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数分後
ふと気づいた時には、はっきり見えるぐらいの、 引っ掻いた傷が頬にあった。
本当は、もっと引っ掻いたと思ったんだけどな…笑
改めて、鏡で自分の姿を見てみる。
前髪で隠れた目に、傷がついた頬。
今日は、仕事で2人と会わないといけなかった。
きっと、この姿を見れば理由を聞いてくる。
それだけは、されたくない。
2人が心配してる様子を思い浮かべると、 胸が苦しくなった。
しっかり、隠さないと。
そう思い、部屋に戻った。
もう部屋に戻った時には、 家を出ないといけない時間だった。
そのため、準備をする。
荷物の準備が出来た。
後は傷を見せないために、マスクをつけた。
鏡で傷が見えてないか、確認する。
…良かった、意外と早めに準備が出来た。
時間もちょうど良かったので、 そろそろ家を出ようと思った。
ryok
腕に服が当たった時に、思い出した。
腕にも、傷をつけたんだった。
もし、服に血が滲んでもバレないように、 上着に腕を通す。
そして、僕は家を出た。
事務所に着いた僕は、ドアを開け、部屋に入った。
ryok
mtk&wki
挨拶をすると、2人が返してくれた。
2人が振り向いて僕の方を見ると、表情が変わった。
やばい、傷がバレた…?
バレてしまったことへの焦りで、動けないでいると、 2人は僕の前に来た。
mtk
ryok
良かった、傷の事じゃない…
傷の事じゃなくて安心していると、wkiからも質問をされた。
wki
mtk
どうしよう、二人に心配かけてる。
その心配を無くすために、笑顔になる。
ryok
mtk
ryok
これでもかってくらいに、笑顔になる。
こうしないと、【僕】じゃないから。
泣いてる姿よりも、 笑顔の方が2人も安心してくれるし。
まだ、傷は空気で染みるけど、 なるべく笑顔で振舞おうと頑張った。
ガチャッ
ドアの開く音と共に、 聞こえてきたのはryokちゃんの声。
少しでも会わないと、寂しくなっちゃう。
嬉しさを胸に、ryokちゃんの方へ向く。
その嬉しさは、心配と不安に塗り変わった。
明らかに、暑いと思うような上着。
帽子とマスクも付けていて、 一瞬、誰だか分からなかった。
昨日とは違う格好なのは、なんで?
気になって、ryokちゃんの元へ歩く。
どうやら、同じことを思ったのか、 僕が動くとwkiもryokちゃんの元へ、歩いてきた。
mtk
ryok
拍子抜けした声で、ryokちゃんは驚いた。
ryokちゃん、何か隠しているの?
僕の中の不安は、話すにつれて、増えていった。
wki
mtk
ryokちゃんは、責任を負おうとして、 自分を必要以上に責めてしまうことがある。
そんなryokちゃんの気持ちが軽くなれば、とふわりとした優しさのような声で、伝えた。
すると、なにか思っているように間を開けると、 キラキラと輝くような声で、こう言った。
ryok
mtk
ryok
そんなの、無理だよ。
普段とは違う格好。
見えているのか分からないぐらい、隠れている顔。
1枚の壁を挟んでいるような、明るい声。
不安になるものしか、ないんだから。
大丈夫かな……
本人が深掘りしないで欲しいように、 答えられたから、それ以上は聞かないことにした。
けれど、ryokちゃんの様子はずっと伺うようにした。
レコーディングが始まった。
最初はmtkからだった。
別室で、mtkの歌声を聞く。
こんなにも、幅広い音程の声を出せるのは凄いな、 と思った。
歌に込める気持ちが、それほど大きいことを改めて、 気付かされた。
mtkの歌声を聴きながら、 俺の演奏はどうやって演奏しよう?と考える。
mtkの歌声を聞いていると、 別の所で違う音が聞こえてきた。
ryok
ryokちゃんの、呼吸音。
いつもの呼吸じゃないことに気がつき、そちらを見る。
振り向いて見ると、 頭を押さえながらソファの上で丸まっている、 ryokちゃんがいた。
wki
苦しそうに丸まっているryokちゃんの元へ、 急いで向かった。
ryok
喋ることも出来ないぐらい、頭の痛みが強そうだった。
少しでも和らげようと、頭を撫でる。
ryok
頭を撫でると、少し和らいだのか、 さっきよりも呻き声を上げなかった。
wki
安心出来るように、声を掛ける。
すると、頭の痛みが落ち着いてきたのか、 呼吸も正常になってきていた。
ryok
ryok
呼吸が正常になったことを安心していると、 ryokちゃんが急に静かになった。
少し不安になり、ryokちゃんの顔を覗く。
ryok
なんだ、寝ちゃっただけか。笑
wki
少し疲れちゃったかな?
ゆっくり休んで欲しい、と気持ちを込めて頭を撫でた。
mtk
ちょうど、レコーディングを終えたmtkが帰ってきた。
mtkに、さっきの出来事を伝える。
出来事を伝えると、mtkは難しい顔をした。
wki
mtk
mtk
mtk
wki
実際、頭が痛くて丸まっている時に声を掛けると、 驚いたかのように体を固めた。
だから、何かはあると思う。
でも、それを聞いていいのか。
そう、mtkも悩んでいた。
wki
wki
mtk
mtk
mtkにも、数分前の俺にも掛けた、言葉。
その言葉を胸に抱きつつ、 ryokちゃんが話してくれるまで、 待ってみることにした。