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数分後

ふと気づいた時には、はっきり見えるぐらいの、 引っ掻いた傷が頬にあった。

本当は、もっと引っ掻いたと思ったんだけどな…笑

改めて、鏡で自分の姿を見てみる。

前髪で隠れた目に、傷がついた頬。

         

今日は、仕事で2人と会わないといけなかった。

きっと、この姿を見れば理由を聞いてくる。

それだけは、されたくない。

2人が心配してる様子を思い浮かべると、 胸が苦しくなった。

しっかり、隠さないと。

そう思い、部屋に戻った。

もう部屋に戻った時には、 家を出ないといけない時間だった。

そのため、準備をする。

         

荷物の準備が出来た。

後は傷を見せないために、マスクをつけた。

鏡で傷が見えてないか、確認する。

…良かった、意外と早めに準備が出来た。

時間もちょうど良かったので、 そろそろ家を出ようと思った。

ryok

っ、痛っ…

腕に服が当たった時に、思い出した。

腕にも、傷をつけたんだった。

もし、服に血が滲んでもバレないように、 上着に腕を通す。

そして、僕は家を出た。

事務所に着いた僕は、ドアを開け、部屋に入った。

ryok

おはようございます〜

mtk&wki

おはよう〜

挨拶をすると、2人が返してくれた。

2人が振り向いて僕の方を見ると、表情が変わった。

やばい、傷がバレた…?

バレてしまったことへの焦りで、動けないでいると、 2人は僕の前に来た。

mtk

ryokちゃん、暑くないの?

ryok

えっ?

良かった、傷の事じゃない…

傷の事じゃなくて安心していると、wkiからも質問をされた。

wki

それに、マスクって…体調でも悪いの?

mtk

もし、そうなら無理しないで、良いんだよ…?

どうしよう、二人に心配かけてる。

その心配を無くすために、笑顔になる。

ryok

大丈夫だよ!ほんの少し、寒いな〜って思ってるだけだから!

mtk

そう、なんだ?

ryok

うん!だから、気にしなくていいよ〜

これでもかってくらいに、笑顔になる。

こうしないと、【僕】じゃないから。

泣いてる姿よりも、 笑顔の方が2人も安心してくれるし。

まだ、傷は空気で染みるけど、 なるべく笑顔で振舞おうと頑張った。

ガチャッ

ドアの開く音と共に、 聞こえてきたのはryokちゃんの声。

少しでも会わないと、寂しくなっちゃう。

嬉しさを胸に、ryokちゃんの方へ向く。

その嬉しさは、心配と不安に塗り変わった。

明らかに、暑いと思うような上着。

帽子とマスクも付けていて、 一瞬、誰だか分からなかった。

なんで、そこまで厚着なの?

気になって、ryokちゃんの元へ歩く。

どうやら、同じことを思ったのか、 僕が動くとwkiもryokちゃんの元へ、歩いてきた。

mtk

ryokちゃん、暑くないの?

ryok

えっ?

拍子抜けした声で、ryokちゃんは驚いた。

ryokちゃん、何か隠している…?

僕の中の不安は、話すにつれて、増えていった。

wki

それに、マスクって…体調でも悪いの?

mtk

…もし、そうなら無理しないで、良いんだよ?

ryokちゃんは、責任を負おうとして、 自分を必要以上に責めてしまうことがある。

そんなryokちゃんの気持ちが軽くなれば、とふわりとした優しさのような声で、伝えた。

すると、なにか思っているように間を開けると、 キラキラと輝くような声で、こう言った。

ryok

大丈夫だよ!ほんの少し、寒いな〜って思ってるだけだから!

mtk

そう、なんだ?

ryok

うん!だから、気にしなくていいよ〜

そんなの、無理だよ。

普段とは違う格好。

見えているのか分からないぐらい、隠れている顔。

1枚の壁を挟んでいるような、明るい声。

不安になるものしか、ないんだから。

大丈夫かな……

本人が深掘りしないで欲しいように、 答えられたから、それ以上は聞かないことにした。

けれど、ryokちゃんの様子はずっと伺うようにした。

           

レコーディングが始まった。

最初はmtkからだった。

別室で、mtkの歌声を聞く。

こんなにも、幅広い音程の声を出せるのは凄いな、 と思った。

歌に込める気持ちが、それほど大きいことを改めて、 気付かされた。

mtkの歌声を聴きながら、 俺の演奏はどうやって演奏しよう?と考える。

mtkの歌声を聞いていると、 別の所で違う音が聞こえてきた。

ryok

ハッ、ハァッ……

ryokちゃんの、呼吸音。

いつもの呼吸じゃないことに気がつき、そちらを見る。

振り向いて見ると、 頭を押さえながらソファの上で丸まっている、 ryokちゃんがいた。

wki

ryokちゃん!?

苦しそうに丸まっているryokちゃんの元へ、 急いで向かった。

ryok

ッ、グッ…はぁっ、はぁ……ゔぁ、ン"ッ…

喋ることも出来ないぐらい、頭の痛みが強そうだった。

少しでも和らげようと、頭を撫でる。

ryok

っ、ハァッ…はぁ、ングッ、はぁ……

頭を撫でると、少し和らいだのか、 さっきよりも呻き声を上げなかった。

wki

大丈夫、俺が傍にいるから。

安心出来るように、声を掛ける。

すると、頭の痛みが落ち着いてきたのか、 呼吸も正常になってきていた。

ryok

はぁ、はぁ…んッ、はぁ……

ryok

……

呼吸が正常になったことを安心していると、 ryokちゃんが急に静かになった。

少し不安になり、ryokちゃんの顔を覗く。

ryok

スゥー、スゥー…

なんだ、寝ちゃっただけか。笑

wki

おやすみ、ryokちゃん。

少し疲れちゃったかな?

ゆっくり休んで欲しい、と気持ちを込めて頭を撫でた。

mtk

ただいま〜…ってどういう状況?

ちょうど、レコーディングを終えたmtkが帰ってきた。

mtkに、さっきの出来事を伝える。

出来事を伝えると、mtkは難しい顔をした。

wki

どうしたの?

mtk

いや、ryokちゃんさ…

mtk

何か、隠してないんじゃないかって…

mtk

でも、聞いていいのか分からなくて…

wki

……確かに、ねぇ

実際、頭が痛くて丸まっている時に声を掛けると、 驚いたかのように体を固めた。

だから、何かはあると思う。

でも、それを聞いていいのか。

そう、mtkも悩んでいた。

wki

……ryokちゃんが、言いたくなるまで、待ってみよ。

wki

いつになるかは分からないけど、話してくれると思うから。

mtk

……

mtk

…うん、それまで待ってみる。

mtkにも、数分前の俺にも掛けた、言葉。

その言葉を胸に抱きつつ、 ryokちゃんが話してくれるまで、 待ってみることにした。

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