ザァァァ…
ザァァァ…
ザァァァ…
君が、「どうしても」っていうから 来たけれど
全然泳がないじゃないし、 砂浜へも行かない
さっきから堤防から海を眺めるだけ
泳がないの?
この質問をしたのは何度目だろう
うん
君はさっきから 海の方を向いてボーッとしている
何かあったの?
ううん
こんな調子でさっきから そっけない返事ばかり
…見て
?
君から話しかけてくれたのを ちょっと嬉しく思った
そして、君の指さした方向に 目を向ける
…何?
鳥
…
私、鳥になりたいんだ
鳥を指さしながら 君はそう言った
普段の僕なら 「何を馬鹿な事を言っているんだ」 なんて思うだろうな
でも、なんだか今日は違った
なれるんじゃない?
君なら
君は一瞬こちらを向いたが すぐに鳥の方を見上げた
そして「ふふっ」と柔らかく笑った
ありがとう
うん?
君の笑顔に 僕の顔は赤く火照る
決めた、君がせっかくなれるって言ってくれたし
私、鳥になるよ
ど、どういう事?
そのまんまの意味
飛ぶのよ、鳥のようにね
次の瞬間
フワッと羽ばたいた
とても綺麗で美しい 鳥のような何か
そして、海の方を見下げると
何かが輝いているのが見えた
それは
君の笑顔だった







