司
はぁ……
司
(なんとか類との旅行も終わったが…仕事が溜まってるな…)
司
(漫画の失恋ルートにも色んな反響を呼びそうだし…早めに対応して…)
女子社員
天馬さん、今日予定ありますか?
司
はい?いえ、今のところ特には…
女子社員
良かったら、今日の合コン参加できません?
司
…合コン?
女子社員
あ、もしかして彼女さんとか…
司
いや、それはいませんけど…
女子社員
青柳さんも誘おうと思ってるんですよ!
冬弥
え、あ、俺ですか?!
女子社員
はい!来れません?
冬弥
いや、俺合コンとかは……
司
あ、そういえば。俺、今日は青柳と飲みの約束してるんですよ。
女子社員
え?
冬弥
え、あ、
司
な?
冬弥
は、はい。すみません、予定ありました…
司
すまないが、他を当たってくれ。
女子社員
わ、分かりました
司
すまんな、冬弥。
冬弥
いえ、助かりました。
司
今日予定は?良かったら飲み行くか?
冬弥
あ、行きたいです!
冬弥
先輩の旅行のお話も聞きたいですし。
司
面白くもなんともないと思うぞ…
司
それで、先生が腰を痛めてな…
冬弥
ふふ、先輩って野球できたんですね。
司
ああ。スポーツは一通りな。
司
だが、卓球だけは先生に勝てなかったな。
冬弥
卓球…ですか。
司
冬弥はスポーツとか得意な方か?
冬弥
いえ、どちらかというと苦手です。
冬弥
けど、卓球は得意でしたよ。
司
そうなのか。先生にまたリベンジしたいから、今度教えてくれんか?
冬弥
ふふ、いいですよ。
司
担当の仕事も大変だよな…冬弥のとこの先生は、旅行とか行くことないのか?
冬弥
まぁ…ないですね。バトル漫画で、ほぼファンタジーなので。
司
バトル漫画なぁ…
冬弥
面白いんですよ。登場人物も個性的で。
司
今、話題になってるやつだろ?読んだことあるぞ。
冬弥
そうなんですか?俺も、先輩の先生が描いた漫画読んでみたいです。
司
BL漫画だぞ……
冬弥
ふふ、俺は漫画ならどのジャンルも好きですよ。
冬弥
けど、困った事にうちの先生はすぐ逃げるんですよ…
司
逃げる?
冬弥
スランプの時とか、原稿進まない時とかに、俺から逃げるんです。全く…困ったものです。
司
うちはそういうのは全くないな。そもそも、先生のスランプを見たことがない。
冬弥
すごいですね…流石です。やっぱり、担当のサポートがいいとそうなんですね。
司
いや、そんな事ないと思うが。
冬弥
けど…先輩って恋人いなかったんですね。ずっといると思ってました。
司
いないいない。いた事もないな。
司
冬弥こそ、いないのか?
冬弥
俺は……
冬弥
その、忘れられない人がいて、新しい恋に進めないんです。
司
ほう、
司
冬弥にも叶わぬ恋とかあるんだな…
冬弥
叶わぬ…そうですね、俺が最低な事をしてしまったので…もう一生、叶わないと思います。
司
(先生の漫画のネタになるかもしれんな)
司
良かったら、話してくれんか?
冬弥
え、いいんですか?
司
ああ。気になるしな。
冬弥
えっと…高校の頃、好きな人が出来たんです。
冬弥
俺の1つ上の先輩だったんですけど…優しくて、可愛い人でした。
冬弥
けど、その人は男でして…
司
ああ…
冬弥
でも、その好きな先輩に、告白されたんです。この上なく、幸せでした。
冬弥
けど…父は絶対、反対すると思い、怖くて断ってしまいました。
冬弥
その時…思ってもないのに、「男同士なんて有り得ませんよ」って言ってしまったんです。
司
(む、この台詞最近どこかで…)
冬弥
…絶対嫌われました。好きなのに酷いことを言ってしまって…
司
そうなのか…
冬弥
もし、もう一度会えるなら、謝りたいんです。許して貰えなくてもいいので、とにかくあの言葉を訂正したいです。
司
その……ちなみに、その先輩と卓球した事あるか?
冬弥
はい。教えて欲しいと言われたので、教えたことがあります。
司
(まさか…こんな偶然あるのか…?)
司
(いやいや、まだ確証はないな。)
司
その…名前、とか…
冬弥
類です。神代類さんです。
冬弥
もしかして、お知り合いですか?
司
(な……)
司
(類の好きだった人が冬弥で…冬弥の好きな人が類?!)
司
(もし…今、類と冬弥を会わせたら…)
司
…
冬弥
先輩?
司
いや、聞いた事ある気がしたが…思い出せないんだ。すまんな。
冬弥
いえ、先輩のせいじゃないです!💦
司
その…もし、会えたらどうする?
冬弥
とにかく謝りたいです。
司
……そうか
司
(きっと冬弥は復縁したいと思ってるんだろう…)
司
(このまま、俺が言わなかったら2人は会うことはないだろう。けど……)
冬弥
先輩?
司
…何でもないぞ。
類
ふわぁ…君、いつまでいる気?
彰人
もう少し匿ってくれ〜
類
もー…スランプは分かるけどさぁ、
彰人
類が描いてる漫画のアシスタントでもしてやろうか?
