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見るの遅れました~...!!! これって...お互いまだまだ好きなのではッ?!
あの別れから数日。 元風鈴高校1年のメンツから 飲み会の誘いが来ていた。 飲む場所は街の小さな居酒屋 メンバー全員が入るのには 少し苦労がした。
ギュッと至近距離に集まり ワイワイと杯を交わした。 ちょっと動けば隣に当たってしまいそうな距離感で 暴れまくって酔いまくって、 視界がクラクラしている奴もいた。 小さな居酒屋は、 あの頃と変わらぬ 小さなクラスへと変わっていた。
クラスメンバー揃って ワイワイ酒を交わすのは 心地よく楽しく思えた。 俺の隣を除いて……
桜
蘇枋
このメンバーは まだ俺らが付き合ってると思い 俺と蘇枋を隣の席へと案内した。 別れて数日しか経っていないのだから、 仕方がないことなのだが どうもこの男の隣は、 落ち着かなく空気が淀んだ。
楡井
楡井
楡井
この少し淀んだ空気に パッと光を刺すような 明るい声が聞こえてきた。 遅れてここへ来たこいつもあの時とは あまり変わっておらず、 元気に俺らへ挨拶を交わしていた。 変わったと言えば、 あの頃と比べ 身長が伸びたという所だろう。 "まだ"俺は抜かされていない。
桜
桜
楡井
俺個人へ挨拶をした後、 隣の蘇枋にも挨拶を交わしていた。 ちらりと隣に座る 眼帯をつけ、 蘇芳色の目 深い赤色の髪をした男へ顔を向けた。 酒を飲んで酔っているからなのか 楡井と心底楽しそうに会話していた。
楡井
蘇枋
蘇枋
楡井
桜
蘇枋
桜
楡井
身長、体重、 ちょっとした見た目も 全て変わっているのに、 この温かさだけは 何も変わっていなかった。 心が暖かくなるのを感じながら 静かに酒が入るコップの雫が垂れるのを見つめた。
蘇枋
蘇枋
急に声をかけられ 体がぴくりと跳ねた。 この状況で話しかけられるとは 思ってもみなかったからだ。
反射的に顔を見上げると 蘇枋の綺麗な目が 俺の顔を見つめていた。 恋人だった時の癖が まだ残っていたみたいだ。
桜
蘇枋
言葉を返すも 蘇枋は一言も喋らず、 次は笑顔を返してきた。 タッセルのピアスが しゃらりと揺れた。 この少しの会話を終えると 蘇枋は他のやつの方へ向き直り 談笑を初め出していた。
俺は喋りかけられて 嬉しく思ったのに 向こうはそうでも無いようだ。 この行動は、 高ぶった俺の心臓を 一気に縮めた。
桐生
桐生
桐生
桐生
桜
桐生
桐生
桜
蘇枋
蘇枋
桜
桐生
桜
蘇枋
蘇枋
桜
俺の威勢ある声は 周りの声へと呆気なく 消されて行った。 それを聴きながらも この2人はニコニコと 動物でも見る様な目をして 俺を見てきた。
蘇枋
桐生
桐生
蘇枋
桜
このノリも 数年経てば流石に ある程度躱せる様になったが、 たまーーーに、 ほんとたまーーーにだけ 真に受けてしまう。 この男の余裕ある笑みと 言葉は、 そう簡単に躱せないのだ。
桐生
桐生
桐生
いつもなら顔を赤くしている言葉も 今回ばかりは顔が青くなって行った。 冷や汗がツーっと首筋に垂れてゆき、 思わず顔を下へ俯けた。
桐生
俺の様子が少し可笑しいと思ったのか 桐生が不思議気にこちらを見た。
どうするかとちらりこちらに 蘇枋の視線が向いた様な気がしたが、 そんなことを気にしていられる精神を 今は持っていなかった。
蘇枋
蘇枋
桐生
桐生
桜
つい癖で、 蘇枋の後ろへ隠れてしまった。 ギュッと蘇枋の袖を握り ちらりと桐生に顔を向けた。
桐生
桐生
桐生
桐生
蘇枋
蘇枋
桐生
蘇枋
それから暫くは 桐生と蘇枋が会話をしていた。 俺はタイミングを逃し、 蘇枋の背から 離れるも離れられず、 しばらくそのままでいた。
桐生
蘇枋
桐生
桐生
と、如何にもこの後気まづくなりそうな 言葉を捨て吐くて ぱぱーーっと去っていた桐生。 何時ものノリだが、 今ばっかりはやめて欲しかった。
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
隣と距離が近すぎるため、 何かを言及されることは なかったが、 言いたい事は痛いほど伝わってきた。
『別れた男に、 そんな事するもんじゃない。』 きっとそう言いたかったのだろう。 長年一緒にいたんだ ちょっとした事はわかって当然だ。
置いてあるグラスの中にある 氷がカラリと音を立て 雫が垂れた。