四角い建物の中に、足を踏み入れる。
懐かしい場所だ。
前は、小さなことなら何でも願いが 叶う部屋に行ったっけ。
前とは違う廊下の角で曲がり
生者の世界が見れる部屋に入る。
部屋の中には、5台のパソコンが設置されていた。
お兄ちゃんは腰を下ろして
パソコンを起動させた。
葵
お兄ちゃんは、パソコンにお母さんの 名前を打ち込んだ。
その瞬間、画面に病院の部屋が 映し出される。
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お父さん
お父さん
なんだよ、この人達。
あれ程、
私が死にたいと思う程、 追い詰めたくせに。
…でも、
気づいたら、泣いていた。
画面の向こうで泣きわめく両親と
いつまでたっても目を開けない 私を見て
泣いていた。
私の心の傷は癒えない。
両親を心から許すことは、出来ない かもしれない。
でも。
なんだかんだ言って、私は
お母さんとお父さんが好きだから
結局は、一緒に笑い合う未来を 望んでいたのだろう。
お兄ちゃんは、泣いている私を見て 微笑んだ。
真琴
真琴
真琴
真琴
真琴
葵
葵
真琴
葵
葵
真琴
私が病院で目を開けたときは
少しずつでいい。
少しずつ、また二人と良い関係を 築いていこう。
真琴
真琴
葵
葵
真琴
そう言って、私は目を瞑る。
葵
葵
葵
真琴
葵
葵
葵
葵
真琴
真琴
葵
そう言って笑ったお兄ちゃん の姿を最後に
私の意識は遠のいていく。
目を開けると
そこは病室だった。
お母さん
真琴
お母さん
お母さん
お母さん
お母さんは泣きながら、私を 抱きしめた。
お父さん
病室にいなかったお父さんが、走って こちらに向かって来る。
お父さん
お父さんも、そう言って私を 抱きしめる。
怪我は痛いし
みんなが泣くしで
私はその時、お兄ちゃんが死んでから 両親の前で初めて大泣きした。
あれから時は過ぎて
孫
孫
私は今、病院のベッドの上にいる。
真琴
私はあれから結婚し
幸せな家庭を築き上げた。
お兄ちゃんとの約束通り
私は死後の世界から帰った後 70年生き続けた。
両親は、20年ほど前に亡くなって しまったが
私と良好な関係を築いていた。
夫
夫
真琴
真琴
真琴
真琴
家族はみんな、不思議そうな顔を していた。
真琴
真琴
最期は笑って、幕を閉じた。
目を開けると
そこは、幻想的な場所だった。
真琴
真琴
真琴
立ち上がって、あたりを見回す。
死後の世界は、大勢の人で 溢れかえっていた。
その時
腰の曲がった二人の夫婦と
桃色頭の男の子が
楽しそうに話しているのが 目に映った。
真琴
真琴
曲がった腰を一生懸命に伸ばして
動きづらい足を精一杯動かした。
みんなの元へ、
私の大好きな家族の元へ、 走り出していった。
コメント
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ふぇえええええん……
…私も死んだら亡くなったおじさんに会えるかな。…絶対無いけどね(笑)
泣いたᐡ ߹𖥦߹ ᐡこんな優しいお兄ちゃんなんだから、こりゃお母さん達悲しむわな(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)♡*゜これからも頑張ってください!\(◦´-`◦)/♡フォロー失礼します(๑ ᴖ ᴑ ᴖ ๑)