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〘一歌side〙
一歌
一歌
ゆっくりと身体を起こし、 私は記憶を辿る
……あ、そうだ
黒いミクに会って、 セカイを救ってって言われて……
段々と意識が覚醒してくると、 私はあることに気づく
一歌
一歌
そう
私は森の中にいたのだ
…………厳密にいえば、森の中の 一本道の真ん中にいるのだけれど
__カシャン
一歌
何かが足に触れ音を立てた
一歌
音の正体は ミクからもらった剣だった
一歌
一歌
正直夢だと信じたい
けど、私達がいつも セカイでミクに会っている以上、 ここもセカイということ なのだろう
一歌
思わずため息を漏らした
__ウ"ア"ア"ァァァッ
一歌
背後から突然、 人間らしからぬ悲鳴……
………悲鳴とはちょっと違うか
唸り声が聞こえ、私は反射的に 振り返ってしまった
そこには___
一歌
化け物がいた
四足歩行でゆっくり こちらに近づく、頭のところに ニタリと形を変えた口だけが ついている化け物
正直見たくなかった
が………
一歌
身体が動かない
金縛りにあったように、 私は地面に座り込んだまま 震えながら声を出すだけ
?
来ないで、と心のなかで繰り返す
?
ふと、視界の端に剣が映る
___
このセカイには不純物…他人の いらない想い、が具現化して 怪物になってあふれているの
みんなにはそれを倒して、 本当の想いを見い出してほしい
___
一歌
?
少しずつ近づいてくる影を横に、 私は剣を見つめる
__これで、本当の想いの 持ち主を救えるのなら
一歌
私は剣を握り、 震える足を無視して立ち上がる
そして、剣の先を化け物に向けた
?
一歌
倒せるかどうかはわからない
けど、このまま 何もしないよりはよほど良__
?
一歌
化け物が突進してきた
ま、まだ心の準備 出来てないんですけど!?
一歌
思わず目をつむる
そして
一歌
ほとんど反射的に剣を振った
距離感なんて分からないんだから
スパッ
一歌
何かが切れた音がして、 驚いて目を開ける
……いや、“何か”というのは 分かりきっているけれど
一歌
目の前には
一歌
一歌
数え切れない木に囲まれた一本道
一歌
一歌
そしてもうひとつ感じる違和感
一歌
私は手ぶらだった
一歌
思考が追いつかない
私はただ、一本道の真ん中に 呆然と立ち尽くしていた