主
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じゃあ、俺のこと知ってほしい。 付き合ってほしい。 付き合ったら、俺のこと知ってもらえるだろ? 放送委員のやつにはみられるんだww ダメだろ、それ
なぜ、こうなるんだろう。
返事が来るかもしれない、そこまでは予想した。
確率はだいぶ低いと思ってたけど、もしかしてもしかすると、とは思っていた
だからこそ、月曜日、返事をした日はこまめに人の目を盗んで放送室のリクエストボックスを覗いた。
僕と同じように靴箱に入れるかもしれない、と考えて自分の靴箱を開けるときは誰にも見られないように気を付けた。
万が一、さとみ君と顔を合わせるときまずいから、電車の時間も一本早めた。
だから、水曜日の今日だって、教室を移動してすぐ机の中をいの一番に探った。
そして見つけたルーズリーフ。
何が書かれているのかとドキドキしながら開けばこの内容だ。
なんで!?
なんでこのタイミングで付き合おうとか言いだすの!
僕はっきりと“ごめんなさい”って言ったよね?
あれじゃダメだったの?
僕の返事の内容は、どこで間違えてしまったのだろう。
『付き合ってほしい』
ころん
直視すれば、顔に熱が帯びる。
“好きだ”と書かれた一通目の時以上に、言葉に重みがある。
肘をつくふりをしながら、真っ赤に染まってるであろう自分の顔を隠した。
まさか…こんなことを言われるとは。
さとみ君はこれを書くとき恥ずかしくならないのかな。
受け取った僕が恥ずかしくてたまらない。
自分の心臓の音がうるさい。
頬に手を当てながら、ルーズリーフを見つめる。
最初は手紙のように、ちょっと硬いさとみ君の文字。
月曜日から今日まで、この返事を考えていたのかもしれない。
前回はすぐに返事をくれたけど、今回は月曜日の朝、返事を書いてから今日まで何もなかった。
しかも、リクエストボックスじゃなくて、机の中に入ってた。
リクエストボックスだと、僕がもう確認しないかもしれないと思ったのだろうか。
『俺のこと知ってほしい』
知ってほしいと言われても……。
知るために付き合うという考えはどうしてもできない。
付き合ったら、学校中の噂になるだろう。
なのに、やっぱり無理でした、とか合いませんでした、別れてください、なんて、僕から言えるはずがない。
それに、さとみ君から別れたくなる可能性もある。
それも、ななもり先輩と同じ理由で。
もう、あんな気持ちは味わいたくない。
相手がさとみ君なら注目度がアップされる分、別れた時の惨めさも倍以上だろう。
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コメント
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ブクマ失礼します!