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翌日。

晴人

あっ、このセーター特売だ

仕事は休みのため、俺は近くのショッピングモールに来ていた。

晴人

(去年全く服を買わなかったから、手持ちのセーターがサイズアウトしたり、手持ちの服のデザインが年々合わなくなったり)

晴人

これが年か………

晴人

嫌だな……

Tシャツ、セーター、パーカー、ジーンズなどを買い揃えた。

晴人

(散財してしまった)

元より、賭け事も酒もやらず、車やバイクの趣味もない。

たまには、こういったお金の使い方もいいだろう。

晴人

(小腹が空いたな)

晴人

(あ!このショッピングモールにあるチェーンのパスタ屋、最近食べ放題はじめたって言ってたな)

晴人

(敵情視察しよう)

今俺は、レストランの臨時店長だ。

せっかく外で食べるなら、競合の様子を調べたい。

晴人

(色々な意味で楽しみだ)

晴人

(こっちは店内の雰囲気いいんだよなぁ)

そこのチェーン店は、安くはないものの落ち着いた雰囲気で、メニューも定期的に変わり、接客サービスも丁寧だ。

店員

いらっしゃいませ。奥の席をご利用ください

店員

本日の日替わりはパスタは、ズワイガニのクリームパスタでございます。

晴人

へぇ、ランチにズワイガニパスタとは珍しいですね

店員

数量限定なんですが、

店員

お得なため、大人気です

晴人

そうですよね

晴人

晴人

あの、食べ放題をはじめたと知人から聞いたのですが

店員

申し訳ございません。それは土日限定メニューなんです

晴人

そうでしたか

晴人

(土日は視察に来られないな…どうしようか)

晴人

(…よし、今日はズワイガニのパスタにしよう)

晴人

店員さん、決めました。エビサラダと、ズワイガニのクリームパスタにします

店員

かしこまりました

晴人

(ズワイガニ…ウチではないメニューだからな。美味しそうだ)

数時間後

ショッピングモール近くの公園

晴人

(ズワイガニのクリームパスタ美味しかったな…カニの臭みは一切無かったし、提供スピードもウチとは段違い…)

晴人

(せめてもう一人従業員がいれば、ウチも早く提供できるんだけど…こればかりは…)

折角の休日なのに、考え事ばかりだ。

晴人

天気もいいし、考え事はやめて、少し公園内を歩こう

晶子

やめてください!

晴人

…ん?遠くから聞き覚えのある声がするような

晶子

警察呼びますよ!!

晴人

晴人

え?!晶子さん?!

晴人

何事だ?!

そこでは、俺の知り合いの女性と、見知らぬ男性が言い争っていた。

男性

だから、何もしてないって!

晶子

しようとしてたでしょ?!

晴人

あの、晶子さん

晴人

どうしました?

晶子

晴人君…!

晶子さんは目に涙を浮かべていた。

晴人

その女の子は…?

晶子さんと手をつないでいる、小さな女の子。まさか、晶子さんの子供…?

晶子

私、ここによく散歩に来るんだけど、さっき、この女の子と、無理やり手をつなごうとしてる男性を見かけたから

晶子

声かけたの

晴人

え?!それって

誘拐未遂、だろうか。

男性

だから、何もしてないって言ってるだろ?!

晶子

見知らぬ小さな女の子に声をかけ、怖がらせるのは十分通報案件です!

晶子

私、通報するから、晴人くんはこの男性を見張っててくれない?!

晴人

分かりました!

男性

は?意味わからない

男性

俺は悪くないぞ!帰るからな!

晴人

なっ、待て!

俺が不審者を追いかけようとした、その時だった。

小さい女の子

お兄ちゃん、行かないで!

晴人

小さい女の子

こわいの…!

小さい女の子

あの女の人、電話してるから

小さい女の子

私一人になっちゃうよ…!こわい!行かないで!

