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1/100の奇跡 ルール

抽選箱の中から黒い玉を引いたら当たり。

白の玉は外れ。

引いた外れは、抽選箱から除外する。

班単位で順番を決め、16人全員が1回ずつ引いたら、また最初に戻る。

これを3周終えるまでに、黒の玉を引き当てなければならない。

担任に対しての質問権が各班で発生する。

ただし、その質問に対して、担任は必ずしも本当のことを答えるとは限らない。嘘をつく場合もある。

教壇の上に置かれた抽選箱と、猟銃を手にした担任が見守る中、真っ先に行われたのは、順番決めの話し合いだった。

ここはハカセが再度議長となり、話し合った結果、じゃんけんという、これまた運任せのものに頼るはめになる。

現在、代表者達が互いにじゃんけんを始めるところだ。

ツヨシ

いいか、最初はグー。
じゃんけんぽん!

ツヨシの掛け声でじゃんけんが始まり、勝負は数回あいこを繰り返したのち決着。

ツヨシ

やった!
セイヤ、勝ったぞ!

なぜかじゃんけんに絶対的な自信を持っていたツヨシが、しっかりと結果を出す。

ツヨシ

勝った順番から、くじを引く順番を決めていいことになってる。

ツヨシ

セイヤ、俺達はどうする?

戻ってきたツヨシが、誇らしげにしながら問うてくる。

マドカ

ここは景気良く1番目ってのはどう?

マドカ

そもそも、あんまり引く順番関係なくない?

セイヤ

いや、引く順番は大いに関係あるよ。

セイヤ

このくじ引き。現状じゃ1/100かもしれないけど、後になればなるほど当たりを引ける確率が上がるんだよ。

セイヤ

外れは抽選箱に戻さないで除外するって担任が言ってただろ?

セイヤ

つまりあれって、外れを引けば引くほど、抽選箱の中の外れが減っていくってことになるんだ。

ヒメ

抽選箱に入れられた白い玉は、担任の言っていたことが本当だとしたら100個のはず。

ヒメ

これが外れを引くたびに減るんだから、当たりを引く確率も上がるよね。

セイヤ

そうなんだ。

セイヤ

くじを最初に引く人間が1/100でくじ引きに挑むのに対して、1週目の最後……16人目に引く人間がくじ引きに挑む時は、その確率がおよそ1/85まで上がってることになる。
この時点で15個の外れが除外されていることになるからね。

マドカ

これが周回するとなると、なおさら確率が上がっていくわけね。

セイヤ

あぁ、仮に3週目の最後までもつれ込んでしまった場合でも、最後にくじを引く人間が当たりを引ける確率は、おおよそで1/50まで跳ね上がる。

ツヨシ

ようするに、順番は最後にしたほうがいいってことだな?

セイヤ

うん。
でも、これはあくまでも確率論の話だ。

セイヤ

1/100なんて簡単に引ける確率じゃないけど、引けない確率でもない。

セイヤ

順番が先になった班の誰かが当たりを引いてしまう可能性だって充分にあり得る。

マドカ

結局、どっちがいいのよ?

ツヨシ

可能性を考えたらキリがない。
ここはセイヤの言う通り、順番を最後に回すようにしよう。

セイヤ達が話し合っている間に、他の班のじゃんけんも終わったようで、それぞれの順番が決定した。

まず、シズカ率いる班が1番目。

悪口ではないのだが、主体性のない人間ばかりが集まってしまったがゆえ、じゃんけんに出たのも、まさかのシズカだった。

じゃんけんの結果はどうだったのか分からないが、流されて1番目になった可能性は充分にあり得た。

セイヤ

ヨウタ達の班が2番目、そしてハカセ達の班が3番目か。

じゃんけんに勝った班から順番を決めた結果、希望通りセイヤ達の班が4番目となった。

志賀先生

よーし、それじゃ決まった順番通りにくじを引いてくれ。

志賀先生

あ、除外する外れの玉は、こっちの箱にでも入れてくれよ。

担任はそう言うと、もともと白い玉が詰まっていた箱を、抽選箱の脇に置いた。

こうして、静かにくじ引きが始まった。

とくに盛り上がることもなく、ただ淡々と順番にくじを引いていく。

当然、簡単に当たりなんて引けるはずもなく、すぐにセイヤ達へと順番が回ってきた。

ヒメ

この時点で確率は1/90をきってることになるんだよねぇ。

ヒメ

私、やってみる。

班のトップバッターはヒメ。特に取り決めはしていないが、班内の順番は各自で決めていいとのことだから、他のメンバーから異論がなければ、それで問題なし。

もちろん、異論も出なかった。

ヒメ

うーん、やっぱり引けないね。

セイヤ

まだ外れのほうが多いからな。1周目は仕方がないよ。

マドカ

じゃあ、次は私が引くわよ。

マドカが引くも、やはり外れ。

抽選箱の脇に置いた小箱に、外れ玉が増えていくばかり。

セイヤ

次は僕がいこうか。
トリはじゃんけんで勝ったツヨシにお願いしよう。

ここまできたら順番に大差はない。

セイヤは抽選箱に手を突っ込み、適当な玉を引いてみるが……当然のように外れ。

セイヤ

じゃあ、次はツヨシだ。

ツヨシ達の元へと戻り、ツヨシにバトンタッチする。

ツヨシ

なぁ、セイヤ……ちょっと確認なんだけどよ。

ツヨシ

くじってのは、1人あたり3回引けるんだよな?

セイヤ

あ、うん。
そうだけど。

ツヨシ

1人につき3回……担任は、そう言ったよな?

セイヤ

確かそう言ってたと思うけど。

ツヨシ

なら、見つけたかもしれない。
当たりを引く方法。

ツヨシの視線は担任のほうに向けられていた。

セイヤは確認できなかったが、きっとその瞳には憎悪の炎が燃えていたに違いない。

セイヤ

え、そんな方法が?

ツヨシ

あぁ……見てろよ志賀の野郎。

ツヨシ

一泡ふかせてやる!

3年D組のクーデター

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