TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

その日

晶子

おはよう、ミナトさん

ミナト

…………………

晶子

もう11時だよ?休みだけど、流石に起きないと

晶子

晶子

体内時計、狂っちゃうよ?

ミナト

………………

彼を揺すって、 起こそうとした その時だった

晶子

え?ちょっと、ミナトさん…?!

晶子

晶子

ミナトさん、しっかりして!

顔は青白くて ぐったりしていて、 うっすら目が開いていてー 彼は、息をしていなかった。

晶子

その時のこと、ミナトさんが亡くなった朝のこと、今でも夢に見るの

晴人

晴人

そんな…

晶子

トラウマになっちゃったみたい。自分でも、朝起きられたら「良かった、まだ私は生きている」って毎回思ってしまって…

晴人

それは、辛いですね

晶子

あの時の辛いことを忘れて、前に進みたいのに…

晶子

忘れなきゃ、いけないのにね

晴人

晴人

え?

晶子

えっ、今、私

晶子

何て言ってた…?!

晴人

晴人

辛いことを忘れたい、忘れなきゃいけない、って

晴人

言ってましたけど…?

晶子

晶子

…嘘?!

晶子

私、そんなこと言った?!

晴人

はい

晶子

嘘でしょ…

晶子

そんなこと…

晴人

(辛い話をさせちゃったから、混乱したんだろうか)

晴人

あの、大丈夫ですか?

晶子

晶子

ごめんなさい。取り乱して

晶子

(そんな)

晶子

(私、ミナトさんが亡くなった日のことを忘れたい、だなんて…)

晶子

晶子

(最低な女だわ)

晴人

ほら、今日は色々あって疲れてたんですよ

晴人

早めに休んでくださいね

晶子

(晴人くんはいつも優しいな…私には、こんな心の余裕は無い…)

晶子

(彼はすごいな…)

晶子

ありがとう、お線香まであげてくれて。

晴人

いえ

晴人

晴人

俺、そろそろ帰りますね

晶子さんの家にあがったのは これがはじめてだ。

晶子

明日もお仕事?

晴人

はい

晶子

無理しないでね

晴人

…ありがとうございます

晶子

また、お店行くから

晴人

はい

きっと、これ以降 この家に来ることもないだろう

晴人

さようなら、晶子さん

晶子

晴人

また、店にいらしてくださいね

晶子

晶子

うん!

晶子

改めて、今日は大変お世話になりました

晴人

とんでもない

晴人

こちらこそです

晶子

………またね

晴人

じゃ、また………。

晶子

(私、もしかして………)

晶子

(晴人くんが 本当に、好きなのかもしれない)

晶子

………どうしよう

翌日

晴人

(今日、全然客が来ないな)

晴人

(近くで、何かイベントでもやっているのかな…?)

ピロン

晴人

島店長から、LIMEだ

島: 店はどうだ?最近、うまくやれてるか?

晴人

島店長が短文なんて、珍しい……慎重に返信しておこう

俺は、今の店の様子を報告した。

晴人

はぁ、やっぱり島店長がいてくれたら常連さんがいるから、

晴人: 今日はまだ3組しか来店していません。 数日前にはニュース25がウチに取材に来てくれたんですが、あまり影響なさそうです。

晴人

もっと、来客者も増えるだろうし………はぁ…

晴人

晴人

(いや、こんなことで弱気になったらダメだ)

晴人

よし!今のうちに仕込みをやってしまおう

晶子

ミナトさん

晶子

今日花屋に行ったら、もうポインセチアが並んでたの。

晶子

もう、あなたが亡くなって3年6か月経ったのね……

赤いポインセチア。 大体11月くらいに、花屋に並び始める。 ポインセチアの強い赤が、 クリスマスを強く主張している気がして辛い。

晶子

毎年、たった一人のクリスマス。

晶子

両親も、ミナトさんも、

晶子

皆いなくなって、楽しくないのに、クリスマスか………

晶子

クリスマスなんか、来なければいいのに

晶子

(どうしても、弱気になっちゃう…)

晶子

気分変えよう

晶子は、居間のテレビをつけた。

晶子

あら?

ニュースキャスターがいるのは、よく行くレストランだった。

晶子

晴人くんが映ってる…!

テレビの中で彼は、クリスマス限定メニューの話をした。

晴人

うちは元々パスタ屋でしたが、近年は肉料理も各店で調理しています。それも売りなんです。

晴人

12月上旬から、限定のクリスマスチキンの販売もございますので、是非いらしてくださいね!

晶子

晶子

鶏肉、美味しそう………

晶子

(次行ったら、鶏肉も食べてみようかな)

今まで、夫が好きだったレモンクリームパスタと、ガーリックトーストと、アイスティーしか飲み食べしてこなかったけれど。

これからは、自分が食べたいものを選ぼう。

晶子

(ごめんなさい、ミナトさん。あなたのこと、嫌いになったわけじゃないし、)

晶子

(別に、晴人くんとどうにかなりたい訳じゃない)

晶子

もう少し、私らしく生きてみたいだけなの………。

晶子

晶子

ミナトさん、こんな情けない私のこと………応援、してくれるかな?

つ づ く

レモンクリームパスタ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

43

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