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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

13 - バトル3 囚われの姫と狡猾なオネエ【1】

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3

2024年12月09日

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夜の街を駆ける、駆ける、駆ける。

このように急いでいる時こそ、車の免許を持っていない自分が恨めしくなる。

一宮

駄目だ、八橋から返事がない!

四ツ谷

あいつ、なにしてんだよ?

走りながらスマホをしまうと、指定された場所に向かって走る2人。

一宮

指定された店ってのは、この先なんだよな?

四ツ谷

あぁ、ざっとネットで調べただけだから、場所が合ってるか不安だけどな。

2人がある場所へと向かっている理由。

それは七星から送られてきたメールにあった。

――お前達の仲間は預かった。 無事に返して欲しくば、指定の場所まで来られたし。 なお、本日の日付が変わるまでに姿を現さなかった場合、彼女の無事は保証できない。

一宮

くそ、こんな乱暴な手段を取ってくる相手がいるなんて。

メールが届いたのが、午後9時を過ぎた頃。 そこから慌てて準備をして四ツ谷と合流したが、すでに時刻は午後10時半を回ろうとしていた。

指定された時間まで余裕があるとは言えない。 急がねば。

四ツ谷

多分、相手は俺達がつるんでることを知ってる。

四ツ谷

だから、七星を餌にして、俺達を一網打尽にしたいんだろうな。

メールには画像が添付されており、椅子に縛りつけられた七星の姿が確認できた。

一宮

それにしても、八橋はどうしたんだ?

四ツ谷

それはあんたのほうが連絡取りやすいだろ?

四ツ谷

連絡がつかないなら、最悪俺達だけで乗り込むしかない。

一宮

桃太郎に金太郎か……。

一宮

小さい頃、そんなRPGをプレイした記憶があるよ。

四ツ谷

浦島太郎とかが足りないけどな。

事前に場所を調べてあるという四ツ谷を先頭に、合流した駅から駆けることしばらく。

2人は路地へと入る。

四ツ谷

あった、この店だ……。

繁華街の中にひっそりと看板をかかげる店。

CLUB レゾンデートル

店の前で立ち止まると、一宮と四ツ谷はアイコンタクトを交わしてから、半地下の入り口へと向かった。

四ツ谷

前にも言ったけど、相手が複数かつ、両者が主従関係にあった場合は、前回のあんた達の策が有効になる。

四ツ谷

もしそうなったら、俺が囮役をやるから心配するな。

一宮

――性質的には、北風と太陽に似てるからな。

四ツ谷

はっきりバリエーションに乏しいって言ってくれよ。

四ツ谷

金太郎は名前だけメジャーになったくせに、内容を知らない人が多い話だから。

一宮

とにかく、なにが起きるか分からないから、充分に気をつけろよ。

四ツ谷

あぁ、鬼退治と行きますか。

四ツ谷

まぁ、金太郎は熊と相撲取っただけなんだけど。

一宮

そんなに卑下するなよ。

四ツ谷

囮役にはうってつけだけどな。

扉の前までたどり着くと、一宮が扉に手をかけた。

店内は静まり返っていた。

当然のように人の気配などなく、ひんやりと冷めたダンスホールが佇んでいた。

どうやら、すでに廃業となってしまったクラブホールのようだった。

四ツ谷

ネットでも廃業したって書かれてたけど、どうやらその通りみたいだな。

一宮

あぁ、そうみたいだな。

四ツ谷に返した一宮は、少し段差がつけられたところ――おそらくステージだったであろうところに、七星の姿があることに気づく。

パイプ椅子に座らされ、ロープでぐるぐる巻きに縛られている。

一宮

七星っ!

四ツ谷

姐さん!

四ツ谷と共に七星のところに駆け寄る。

七星

……一宮、四ツ谷。
すまない。私としたことが迂闊だった。

一宮達のことに気づいた七星は、力なく呟いた。

四ツ谷

今、解いてやるから。

とりあえずロープを解こうと四ツ谷が手を伸ばした時のことだった。

三富

待っていたわよ。

ふと背後から野太いながらも、しかし女性のような口調で声をかけられた。

振り返ると、長身の男と、その背後には覆面を被った人影が数名分確認できる。

一宮

……あんた、誰だ?

