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絵麻

…遅い

時刻は夜の10時を回っていた

あれから家に帰ってきたあたしは家でごろごろしていた

でも夕食を食べようかと思った時、しゅう君のお母さんがうちにきて

おばさん

絵麻ちゃん、うちの柊人見てない?

絵麻

え?

おばさん

実はまだ学校から帰ってこないのよ

おばさん

友達と出かけても必ず夕食前には帰ってきてたんだけど

絵麻

ごめんなさい、私もどこにいるかは知らなくて

確かにしゅう君の部屋の電気はついていなかった

おばさん

あら、絵麻ちゃんも知らないかぁ

おばさん

まぁ子供じゃなっから大丈夫よね

おばさん

いきなりお邪魔してごめんね

絵麻

いえ、大丈夫ですよ

おばさん

じゃまたねー

おばさんはいつもみたいな軽口で最後は帰っていったけど

一応私も連絡を入れて…今に至る

しゅう君の部屋はいまだに電気がついていない

今日の出来事と上原君が言っていたことが頭に浮かぶ

しゅう君の機嫌が悪いのと、帰りが遅いの関係してる?

こんな時間まで一体どこで何をしているのだろう

嫌な予感が胸の中を支配する

絵麻

もしかして、彼女と?

しゅう君ならあり得る

絵麻

なんだ、そういうこと

上原君、しゅう君は私の事何とも思ってないんだよ

絵麻

少しでも期待してばかみたい

って一人で勝手に落ち込んでいると、しゅう君の部屋の明かりがついた

自分でもわからなかったけど、気づいたら私は走っていた

おばさんに声をかけてしゅう君の部屋に向かう

ガチャ

絵麻

あ…おかえり

柊人

……ただいま

ドアを開けたらそこにはもちろんしゅう君がいて

ちらっと見えた表情はいつもより険しくて声のトーンも少しだけ無愛想に感じた

ドアの前から動けずにただしゅう君の姿をじっと見ていると

柊人

……なに?

しゅう君がこちらを見た

明らかに機嫌が悪い

いつものしゅう君に戻ってほしいって思いを込めて制服の裾をキュッと握った

柊人

なに、この手

絵麻

…なにか怒ってる?

柊人

そんなこと聞いてどうするつもり?

絵麻

っ…

何もそんなに急に冷たくすなくてもいいじゃない

なんて思うけど、それは口にしない

柊人

逆に聞くけど、なんで俺の機嫌が悪いか絵麻にはわからないの?

絵麻

…凛久君のこと?

しゅう君の顔をしっかりとみると、凛久君の名前を出したらあからさまに嫌な顔をした

2人とも何も言わない

柊人

絵麻

絵麻

なに?

柊人

こんなに遅い時間まで、俺が誰と一緒にいたか…きかないの?

絵麻

へ…?

急に話の展開は思わぬほうこうに向いた

気になってはいたけどいざ、聞こうにも勇気が出ない

絵麻

誰かと一緒だったか聞いてもどうせ答えてくれないじゃん

こんな時までそっけない言い方しかできない

すると、しゅう君は表情を変えずに

柊人

答えてあげるよ

柊人

優菜と一緒にいた

柊人

それだけ

容赦なく吐き捨てられた言葉

その瞬間頭をなにか固いもので殴られたような感覚がした

わかっていた。この答えが来るって、わかっていたのに

聞かなきゃよかった

後悔と苦しさと悲しさと、いろんな感情が混ざって頭がおかしくなりそうだった

だから嫌なんだ…幼馴染なんて

柊人

なんかさ絵麻といるのが疲れて優菜といるほうが楽だって気付いたんだよね

柊人

そしたら愛おしく思えてきてさなかなか離してあげられなかった

柊人

それだけ

絵麻

…こんな時間まで?

唇が震えながらも恐る恐る聞く

柊人

そう、こんな時間まで

柊人

絵麻だってわかるでしょ

いつものしゅう君じゃないことくらいわかっている

私に見せつけてくるようにしてるだけ

だけど私は冷静に考えられなかった

絵麻

そう

絵麻

楽しかったならよかったじゃん

違う。そんなこと思ってない

絵麻

じゃあ今回の彼女は大切にしてあげなよ

絵麻

しゅう君がこんなこというなんてめったにないことなんだから

嫌だ。お願い止めて…

柊人

もちろん。絵麻に言われなくてもそんなのわかってる

絵麻

…そう

絵麻

お幸せに

声が震えないように、なにだがこぼれないようになんて我慢していたけどもう無理そう

しゅう君に背を向けて何も言わずに、部屋を出る

その時しゅう君は何も言わなかった

けど

パシっ

絵麻

っ…な、なに

絵麻

もう帰りたいんだけど

柊人

…逃げないでよ絵麻

つかまれた手を引かれて、私はあっという間にしゅう君に包み込まれた

絵麻

なっ!何するの!はなしてよ!

精いっぱい抵抗しても男のしゅう君にかなうわけなくて

柊人

ねぇなんで泣いてるの?

さっきまで冷たかったくせに急に優しく私の涙ぬぐって

絵麻

いや、離してってば

柊人

質問に答えてくれないとはなさない

嫌だ。ほかの女の子を抱きしめていたその手で私に触れないで

それにこれはしゅう君の計算

柊人

…ねぇ絵麻は一体何を思っているの?

絵麻

思ってるって?

柊人

俺は絵麻の考えてることがわからない

絵麻

…それは私のセリフだよ

柊人

ほら、まただんまり

絵麻

もういいよ

柊人

…え?

もう疲れた

絵麻

私これからしゅう君との距離間をかんがえるよ

それでも君が好き

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