TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

七星に別れを告げ、邸宅を出るころには、すっかり辺りも暗くなっていた。

帰りもしっかり、リムジンで送ってもらえるあたり、実にありがたい。

八橋

ねぇ、さっきの話……どう思う?

四ツ谷

あ、ホルダーが物理的に殺されたかもしれないって話か。

八橋

その物理的って表現もいかがなものかと思うけど、その話よ。

八橋

それ、絵本の持ち主がやってると思う?

一宮

いや、それはないと思う。

一宮

そもそも、絵本を介して相手を殺すわけじゃないから、当たり前だけど証拠が残るだろ?

一宮

当然だけど警察も動くし、殺人ともなれば明確な犯罪だ。

四ツ谷

でも、絵本の持ち主だったら、なんの証拠も残さずに相手を殺すことができる。

四ツ谷

絵本が相手の魂を喰った……なんて話、警察が信じるとも思えないしな。

一宮

そうなんだ。

一宮

もちろん、相手を殺すには魂を喰う……すなわち、勝負に勝つ必要があるけどね。

四ツ谷

絵本の持ち主がそんなことをする可能性は低い。

四ツ谷

となると、絵本も持ってない人物が、ホルダーを殺して回ってるってことか?

八橋

でも、そもそも絵本の持ち主じゃなかったとしたら、それをする理由はなに?

八橋

ホルダーを殺したからって、その絵本が手に入るわけじゃないんだし。

四ツ谷

それが分かれば苦労しないだろうな。

四ツ谷

まぁ、お互い気をつけようってことで。

四ツ谷

あ、運転手さん、この辺りでいいです。

まだ街中であるが、四ツ谷が運転手に向かって声をかける。

運転手

かしこまりました。

3人を乗せたリムジンが、路肩に横付けされる。

四ツ谷

ま、なにかあったら俺か姐さんに連絡してくれよ。

四ツ谷

一応、あんたに協力するってことになってるんだから。

互いの連絡先はすでに交換済みだった。

八橋

あ、私もここで降りようかな。

八橋

ちょっと買い物もしたいし。

一宮

――七星の話を聞いてたのか?

一宮

警戒しろって言われてただろ?

八橋

大丈夫だって。
家まで一駅分くらいだから。

八橋

それに、私だって警戒くらいはするわよ。

一宮

そうか……。
充分に気をつけろよ。

一宮

八橋はどこか危なっかしいところがあるから。

運転手

もし一宮様さえよろしければ、八橋様のお買い物が済むまでお待ちしますが。

一宮

いえ、結構です。
そこまでご迷惑をおかけするわけにはいかない。

四ツ谷

それじゃ、また。

八橋

じゃあね、一宮君。

一宮

あぁ、また。

リムジンを降りた2人の後ろ姿を見送る一宮。

運転席に運転手が戻り、そしてゆっくりとリムジンは動き出した。

八橋

あー、思ったより遅くなっちゃったなぁ。

女子の買い物というものは、俗に言うウインドウショッピングも兼ねている。

まさか、ウインドウショッピングで、こんなに遅くなってしまうとは思わなかった。

念のためにとついて来てくれた四ツ谷も、さすがに八橋のウインドウショッピングには付き合いきれずに帰ってしまった。

ここから家までは、ほんの一駅分。

駅に向かうと引き返す形になってしまうため、そのまま歩いて帰ることにした。

八橋

……誰?

????

…………。

ふと、通りの向こうの人影に気づく。

その影はフードを目深にかぶっており、しかも八橋のほうを向いて立ったまま微動だにしない。

????

北風……と、太陽。

八橋

あんた、もしかしてホルダー?

????

北風と……太陽。

ぶつぶつと呟く人影。

八橋は背後を確認し、いつでも逃げられる状況を作る。

八橋

(なに、こいつ……)

八橋

(もし、相手がホルダーなら、こちらから先に仕掛けてやる)

????

北風と……太陽ぉぉぉぉぉぉ!

八橋のほうに向かって駆けてくる影。

八橋

(駄目!)

八橋

(勝負が仕掛けられない)

八橋

(ってことはこいつ、ホルダーじゃない!)

八橋がきびすを返すよりも早く、その影は八橋の懐へと飛び込んでてくる。

次の瞬間、冷たく鋭い感覚が、熱を帯びて腹部から全身へと広がった。

八橋

(え……マジ……で?)

数日後――。

念のために、しばらく送迎してもらうことにした七星は、しかしさすがに目立ってしまうため、学校の少し手前でリムジンを降りた。

七星

ありがとう、爺。

運転手

えぇ、お嬢様、それでは夕方お迎えにあがりますので。

七星

悪いな。
この歳になって、まさか送迎してもらうことになるとは。

運転手

いえいえ、お嬢様のご要望とあれば、私めは喜んで。

運転手

それでは、失礼いたします。

リムジンを見送ると、小さく溜め息をもらす七星。

七星

(しばらく警戒するに越したことはないが、ずっと送迎してもらうわけにもいくまい)

七星

(一応、七星財閥の令嬢ということは、学校関係者には隠しているわけだし)

学校からやや離れたところ――しかも、他の生徒に目撃されないような距離で降りたせいで、少しばかり歩くことになった。

しかし――それが裏目に出た。

突然、七星の隣にバンタイプの車が横付けされると、七星がそちらに視線をやるより早く、体が車の中へと引きずり込まれる。

七星

ぐっ……なにごと。

声を出せぬようにするためか、口を手で塞がれた。

覆面の男A

いいぞ!
車を出せ!

覆面を被った男が運転席から振り返り、そして頷くと車を発車させる。

七星

はな……せ!

覆面の男B

大人しくしろ!

七星を拘束している男が叫び、七星は身をよじらせて拘束を抜けようとするが、しかし抜け出せない。

????

離してあげなさいよ。
ここから逃げられることもないでしょう?

拘束された七星の隣に座っていた男が口を開く。

この男だけは覆面を被っていないようだ。

覆面の男B

し、しかし……。

????

い・い・か・ら。

????

お嬢ちゃん、怖がってるじゃないの。

????

だからアタシ、こういう強引なことしたくないのよ。

覆面の男B

は、はい。

覆面の男A

承知しました。

拘束が解かれると、狭い車内で可能な限り男と距離を取ろうとする。

????

あら、お嬢ちゃん。
こんな狭いところではしたない。

????

パンツ見えてるわよ。

七星

くっ……。
よっ、余計なお世話だ。

慌ててスカートをおさえる七星。

その姿を見て、男は気味の悪い笑みを浮かべる。

????

安心して、アタシ女の子には興味ないのよ。

七星

な、何者だ?

????

あら?
堂々と探りを入れていたみたいだし、アタシのことくらい知ってると思ったんだけどなぁ。

????

アタシは三富(みとみ)よ。

三富

どう?
聞いたことあるでしょ?

七星

確か、マークしていたホルダーの一人だったはず。

三富

その通りよ。

三富

白雪姫の絵本を所持する、どこにでもいるただのオ・ネ・エ。

三富

そんなに怖い顔しないで。

三富

せっかくの可愛い顔が台無しよ。

見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

41

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