懐古のボタン

「昔は良かった」

よく聞く言葉です

最近では若者も「昔は良かった」と

言っているのを聞きます

本当にそうでしょうか？

本当に昔は良かったと

過去だけを懐かしみ生きているのですか？

今に希望を持てないのですか？

もし

過去に行けるのなら

これは過去に行った男の話

はぁ

昔は良かったなぁ

ネットは今よりまともな世界だったし

今でいうお店等でバカな行動をする人も少なかった

今では亡くなってしまった有名人を見ることもできる

本当に、昔に戻りたいな

『叶えてあげましょうか？』

え？

2020年　5月3日　22時16分

『どうも～？聞こえてますよね？』

『そう怖がらないで下さい』

『私の名前はアネモネ』

『貴方の願いを叶えてあげます』

『昔に戻りたいんでしょう？』

『叶えてあげますよ』

『ええ、私はたまにしか嘘はつきません！』

『まあまあ、いいじゃないですか』

『貴方の近くに赤いボタンがあるはずです』

『それを押したら貴方の人生のどの瞬間にも行けます』

『過去にも未来にもね！』

『貴方今、何歳ですか？』

『そうですか』

『それなら、貴方が2012年の5月4日に行きたいと思いながら』

『そのボタンを押せば』

『そのとおり！』

『ええ、とっても最高の玩具です！』

『でもそれを使う際に注意点が一つあります』

『その時代の自分と家族等の縁が深い人に会わないことです』

『いいえ』

『そんな易しいものではありません』

『もし、会ってしまったら』

『その時代に取り残されます』

『本来過去にタイムスリップできる技術なんて』

『百年経ってもできません』

『そんな技術を使って世界の運命を変えようとしたら』

『世界がその時空間を切り取って一生未来に進めません』

『他人に会う程度なら許されますが』

『極力人と会うのは控えた方がいいですよ』

『まぁ、分かんなくても会わなければいいんですから』

『それに切り取られても世界は終わりませんし』

『大丈夫！大丈夫！』

『最悪、昨日とかでもいいですよ』

『ほう？それはどうしてですか？』

『へぇ～、そうなんですか』

『ふーん、そうですか』

ポチッ

2005年　4月23日　22時18分

『はい、成功しました！』

『この時代の貴方の部屋があった場所です』

『まぁまぁ、目的を思い出してください』

『スマホなら家に置いていましたよ』

『その前に観光でもしたらどうですか？』

『あそこのラーメン屋さんとか、確か潰れてましたよね？』

『間違っても令和のお金は出さないでくださいね？』

ー食事中ー

『美味しそうでしたね』

『私はまた今度食べに行きます！』

『丁度あそこに芝生の広場がありますよ』

『あそこで寝ましょうよ』

『多分貴方はこの時代の時も「昔は良かった」って言ってますよ』

『はい、お休みなさい』

2005年 4月24日　11時34分

『はい、おはようございます』

『そうですね』

『ではボタンを押してください』

ポチッ

2020年　5月3日　11時36分

『あ～、貴方やってしまいましたね』

『寝ぼけて頭が働いてなかったんですかね？』

ポチッ

・・・

『無駄ですよ』

『もうここは切り抜かれてます』

『ここだけ別の場所と考えてください』

『難しいので説明が面倒ですし』

『簡潔に言うと』

『貴方方はここから逃げ出せません』

『この2020年5月3日を永遠に繰り返します』

『私だけは帰るれんで、帰ってあのラーメン屋に行ってきます』

『じゃあサヨウナラ』

『いや～』

『ラーメン屋さん楽しみです！』

『あ！』

『皆さまも、また会いましょう！』