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男性

また来てくれたんだ

そう言って君は

優しげな笑みを浮かべる。

女性

よく分かるね

男性

まぁね

男性

何年も聞いてる足音だから

いつもベッドの上で座り

私を出迎えてくれる。

女性

…職場からはなかなか遠くて来れないのよ

女性

ごめんなさいね

3本の電車に乗らないと来れないけれど

毎日のようにココに通う。

男性

大丈夫だよ

男性

君こそ、無理しないでね

優しい声

決して彼に私の姿が見えることはないけれど

私は、満面の笑みで

女性

ありがとう

ベッドの隣にある椅子に腰掛けて

ただ黙って、時の流れを待つ。

彼といるときは

驚くほど早く時間が進む。

男性

…そろそろ──

女性

今日、何かあるの?

男性

…検査……かな…

いつもニコニコ笑う君が

今日は似合わない悲しい表情。

女性

何かあったら言って

男性

何も無いよ…

また、【優しそうな】笑顔。

女性

(あ……)

優しそうでおっとりとした目の先は

何かを決意したような、強気の表情。

笑っているようで、笑っていない。

深い深い闇に沈む、淡い光のように

切なく、虚しい表情をしていた。

男性

…────う

女性

え?

男性

ありがとう…

もう機能しないと思われるその目から

大粒の涙が零れた。

男性

本当に…ありがとう…

女性

そ、そんな

女性

お礼を言われるほどのことはしてないわ

彼は今

何を思っているのだろうか。

明日の朝も

また、笑い合えるのだろうか。

友人

ちょっと!

女性

なに?

友人

なに、じゃなくて!

友人

ほら、真由美がこの前言ってた

友人

毎日見舞いに行ってる男性!

女性

え?

女性

何かあったの?

友人

それが…

友人

彼、目が見えなかったでしょう?

女性

そうね

友人

もう一度、目が見えるようになる手術方法を見つけてさ

友人

それ、お初だったんだけど

友人

今からやるらしい

女性

うそ…

女性

本当に彼が?

友人

うん

女性

だけど……

友人

ぐちゃぐちゃ言ってないで、病院行ってきなよ!

友人

後がない展開になるかもよ!!

女性

そんな

友人

失敗する確率の方が高くて

友人

医者の人たちもみんな反対したのに

友人

やりたいって

女性

なんでそこまで…

友人

一生、目が見えないままあの人と会うくらいなら

友人

死んだ方がマシだって

女性

あの人って…

友人

毎日見舞いに来てくれる

友人

気の利く人

女性

わたし

女性

行ってくる

友人

いてらー!

女性

まだ間に合うかな……

心臓が高鳴る。

彼が──初めての手術だなんて。

そんなの、なんで私に言ってくれなかったの?

あの時の悲しそうな顔は、見間違いじゃなかったのね、

医師

ちょっと、キミ!!

医師

勝手に入らないでくれ!

女性

急いでるんです!

白衣を着た──医者が

前を塞いで、私を通さない。

医師

なんの用だね?手術室に

女性

彼が──今から彼が、手術をするんでしょう!?

医師

彼って……

女性

通して!!!

急がなければ彼とはもう会えないかもしれない。

何故か医師は、

涙を流していた。

※ 手術室です

ピー────…

女性

え……?

そこに横たわる彼には

生きている生気が感じられなかった。

女性

なんで…そんな…

男性

もし私がもう少し早く来れていたら?

もし今日あの表情にもっと早く気付いていたら?

もし、もっと早く───

この想いを伝えられていたら。

そしたら今頃 彼と私は

どこで何をしていただろうか。

女性

…っ

もう、口も目も開かれない彼の顔に

そっと触れる。

女性

冷たい……

彼は死ぬ直前

何を思っていたのだろうか。

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