夜明け前に目が覚めた。 まださえない目で、 ふと隣を見ると あるはずの温かさがなかった。
重く気だるいからだを持ち上げ、 そっとベランダの方へと歩み寄った。
その場に立ち、 ベランダの前にあるかべに手を添えている男に、 俺は後ろから擦り寄るようにハグをした。
蘇枋
蘇枋
少し身長差があり、 深い赤みがかった髪を持つ男の肩に そっと頭を擦り付けた。 優しく、 その甘い男の手で俺は頭を撫でられた。
桜
蘇枋
夜風は少し冷たく、 街中は光もなく すこし明るんだ空が照らしていた。
それでもまだ暗く、 この闇の中で蘇枋の持つタバコだけが 光の種となり優しい光を放っていた。
桜
桜
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
優しい手が 俺の頭を撫で続けた。
こうして、 蘇枋がタバコを吸う日は 何かがあった時だ いつもの様なすまし顔で隠そうとするが 直感か、 長年の付き合いだからなのか 察してしまう。
新聞配達屋が バイクで走っている音が聞こえる。 こうして日常音を聞くと、 本当にここにいて 蘇枋と付き合ってて、 生きてるってことを実感する。
蘇枋
考え事を強いる間に 蘇枋はタバコの火をぐりぐりとし 消していた。 そっと蘇枋に促され、 俺達は2人して部屋へと戻った。
いつから蘇枋が タバコを吸っていたなんて もう覚えていない。 気づいたら吸っていたし、 その時の俺は気にも止めていなかった。
けど最近になって 急に不安になってきた。 蘇枋がどこかへ消えてしまうんじゃ ないかって そんなわけないって心に言い聞かせるも 不安という黒い波が襲ってきた。
高校からの付き合いなのに 手を繋ぐのだってあまりしない。 キスだって、 まだ指で数えるくらいしかしていない。 こんなに長い間一緒にいるのに、 1番蘇枋のことを 分かっているはずなのに
1番蘇枋のことを信じられない。 そんな自分に嫌気が刺して、 瞳が少し潤んだ。
蘇枋
蘇枋の手が肩に置かれ、 触れられたところがピクリと跳ねた。 こんな顔見られたくなくて、 顔をしたにうつ向けた。
蘇枋の陶器のような白い肌。 そんな綺麗な手が優しく俺に触れた。
桜
桜
桜
蘇枋
あっさりした様に、 俺の返事に応答された。 まだ朝は来ていない夜 部屋に少しの明るさだけが残る。 俺の肩に優しく置かれた手は、 スっと俺の元を離れた。
この反応で、 さらに俺は不安に襲われた。 本当に俺の事なんか ちっとも好きじゃなかったんじゃないか
そうするとさらに 目が熱くなった。 下を向いていた所為で 蘇枋の顔が分からない。 俺がどんな顔をしているのかも、
俺らの別れは、 朝方の夜 あっさり終わりを告げた。
コメント
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新作..!!✨ 最初からすこしうるってきました..( ; ; )