青
もう、疲れた。
事の始まりは僕のこの一言だった。
桃
……どうしたの?
青
全てが嫌になっちゃった。
青
ここにいたくない。
桃
………。
青
わかんなくなっちゃった。
青
皆のことが。
青
何が本当で、何が嘘なの?
青
何も分からない。
青
どうしたらいいの?
青
僕は何なの?
僕は今の思いを全て彼に打ち明けたんだ。
そしたらね。彼はこう言ったの。
桃
じゃあ、俺と一緒に探そうよ。
青
え、?
桃
“本当”を、一緒に探しに行こうよ。
青
どうやって?
桃
分からない。
桃
俺も分からない。
桃
だから、一緒に探そう?
青
ふふっ、いいよ。
青
その代わり、一人にしないでね?
桃
勿論。
それから僕らは旅に出たんだ。
行った先々で
沢山のものを見て
沢山の思いをして……
そんなことを繰り返していたら、
とある廃村までたどり着いたんだ。
古い民家の中に、一際目立つ大きな建物。
桃
……図書館?
その図書館からは他とは違う、不思議な感じがした。
青
行ってみようよ。
僕は、その不思議な感覚を確かめに図書館の方へと歩きはじめる。
青
わぁ…
桃
綺麗……
ずらりと並ぶ本の壁。
長い間手入れをされていないのだろう。
したから生えている草に、壁を這うツタ。
そしてその周りに舞っている綺麗な模様の蝶たち。
廃村なので、僕たち以外に人気は無く。
それら全てが神秘的に思えて、
まるで絵本の世界へ迷い込んでしまったかのようだった。
青
ここなら……(ボソッ
ここなら、“本当”を見つけられる気がする。
そう思い彼の方を向くと、
桃
(パチッ
青
(パチッ
お互いに目が合い、
桃
ふふっ(ニコッ
彼が笑う。
きっと、彼も同じ事を思っていたんだ。
青
(コクン
僕は頷く。
いつか、僕らが“本当”を見つけるまで。
それまでここは、
ここは、二人だけの秘密基地。