか逃げることに成功した
フィン
逃げ帰ったとはいえその事実が評価され特別になれたって訳
カリナ
ふーん
カリナ
じゃあ隣のアンタ、名前は？
カエデ
か、カエデです…
カリナ
見たところ剣士みたいだけど？
カエデ
剣士兼補助員です
カリナ
なに？医療魔法とか使えるの？
カエデ
ま、まだ初級レベルのものですけど……
カリナ
ふん…
カリナ
やっぱり程度が知れてるヒヨっ子パーティーじゃないの
フィン
な、なんですか？
フィン
シンプルに僕らが気に食わないならそういえばいいじゃないですか
フィン
別に僕らもこうなるなんて思ってなかったですし
フィン
それこそ今の僕らにDクラスパーティーという称号は重いですよ
フィン
そんなもの自覚してますけど、ギルドマスター直々に言われたらどうしようもないし……
カリナ
ギルドマスターに気に入られて昇格ね…
カリナ
とことん気に入らないわ
カリナ
ま、なんにせよこの二人の話だけで
カリナ
力量は何となくわかったからいいわ
カリナ
ビキナーズラックに感謝する事ね
カリナ
それじゃあ
カリナ
新参者の顔を拝みに来ただけだから
カリナ
私はあんたらと違って強くて忙しいの
カエデ
カエデ
感じ悪い人ですね…
フィン
フィン
よし決めた！
カエデ
？
フィン
僕一人でも力つけてあの女殴り飛ばす！
フィン
そのためにこの『異能開花』を使いこなす
カエデ
た、多分その力使ってあの人殴ったら原型なくなるよ
フィン
いんだよ別に
フィン
どうせ何年か停滞してるＥクラスのパーティーなんだろ？
フィン
僕らですら困惑してるこの昇格に妬いてるんでしょ？
カエデ
お、恐らく、としか言えないですよ……
フィン
だとしても、腹立ったからしっかり殴る
フィン
女だからって殴られないと思ってそうな奴だし
フィン
しっかり実力見せてそのうえで殴る！
カエデ
目的がだいぶ歪んでるけど
カエデ
強くなろうとする心意気は僕も同感かな
カエデ
もっと魔法について知らないと僕もみんなの役に立てないからね
フィン
でも、あの後カエデ一人でやってくれたんだろ？
カエデ
カエデ
僕一人って言うよりは助けに来たギルドの人と一緒にって感じだよ
フィン
ほんとかぁ？
カエデ
も、もちろん
フィン
じゃあ僕が気を失う前に見た
フィン
刹那の速さでゴブリンを切り伏せたのは見間違い？
カエデ
み、見間違いだよ！
カエデ
ほ、ほら僕最初に言ったでしょ？
カエデ
この剣は飾りだって！
フィン
それじゃあ僕の見間違いかぁ…
カエデ
うん！
カエデ
でも、いずれそこまで強くなるから！
フィン
それは期待してる！
フィン
僕が武器を持てないからさ
カエデ
カエデ
じゃあツメとかメリケンサックみたいなのはどうです？
フィン
なるほど！
フィン
確かにそれは武器だけど手にはめる系統だから特に影響はない…
カエデ
マイナス面に影響がなくてフィンさんに対してはむしろプラスしかない
カエデ
攻撃力も段違いになりますから名案だと思うんですけど…
フィン
それはマジで全然あり！
フィン
んじゃあの二人が目を覚ますのを待ってる間にそれ探しに行こう
カエデ
そうですね
カエデ
僕もちょっと魔導書とか買いたいので
フィン
おべんきょうってやつか？
カエデ
まだ初級の魔法しか使えないので
カエデ
いわゆるスキルアップてやつです
フィン
なら、善は急げって言うし行くか！
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コメント
1件
期間内に終わらないのでseason1という形でここで一旦区切ろうと思います
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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