晴人

…わかった

晴人

そばにいるからね

小さい女の子

う、うわあああん

女の子は不審な男性がいなくなって安心したのか、泣いてしまった。

晶子

警察、すぐ来てくれるって

晴人

晶子さんすみません!アイツ、取り逃がしました

晴人

この子の側を、離れられなくて…。

晶子

いいのよ。ありがとう

晶子

私、あなたがいなかったら通報もできなかった

晶子

ありがとう

晴人

いいえ、俺は何もしていません

晶子

私も、こんなこと初めてで、怖かったから……

やがて警察がやって来たため、女の子は警察官に引き渡しをした。

小さい女の子

お姉ちゃん、お兄ちゃん

小さい女の子

ありがとう。

晶子

すぐ、お家の人が迎えに来てくれると思うよ

晴人

あとはお巡りさんに任せて、大丈夫かな?

小さい女の子

うん…もう大丈夫

晶子

偉いね、あなたは

警察官

ご協力感謝いたします

警察官

あとは、我々が処理いたしますから

晶子

お願いします

晴人

じゃあ、またね

小さい女の子

うん、またね

晴人

さっき、晶子さんが大声を出した時に

晴人

あの女の子、晶子さんのお子さんかと思いました…

晶子

そっか、確かにそう見えてもおかしくないか。

晶子

私、子供いないんだ。

晶子

(すぐミナトさんと死別したから。晴人くんなら、言わなくても分かると思うけど…)

晴人

途中で、すぐに気づきました

晴人

晴人

大人の俺でも、あの男を怖いと感じたから、きっとあの女の子はもっと怖かったですよね…

晶子

そうだね………

晶子

もし、私と晴人くんが、この公園に来てなかったら…って考えたら怖くなっちゃった

晴人

そうですね

晴人

犯人は逃したけど、助けられてよかった

晴人

きっと、警察が犯人を見つけてくれます

晶子

………そうね

公園内に冷たい風が吹き付ける。

晴人

そろそろ冷えてきたし、俺は帰りますが

晴人

晶子さんは?

晶子

私も帰りたい

晴人

晶子

その、恥ずかしいんだけれど

晴人

はい

晶子

腰が抜けちゃって…

晴人

晴人

ああ、それなら

晶子

何だか、前にもこんなことがあったわね

晴人

ああ、そういえば

晴人

晶子さんのヒールが折れた時でしたっけ

晶子

そうそう

俺は再び、晶子さんを背負っている。

今回はヒールが折れたわけではなく、晶子さんが不審者に腰を抜かしたからだ。

晴人

あの時より、晶子さん明るくなりましたよね

晶子

えっ?!

晶子

(めざとい)

晴人

あっ、すみません上から目線で…

晶子

いいの

晶子

確かにあの瞬間、私は自暴自棄だったから。

晶子

今は、違うよ

晴人

それなら、良かった

晴人

晴人

あの、

晶子

何?

晴人

旦那さんのこと、お聞きしてもいいですか…?

晶子

晶子

うん

晶子

きっと、長くなるけど、聞いてもらえる…?私も、晴人くんに聞いてほしいと、前から思ってたから…

晴人

…はい

私が彼と出会ったのは、大学生の時。

同じ天文サークルだったけれど、いつも静かで星ばかり見ていた黒髪、黒縁眼鏡のミナト先輩。

寡黙な彼と、人と話すことが苦手な私は、ほとんど、話すことはなかった。

ただ、サークル内で一緒に過ごすうちに、

少しずつ、 互いにひかれ合った………

ミナト

僕、不器用で、きっと晶子ちゃんのこと分かってあげられないかもしれない

ミナト

でも…

ミナト

これから先も、晶子ちゃんとだけは一緒に生きていきたいんだ

晶子

本当?

晶子

私で、いいの…?

ミナト

勿論。

ミナト

晶子ちゃん、僕と結婚、してください

この時、私は確かに 最高に幸せだった

数年後に

離れ離れになることも 知らずにー・・・。

つ づ く

レモンクリームパスタ

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