inkとerrorはとあるAUに訪れていた
ink
わぁ…綺麗な海だね
error
……。
海が舞台のAU
error
(…こんなに綺麗なのに勿体ないな)
今はもう誰も残っていないAU。誰もその存在を気にかけていない
ink
…なんだか僕達二人だけの世界みたいだね
error
(まぁ…実際俺以外いないがな)
ink
………?
error
…おい!あまり動き回るナ!!
error
迷子になるだろうが…ったク
ink
あはは…ごめんごめん
error
…で、何か見つけたのカ?
ink
…あ、そうそう
error
?
ink
なんか遠くでキラキラしてたから気になっちゃって…
ink
…はい!!これerrorにあげる!!
嬉々として手をこちらに広げて見せてきたのは貝殻だった
error
……。
ink
あれ…
ink
エラーのことだからすぐ捨てると思ったのに…珍しいね?
error
…ふん。お前は嫌いだが、貝に罪はないカラな
ink
えー?なにそれ酷いなぁ
不満を嘆くような声のわりにその顔は笑っていた
" "
貝殻をじっくり観察する
光の角度でコロコロと色が変わって面白い
エ ラ ー
error
─ッ!!
呼ばれた気がして視線を向ける
そこには無機質な砂浜が広がっているだけだった
error
…幻聴か。
inkとerrorは恋人同士だった
だからと言って二人の関係性に変化は無かったが、それだけで十分だった
それなのに、inkはerrorを残して死んでしまった
errorが泣くことは無かったもののそれ以来AUの破壊行動をやめてしまった
いつだったか、二人は海のAUに訪れていた
そこでinkはerrorに貝殻をプレゼントした
手元の貝殻を見る
光が反射して虹色に輝く。皮肉なものだ
error
…こんなもん置いていきやがって
errorは貝殻を握った
小さなソレは力を加えたら呆気なく崩れた
粉々になった貝殻の破片が砂浜に落ちていく
砂と混ざったソレはもう判別の仕様がない
全部、落ちた
手の中にはもう貝殻は無い
暫く砂浜を見たあとにerrorはAUを後にした
" 大切にしてね "