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まきぴよ
にゃーにゃ
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デビューしてから、少しずつ増えていったものがある。
ファンの声。 歓声。 応援。
───そして、アンチコメント。
最初は、そこまで気にしていなかった。
阿部
そうやって、軽く流せていた。
でも、ある日見た一言が、妙に引っかかった。
「頭いいだけでしょ」
「それ以外何ができるの?」
「キャラ作り感すごい」
画面をスクロールする指が、止まる。
阿部
それから、少しずつ増えていった。 似たような言葉。
「歌は普通」 「ダンスも別に」 「なんでいるの?」
───なんでいるの?
その言葉が、夜になると浮かぶ。
暗い寝室。 電気をつける気にもなれなくて、スマホの光だけが顔を照らす。
見なきゃいいのに、また開いてしまう。
阿部
涙が静かに落ちる。 枕に顔を埋めて、声を殺す。
その頃、何度も同じことを繰り返していた。
次に日には、何もなかったみたいに笑う。
それに、気づいていた人もいた。
向井
ふとしたタイミングで声をかけてきたのは、向井だった。
阿部
いつもの柔らかい笑顔で返す。
向井
そう言いながらも、少しだけ気にしているような目だった。 でも、阿部はそれ以上は言わなかった。
───言えなかった。
また別の日。
楽屋でスマホを見ていると、ふいに画面が影になった。
ラウール
ラウールだった。
阿部
すぐに画面を閉じる。
ラウール
ラウールは何も言わなかったけど、そのまま隣に座った。
それだけで、少しだけ気が紛れた。
ある日、先輩に言われた言葉。
先輩
先輩
先輩
先輩
その言葉を、何度も思い出しては立て直してきた。
阿部
そう思ってきたのに、完全には消えなかった。
そしてあの日。
音楽番組の本番前。 控室。
何気なく開いたスマホ。 そこにあった言葉。
「頭脳キャラだけ」 「パフォーマンス微妙」 「浮いてる」
一瞬で、過去が蘇る。
暗い部屋。 泣いていた夜。
阿部
そう思おうとした。 でも、無理だった。
スタッフ
スタッフの声。 メンバーが立ち上がる。
佐久間
佐久間の明るい声。
深澤
深澤が軽く笑う。
その空気に、少し救われるはずだった。
でも───
阿部
阿部
阿部
ステージに立った瞬間、全部が押し寄せた。
観客席。 たくさんの視線。
阿部
「浮いてる」
阿部
呼吸が、うまくできない。
阿部
苦しい。
息が吸えない。
過呼吸だった。
その異変に、最初に気づいたのは目黒だつた。
目黒
一瞬の視線で、違和感を察する。
歌いながら、さりげなくフォーメーションを調整する。
その横で、渡辺も気づく。
渡辺
カバーするように、パートをほんの少し強める。
佐久間は、いつも以上に笑顔を作った。
観客の視線を引きつけるために。
深澤は、MCで繋げる準備を頭の中で組み立てる。
ラウールは、阿部の視界に入る位置に少しだけ動いた。
"ひとりじゃない"って、無言で伝えるように。
そして───
岩本
岩本の声。
岩本
その一言で、意識が戻る。
岩本
呼吸のリズムを見せる。
吸って、吐いて。
阿部
少しだけ、空気が入る。
岩本
その言葉が、全部を否定してくれる。
阿部
それだけで、少し楽になる。
曲が終わる。 大きな歓声。 拍手。 ステージ袖へ。
佐久間
佐久間が一番に駆け寄る。
佐久間
向井
向井が慌ててペットボトルを差し出す。
目黒
阿部
思わず謝ると、
渡辺
渡辺
深澤も頷く。
深澤
ラウールは、そっと隣に立つ。
何も言わないけど、その距離が優しい。
岩本
阿部
岩本
阿部
少しずつ話す。
阿部
空気が、一瞬だけ静かになる。
でも、すぐに───
佐久間
佐久間が眉をひそめる。
佐久間
向井
向井
目黒
目黒
佐久間
深澤が軽く笑う。
深澤
渡辺
渡辺が少しだけ優しく言う。
渡辺
ラウール
岩本
さっきまでの重さが、少しづつほどけていく。
アンチは消えない。 でも、
それ以上に、支えてくれる人がいる。 それを、忘れない限り。 また立てる。 何度でも。
みんなと一緒に。
もんちっち
もんちっち
もんちっち
もんちっち
もんちっち
もんちっち
もんちっち
もんちっち