テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
5件
良すぎて困る(?)
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ 微グロ表現注意⚠️ パクリ禁止⚠️
主
主
主
16,赦しとは、正義を壊す覚悟のこと
俺ね、両親が警察官だったんだ。
だから家に帰っても一人の時が多くてさ。
家の中って、いつも静かだった。
時計の針の音だけが聞こえて、食卓には俺の分の夕飯と、メモ書きが置かれてた。
「冷めないうちに食べなさい」って。
文字の癖を見るだけで、母さんの声が浮かんだ。
あったかい、優しい声。
アニメも見てた。
特に戦隊モノ。
小さい頃の俺は、ヒーローを無心に見てた。
悪を倒して、みんなを守って、最後には笑顔が戻る——それが正義なんだって、信じてた。
だから思ったんだ。
“かっこいい大人になりたい”って。
それが警察を目指した最初のきっかけ。
親の影響もあったけど、自分の意思でもあった。
……少なくとも、あの日までは。
あの日も、母さんと父さんの帰りを待ってた。
本を読んで、時計を見て、また本を開いて。
でもいつまで経っても、玄関の音はしなかった。
普段しない夜更かしをして、テレビをつけた。
でもニュースなんて、子どもが理解できるものじゃなかった。
チャンネルを変えて、また待って。
その時——インターホンが鳴った。
主
主
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡170
主
主
あんまり、外に行って遊ぶって経験なかった。
でも、友達はいた。
ほんとはそんな予定、滅多にないのに。
遊ぶって言っても、本読んだり、勉強したり。
たまに友達と問題出し合って、どっちが早く解けるかって勝負したりしてさ。
それが“遊び”って言えるのか分かんないけど、楽しかったよ。
正解した瞬間の感覚が気持ちよかった。
答えのある世界って、こんなにも安心できるんだなって思ってた。
……隣の家の人だった。
焦った様子で、息を切らしてて。
俺、何か嫌な予感がしたんだ。
心臓が、ドクドクって早鐘を打って。
その人の口から出た言葉、今でも覚えてる。
何の冗談かと思った。
あまりに突然で、涙も出なかった。
その人に頼んで、現場の近くまで行かせてもらったんだ。
見てはいけないものを、見た。
父さんの腕が、少し離れたところに落ちてた。
母さんは、父さんを庇うようにして、死んでいた。
血の匂い。
鉄の匂い。
あれが“死”なんだと、初めて知った。
冷たくなった両親を、必死で抱きしめた。
警備をしていた警察官が止めに入ったけど、離さなかった。
……神様は俺のことが嫌いなんだって、そのとき本気で思ったよ。
親戚の家に預けられて、しばらくして俺は決めたんだ。
「俺が警察になる」って。
誰も守れなかった自分が、悔しかった。
父さんの死を、母さんの死を、ただの“事件”で終わらせたくなかった。
だから、歯を食いしばって勉強した。
人より早く現場に立ちたくて、必死だった。
そして——仇は討てた。
でも、気持ちは晴れなかった。
何も変わらなかった。
2人はいない。
正義を貫いても、誰も戻ってこなかった。
それからだ。
俺は機械みたいに働き続けた。
“正義”の名のもとに、命令に従い、冷たく犯罪者を裁く日々。
だけどある日、気づいたんだ。
今の国が掲げる“正義”は、歪んでる。
罪人を人として扱わず、死刑囚をまるで“実験体”みたいに管理してる。
人の命に、価値の差がつけられている。
……これが本当に正しいのか?って。
だから俺は決めた。
この刑務所長の座を任されたのは、きっと偶然じゃない。
神様が俺に与えた、最後の役割なんだと思う。
歪んだ“正義”を壊すために、ここにいる。
神様は俺を嫌ったけど、それでも——最後に一つだけ、光を置いていった。
だったら、俺はその光を信じたい。
少しでも、この国を良い方向へ導くために。
それが、俺の赦しなんだと思う。
——蘭はふぅ、と溜息を吐く。
冬に吐く白い息。
亥留馬は沈黙を置いたあと、静かに口を開く。
蘭は小さく笑った。
亥留馬は少し眉を寄せ、机に視線を落とした。
蘭は首を傾げる。
亥留馬はゆっくり顔を上げて、真っ直ぐ蘭を見た。
蘭は口を開きかけて、何も言えず、目を伏せた。
図星だった。
机の上のランプの光が、指の隙間を照らしている。
亥留馬の声は静かだったが、その奥に熱があった。
その言葉に、蘭は目を見開いた。
まるで長い夜の中で、初めて星を見つけたような表情だった。
亥留馬は苦笑して、頭を掻く。
蘭は首を横に振る。
短く言ったその言葉に、すべての感情が込められていた。
亥留馬はその表情を見て、静かに微笑む。
二人の間に、静かな時間が流れた。
外では、雨がまだ降っている。
しとしとと、優しく窓を叩く音。
白い照明がその雫を照らし、ゆらゆらと光を反射していた。
16・了