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客間に通された一宮は、ただただ驚くばかりだった。

あんまり詮索はしたくないが、この内装――かなりの金がかかっていることだろう。

八橋

お茶を飲む部屋にステンドグラスがあるとか、千利休も逃げ出すレベルじゃない?

七星

どこぞの城を移設したという話だがな、詳しいことは私も良く分からん。

一宮達の前にはティーカップが並べられ、明らかに高級そうなお菓子がバケットに入って置かれている。

七星

さて、こうして集まってもらったのは他でもない。

七星

一宮の願い通り、私は力をかさねばならないからな。

七星

情報を共有しておきたいと思う。

七星

絵本のことについては、しばらく所持していれば自ずと分かるはずだから割愛する。

一宮

同化ってやつだな?

七星

あぁ、絵本と同化さえしてしまえば、ある程度のことは知識として理解できていることだろう。

七星

だが、今回の一宮達との勝負で、いくつか分かったことがある。

四ツ谷

まぁ、俺らも所持者……ホルダーになって長いわけじゃないから、手探りのところも出てくるよな。

七星

まず勝負の内容。

七星

あれはどうやら、仕掛けた側がある程度コントロールできるようになっているらしい。

七星

実験的にやってみたが、チーム戦というものも成立した。

七星

しかもストーリーを相手に踏ませるだけではなく、踏まれたらまずいストーリーもセットしなければならないというルールも追加できた。

七星

つまり、この絵本を巡る勝負は、基本的に仕掛けたほうがアドバンテージを得ることができる。

四ツ谷

勝負を仕掛けた側の思うままに展開できるからな。

七星

基本的に勝負を仕掛けた側が、ある程度のルールを決定できるのだから、有利になるのは当然だ。

七星

ただ、気をつけねばならないこともある。

七星

勝負の全てにおいて、仕掛ける側の認知が影響するということだ。

七星はそう言うと、ティーカップを傾ける。

アールグレイの香りが辺りには漂う。

八橋

認知?

七星

あぁ、一宮達に負けた要因が、まさしくこれだった。

七星

私は勝負を行う際、チームの振り分けを、捕縛権を有する者と捕縛されている者――と、無意識に紐付けていた。

七星

だからこそ、一宮と八橋はそれぞれ別のチームだと、あの時は認識されたんだ。

七星

もし、私の認知が【七星と四ツ谷でひとチーム、一宮と八橋でひとチーム】という認識だったら、もしかして負けていなかったかもしれない――ということだ。

七星

私が言いたいのは、仕掛ける側が有利なのは間違いないが、相手が人間である以上、付け入る隙はあるということだ。

四ツ谷

今、俺達が所持してるのは、それぞれ1冊ずつだけど、ここに4冊が集まってる。

四ツ谷

いつ仕掛けられてもおかしくはない――ってことか。

一宮

こうしている今だって狙われてもいるかもしれないってことだな?

七星

あぁ、ただ悲観することはない。――ごく一般的な考え方をするのであれば、一宮……君が私達を従えているように、他のホルダーからは見えているはずだ。

七星

これと相手の認知を利用すれば、仮に勝負を仕掛けられても、有利に立ち回ることができる。

四ツ谷

まぁ、俺達が囮になって、一宮のストーリーを踏ませればいいからな。

四ツ谷

俺達に使ったパターン、かなり強いと思うよ。

七星

まぁ、いつ勝負を仕掛けられてもいいように、準備しておくことが大切だ。

八橋

今日話したかったことって、それだけ?

八橋

別に私達をここに集める必要なかったんじゃない?

七星

いや、大切なことを伝えておかねばならない。

七星

実は、私はずっと絵本と所有者をマークしてきた。

一宮

どうやって?

七星

興信所やら探偵を雇ってな。

七星

調べさせたんだ。

四ツ谷

おぅ、金に糸目はつけないってやつか。

七星

あぁ、正直月に十数万も小遣いを与えられても使い道に困るんだ。

七星

それを費用に充ててある。

八橋

――月に十数万って、ガチもんのお嬢様じゃない。

四ツ谷

もうそこには触れないでおいてくれ。

四ツ谷

俺達と生きてる世界が違うんだ。

七星

とにかく、君達の行動は常にマークされていたんだ。

一宮

絵本の所有者は、その性質ゆえに引き合わされる。

一宮

他のホルダーも基本的にご近所さんってことになるわけか。

七星

まぁ、そういうことになる。

七星

だから、ホルダーを見つけ出すのは、そこまで難しくなかったようだ。

七星

特に私達に近い位置にいるのは、今のところ白雪姫と浦島太郎のホルダーだな。
どこの誰なのかも調べはついている。

七星

それでな、少し不穏な動きがあってな……。

七星

どうやら、短期間で頻繁にホルダーが変わっている絵本が確認されているみたいなんだ。

七星

しかも、元のホルダーは全員、不審な死を遂げている。

八橋

ちょっと待って。不審な死って?

七星

平たく言えば他殺のようなんだ。

一宮

確か、所有者が死を遂げた場合、絵本は次の相応しい人間の元に現れるんだよな?

七星

あぁ、決して殺害した本人のものになるわけではない。

一宮

それなのに、ホルダーの不審死が相次いでいる。

七星

そういうことだ。

七星

だから、みんなにも警戒して欲しいんだ。

七星

特に一宮、君は頭が切れるし、他人から到底想像ができないほどのお人好しだ。

七星

誰かに付け入れられたり、いきなり命を狙われるかもしれない。

四ツ谷

そんなこと言うなら、姐さんや八橋こそ気をつけたほうがいいんじゃない?

四ツ谷

一応、か弱き乙女なわけだし。

七星

いや、一宮がもっとも気をつけるべきなんだ。

七星

なぜなら、頻繁にホルダーが交代している絵本の中に、桃太郎も含まれているのだから――。

一宮

それってつまり……。

七星

あぁ、桃太郎の前の所有者は、何者かに殺害されたと考えていい。

見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

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