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日向翔陽はその日久しぶりに体育館の中央に立っていた。
誰もいないコート。
ネットの向こう側にはかつて自分が目指していた空が
変わらず広がっていた。
彼はただそこに立ちつくしていた。
怖くて、踏み込めなくて。
でも_
でももう一歩踏み出したいと確かに思っていた。
霧島 澪
声がて振り向くと澪がいた。
彼女は制服のまま、ボールをひとつ抱えていた。
日向 翔陽
霧島 澪
日向 翔陽
霧島 澪
霧島 澪
日向は言葉を失った。
澪の声は震えていたけど、そこには確かな真実があった。
霧島 澪
霧島 澪
霧島 澪
日向 翔陽
ひなたはポつりと呟いた。
日向 翔陽
日向 翔陽
その瞬間澪の目に涙が滲んだ。
霧島 澪
霧島 澪
差し出されたボール。
日向は震える手でそれを受け取る。
そして、深く息を吸った。
(怖い…けど__)
澪が見てる。
誰かが今の自分をちゃんと見てくれてる。
その想いが足に力をくれた。
1歩、2歩、3歩。
空が揺れた。
音がした。
ボールはネットを越えて、真っ直ぐ床へ落ちた。
その瞬間日向の目に涙が溢れた。
日向 翔陽
霧島 澪
霧島 澪
霧島 澪
2人はただ見つめ合っていた。
それだけで十分だった。
その日
日向翔陽は
飛べなくなった烏
じゃなくなった。
後日。
体育館には日向の姿があった。
練習着に着替え、ストレッチをしている彼の背中は、
どこか晴れやかで、まるで昔の
太陽
のように輝いていた。
霧島 澪
日向 翔陽
霧島 澪
日向 翔陽
そういう笑う彼に、澪は何も言えなかった。
ただ、胸の奥に熱い何かが満ちていた。