類
え、いいのかい?
類
ネームは出来てるから、あとペン入れなんだけど…
彰人
おー、任せろぉー
類
けど、君と全然ジャンル違うよ。君、バトル漫画でしょ?
彰人
おう。絶賛スランプ中のな。
類
僕のはBL漫画だよ。
彰人
別に否定しねーよ。姉もBL漫画持ってたし。
類
え、そうなの?!
彰人
おー。読んだことはねぇけどな。
類
いっぱいいいのあるから、是非読んでみて!!
彰人
布教しようとすんな
類
けど…担当くんから逃げてても、バレるんじゃない?
彰人
流石にここは知らねぇよ。それに、アイツは今日来ないし。
類
ふーん。早めにスランプ抜けられるといいね。
彰人
それなー
彰人
酒とかねぇの?…って、冷蔵庫カラじゃん!!
類
あ、買い物忘れてた。
彰人
お前マジかよ……死ぬぞ?
類
担当くんにも言われたよ。
彰人
お前の担当おかんだなw
類
いてもいいけど、明日の夜には帰ってね。
彰人
へーい
司
冬弥、大丈夫か?
冬弥
ぅぅん……
司
(少し飲ませすぎたか……??)
司
家って、こっちで合ってるんだよな?
冬弥
ぅう…
司
ちょ、ここで寝ないでくれよ?!
彰人
あれ、冬弥?
司
む、貴方は……
彰人
ども。ソイツ、うちの担当なんすよ。
司
あ、貴方がその先生でしたか!
彰人
そうなんすよ
彰人
えっとー、貴方は…冬弥の職場の人ですか?
司
ああ。さっき、飲みに行ったんだが、どうやら飲みすぎたようで…
彰人
冬弥〜、おい、冬弥〜
冬弥
うぅ……
冬弥
あ…彰人?なんでここに…
司
(「彰人」…)
彰人
とりあえず、コイツは俺が連れて帰りますね。
司
あ、ああ!よろしく頼む。
彰人
冬弥、帰んぞ。
冬弥
……お前、原稿は?
彰人
ギクッ
彰人
と、とにかく帰んぞ!!じゃ、貴方もお気をつけて。
司
あ、ああ。
司
(仲が良いんだな……)
ピンポーン
司
(無性に会いたくて来てしまったが…)
司
(流石に迷惑だっただろうか…)
類
彰人くん、何か忘れものでも…
類
え、司くん?!
司
あ、こんばんわ
類
え?どど、どうしたの?!
司
えっとー、たまたま近くを通って、
類
と、とにかく入って!
司
すみません、お邪魔します。
類
散らかってるけど…
司
いつも散らかってるでしょう
類
ふふ、そうだね。
司
…誰か来てたのか?
類
あ、そうそう。さっきまで知り合いの漫画家がね。
司
そうなのか。
類
スランプの時、たまに家に来るんだよ。担当くんから逃げてるんだって。
司
担当から逃げる…
類
あ、僕は逃げたりしないから安心して。
司
分かってる。今まで逃げられたこともないしな。
司
…突然押しかけてすまなかった。そろそろ帰るな。
類
え?もう帰っちゃうの?
類
夜も遅いし…泊まって行くかい?
司
え?!
司
いや、類、男をそんな容易に家に泊めるのは流石に…
類
え?同性だし、良くないかい?
司
も、もし何かされたりしたらどうするんだ?!
類
司くんなら大丈夫でしょ。
司
そ、それは…
司
(信頼されているのか、全く意識されてないのか…)
類
それに、司くんお酒飲んだんでしょ?このまま帰すのも心配だし。
司
しかし……
類
遠慮しないで。服なら貸してあげるから。
司
(そういう問題じゃないんだが…)
司
……なら、今日だけ世話になる
類
うん!お風呂用意してくるね!
司
あ、いや!俺がやるぞ!
類
酔っ払いは休んでて
司
酔っ払い…?!そこまで俺は酔ってないぞ!!
類
じゃ、お客さんは休んでて
司
むぅ……
類
…その服、僕が中学の頃に着てたやつだけど、
類
ピッタリみたいだね。良かった。
司
お前デカすぎないか???
司
これで中学…?!俺が小さいのか…?
類
いやぁ、そんな事ないよ。
司
思ってないな?
類
ふふっw
司
こら!笑うな!
類
ごめんごめんw
類
ごめんね、布団は1つしかなくて
司
俺は床でも良かったんだが
類
そんなの駄目だよ。体が痛くなっちゃう。
司
(このまま何もせずに寝られるだろうか…)
類
ふふ、こうして誰かと寝るのは久しぶりだな。温かいね。
司
ああ……
ほんの少し、魔が差しただけ
きっと酔っていたんだ。
司
類は…その、高校の時の好きな人ともう一度会えたら、どうする?
類
…え?
司
その好きな人に、告白されたら?
類
ちょっと何の話か分からないんだけど…急にどうしたの?
司
どうなんだ?
類
…うーん、
類
僕は…分かんないな。まだ好きなのかも、イマイチ。
類
まぁ、あの子が僕のこと好きなんて有り得ないしね。
司
…
酔った勢いと、少しの熱に浮かされた
司
類、好きだ。
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