❤️side
上京して1ヶ月、一人暮らしにも慣れてきてバイトも始めた。 でも流星が近くにいない生活には全く慣れなくて、毎日大阪に 帰りたくてたまらない。
西畑大吾
好きな人ができたから別れて欲しいなんて言われたら、 俺は受け入れられるだろうか。
流星に限ってそんなことは無いと信じたいし、ちゃんと俺を 愛してくれてるのも伝わっている。疑ったり不安に思うのは いけないよな。
バイト前に気を紛らわそうと、前から気になっていた カフェに行くと、時間の関係なのか結構空いていた。 俺は2人席に通され、窓側のソファーに腰掛ける。
西畑大吾
コーヒーと頼んだケーキは甘くてふわふわしてて美味しくて、 流星が居ったら1口頂戴って言ってくるんやろうな。 結局ほとんど流星が食べちゃって、もう1個頼もうって笑う姿が 容易に想像できた。
そのとき、懐かしい匂いが鼻を掠め、思わず顔を上げた。 見ると、目の前を1人の女性が彼氏と思える男性の元に 駆けて行った。流星と同じ香水の香りがして、 もどかしさを感じる。
西畑大吾
インスタのストーリーをタップすると、甘そうなカフェラテと、 その横に難しそうな化粧品検定のテキストが置かれた写真が 上げられていた。“検定の勉強頑張る!”って 文字が添えられていて、流星も頑張ってるんやって 自分を奮い立たせた。
次に恭平のストーリーを見ると、“難しそう”という言葉と共に、 勉強に集中している流星の動画が上げられていた。 テキストのページを捲る手の薬指には、俺が約1ヶ月前に プレゼントした指輪が輝いている。
西畑大吾
流星への気持ちを唐突に伝えたくなった俺は、トークを開いて “流星、好き”ってだけメッセージを送る。スマホの電源を落として パソコンを開き、勉強に取り掛かった。
気が付いたらカフェに入って2時間程経っていた。バイトの時間も 近づいてきて、そろそろ店を出ようと荷物をまとめつつ スマホを開くと、流星から返信が来ていた。
大西流星
流星からの可愛らしいメッセージに小さく笑って インスタを開くと、恭平がまたストーリーを更新していた。
“りゅちぇが惚気大会始めたから勉強会 強制終了”
その言葉と共にストーリーに上げられた、流星の照れたような顔を 見てると今すぐに会って抱き締めたくなる。
俺のどんな事を話してくれてるん? 流星も俺と同じで、今すぐ会いたいって思ってくれてるん?
どこへ行っても何をしてても流星のことしか考えられない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バイト後、帰り道を1人で歩いていると、スマホが振動した。 流星からかと思って画面を見ると、同じサークルで同じバイトの 女の子からのメッセージだった。
西畑大吾
正直、その子は俺に気がありそうだと感じていた。 好いてくれるのは嬉しいけど、思わせぶりな行動だと勘違いされて トラブルになっても面倒だし、そもそも俺は流星一筋やからと 連絡先の交換を断っていた。
誰に教わったのか分からんけど、送られてきた馴れ馴れしい メッセージを見るだけにしてアプリを落とし、インスタを開いた。 恭平のストーリーには相変わらず流星の写真と “りゅちぇの惚気大会 延長戦(大吾くん助けて)”って書いてあって 思わず笑った。
流星のストーリーには、俺が昼間に送ったメッセージの スクリーンショットと、“僕もだいすき”って言葉。
流星は自分から周りに見せびらかすタイプやないからと 不思議に思い、気が付いたら流星に電話をかけていた。
大西流星
西畑大吾
大西流星
俺たちは今も変わらずカレンダーの共有をしてるから、 大体のスケジュールはお互い把握してる。 流星の優しい声に癒されながら、俺は頷いた。
西畑大吾
大西流星
心配しちゃったん?って流星が可愛く笑う。
西畑大吾
大西流星
西畑大吾
大西流星
声が聞こえただけで、愛しいって気持ちでいっぱいになる。 今すぐ抱き締めてキスしたいけど、今は我慢。
家に帰り、今度の夏どうやって彼を喜ばせようと計画していたら、 いつの間にか眠ってしまった。