春の訪れを感じる風が、後者の廊下を吹き抜ける。
日向翔陽がバレー部に復活したことは
瞬く間に学校中に広まった。
_太陽が戻ってきた。
でも_
それと同時に、霧島澪の孤独は再び深まっていた。
教室の中に刺すような言葉が飛び交う。
澪は黙ってノートを見つめていた。
聞こえないフリをして、必死に自分を守っていた。
でも、その日の放課後。
机の中に押し込まれていたのは、破られた手紙と黒く塗りつぶされた写真だった。
(限界だ…)
手が震える。
喉の奥が締め付けられる。
ここにいたら、壊れてしまう。
そう思った瞬間、
澪の足は誰にも告げず、校舎を飛び出していた。
日向 翔陽
部活後に聞かされた一言_
日向の胸がざわついた。
(まさかまた、何かあったのか?)
嫌な予感が全身を突き抜けた。
迷わずスマホを取り出し、澪に連絡を入れる。
でも_既読がつかない。
そして、日向の脳裏をよぎる言葉。
校舎を探し始めて、数分。
見覚えのある影が、屋上のフェンスに1人もたれていた。
日向 翔陽
声をかけると彼女はぴくりと震え、顔を上げた。
目は真っ赤に腫れて、声も出なかった。
日向は黙って、隣のフェンスに腰を下ろした。
霧島 澪
日向 翔陽
霧島 澪
霧島 澪
霧島 澪
日向 翔陽
ひなたの声は震えていた。
あと一歩で大事な人を無くしそうになった恐怖。
日向 翔陽
日向 翔陽
日向 翔陽
日向 翔陽
澪は黙って聞いていた。
日向 翔陽
日向 翔陽
日向 翔陽
初めて、日向くんに澪と呼ばれた。
そのたった一言が凍っていた心を暖かく溶かした。
霧島 澪
澪が小さく泣いた。
霧島 澪
霧島 澪
日向 翔陽
言葉なんて要らなかった。
ただ、日向の手が澪の肩にそっと触れた。
暖かい。
それだけで、涙がとめどなく流れた。
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