四ツ谷

よくも姐さんに乱暴な真似を。

三富

あら、私はその子をここに連れて来ただけで、手は一切出してないわよ。

三富

アタシは三富、女には全く興味ないの。

三富

ちなみに、白雪姫の所持者でもあるわ。

四ツ谷

分かってはいたけど、やっぱりホルダー絡みか。

一宮

七星を返してもらおうか。

一宮が睨みつけると、三富はなぜか嬉しそうな表情を見せる。

三富

あらぁ、いい男じゃない。

三富

私、あなたみたいなタイプ、超好みよ。

三富

もしかして、私が勝てば、あなた達を自由にすることもできるってことよね?

三富

んー、ゾクゾクしちゃう。

四ツ谷

そんな簡単に俺達は倒せない。

四ツ谷

言っておくけど、この一宮ってやつ強いから。

四ツ谷

俺と姐さんを簡単に倒した男だからな。

三富

あら、そう。

三富

アタシ、強い男大好物なの。

三富

美味しくいただかせてもらうことにするわね。

一宮

その前に七星を返してもらおう。

一宮

彼女は俺達をここに呼びつけるためにさらったんだろ?

三富

嫌よ。断るわ。

三富

じゃあ、早速だけどアタシから勝負を仕掛けさせてもらうわ。

四ツ谷

いや、勝負は俺が仕掛けさせてもらう。

三富

駄目よ。なにを企んでいるか分かったものじゃないから。

三富

あなた達、勝負の邪魔になるだろうから、どっか行ってなさい。

三富が覆面の奴らに3人に向かって言う。

すると、覆面の奴らはどこかへ姿を消してしまった。

三富

さて、今回のルールはシンプルにしましょう。

三富

単純にアタシとあなた達の勝負。

三富

まず、いつもの勝負と同様に、彼女にはストーリをセットしてもらうわ。

三富

そして、アタシ達はどのストーリーが仕掛けられたのか、実際に踏む……当てるの。

三富

ゆえに、いちいち勝負の場を変更する必要もないから、このままの環境でやらせてもらうわ。

三富

これって、かなりあなた達のほうが有利になると思うんだけど、どうかしら?

一宮

(勝負を仕掛けたほうが、ある程度のルールをコントロールできるし、環境を整えることができる)

一宮

(ただ、環境を変える必要性はないから、このままの環境でやるってことか)

一宮

(ルールはいたってシンプル。七星がセットしたであろうストーリーを踏んだほうの勝ち)

一宮

(現在の環境のまま勝負できるってことは、もしかして普通にスマホとかも使えるんじゃないだろう?)

一宮

(なら、それを使ってセットしたストーリーを俺達に伝える……なんてことも可能だ)

四ツ谷

待て、勝負の前に姐さんのロープだけ解かせてくれよ。

三富

駄目。
囚われの姫は囚われの姫でなけりゃいけないんだから。

一宮

(七星が俺達に何かしらの手段で正解を伝えるかもしれない。それを見越しての返答か。この男――思ったよりも強いかもしれない)

三富

今回は性質上、ストーリーをセットするのは特定の人間だけでいいわ。

三富

アタシ達はセットする必要がないから、彼女がセットしたら開始としましょう。

そう言うと、三富はどこかに姿を消す。

しばらくすると、重低音がやけに響くビートが店内を支配した。

三富

なんだか、音楽くらいないと寂しいからね。

三富

どう?
盛り上がってきたでしょう?

三富がそう言いつつ七星のほうへと視線をやる。

一宮

(七星の人魚姫は、それこそバリエーションの多い物語だ。いかに三富に悟られず、なおかつ俺達には分かりやすいストーリーをセットできるか)

一宮

(勝敗の行方は七星が握っていると言っても過言じゃない)

三富

闇雲に答えるのも面白くないわ。ターン制にしましょう。

三富

そちらが先に答えて、その後にこちらが答える。

三富

解答権は互いに一回ずつを繰り返す感じね。

三富

これだと、人数によって有利不利が左右されないでしょう?

七星

……ストーリーセット。

爆音に近い音楽の中、しかし七星の声がやけに通った。

三富

さぁ、始めるわよ!

三富

かかって来なさい!
坊や達!

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