卒業式後、屋上
隼也
あぁー……中学生活も終わったなー
芽衣
そうだねー、あっという間だったねー
隼也
でも、俺らの学校って中高一貫校だから、メンバーは全然変わらないけどな
芽衣
ホント、それ。だから、卒業式でも全然感動しないよね
隼也
なんも変わんねーな
芽衣
なんも変わらないね
芽衣
(こうして隼也と屋上に来て、二人でボーっとするのはこれで最後かもしれないなぁ)
芽衣
(そう考えると、めちゃくちゃ寂しいんだよね……だって、私にとって、この時間はなによりも大切で楽しみだったんだから)
隼也
高校の屋上もこんなに気持ちよかったらいいよな
芽衣
そうだね
隼也
高校に行っても、芽衣は屋上に来るだろ?
芽衣
えっ、も、もちろん……!
芽衣
(これって高校に行っても二人で過ごそうって言ってくれてるんだよね。どうしよう……すごく嬉しい!!)
隼也
お前くらいだもんなー。マイペースの俺に付き合ってくれるの
芽衣
ま、まぁね
芽衣
(ここで隼也のことが好きだからだよって言えたら、どれだけいいだろう……)
芽衣
(でも、ずっと友達でいた私からは関係を崩すことは怖くてできないよ……)
隼也
なんかさー、今日卒業式って感じしねーよな
芽衣
それ、さっきも言ってた
隼也
だって、なんも変わんねーもん
芽衣
それも言ってたって
隼也
…….やっぱさ、このままじゃいけねーよな
芽衣
えっ? いけない? なにが?
隼也
変わんないままでもいっかーって思ったけど……やっぱり今日を逃したら、きっかけってやつ、また三年後まで来ないかも知んねーよな
芽衣
さっきから隼也、なに言ってるの?
芽衣
(意味わかんないことを言いだしたと思ったら、いきなり立ち上がるし。えっ? 屋上の柵まで行くなんて危なくない??)
芽衣
隼也、どこに行くのよ! そっちは危ないよ!!
隼也
いいから! 今から俺が言うこと、しっかり聞けよ!!
芽衣
えっ? えっ?
芽衣
(こんな強い瞳で隼也から見つめられたことなんて、今まで一度もない……)
芽衣
(隼也ったら、なにを言いだすんだろう?!)
隼也
芽衣!!
芽衣
は、はい!!
隼也
俺は中学生活でやり残したことが一個だけある!!
芽衣
へっ? どうして今さらそんなことを言っちゃうの?!
隼也
それは……!!
芽衣
(隼也ったら顔が真っ赤になってる! それに大きく息を吸って今にも叫びだしそう!)
隼也
それはだな!!
芽衣
う、うん……!!
隼也
芽衣!!
隼也
好きだー!!
芽衣
ひゃ……
芽衣
(隼也のあまりにも大きな声に、つい目を瞑りそうになる。でも、今隼也が叫んだ言葉って……)
隼也
俺はやり残したことを今、やったぞ! 芽衣は?!
芽衣
えっ?! 私?!
隼也
あるんなら、今ここで言え!!
芽衣
えーーっ!!!!
芽衣
(私が中学生活でやり残したことなんて、隼也と一緒だよ! でも、いきなり大声で告白をしろだなんて)
芽衣
む、無理ー!!
隼也
なんだよ! 今、言わないとなにも変わらないまま高校生になっちまうぞ! ほら、言え! サン、ニィ、イチ……!
芽衣
わーっ!! す、好き! 私も隼也が大好きー!!
隼也
へへっ、言ったな
芽衣
はっ……はわっ……
芽衣
(つい勢いで言っちゃった!! どうしよう! めちゃくちゃ恥ずかしい……でも、隼也ったら本当に嬉しそうな顔をしてくれている……)
隼也
やっぱり両想いだったー。やったー、マジで嬉しい
芽衣
わ、私も……嬉しい!
隼也
高校生活、これで変われるな
芽衣
うん、変われた。隼也のおかげだよ
隼也
おぅ、高校生になってもよろしく。あっ、彼氏としてな
芽衣
うん、隼也の彼女になれたんだよね……これからずっとよろしくね