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桐山 凌

はぁっはぁ……

桐山 凌

クソ……ッ

10 ー 11

桐山 凌

(点差が開かねぇ…)

というか__

凌はチラッと宙丘のコートを見つめた。

咲久は明るい表情で選手たちと明るく話していた。

桐山 凌

(あんのメガネセッター……)

桐山 凌

(終盤になって調子あげてきやがった…)

このまま調子に乗らせたら

流れ持ってかれて__

ゾッとした寒気が凌を襲った。

桐山 凌

……

次、絶対俺が決める……!

ピッ……

宙丘のサーブ。

倉見 修也

…っ

修也のレシーブ。

桐山 凌

尾瀬先輩っ!

尾瀬 一颯

一颯は凌の元へトスを上げた。

桐山 凌

(絶対決める…!)

……トンッ__

凌は優しくボールに触った。

千秋 燈李

フェイントかいっ!

燈李はとネット前に飛び込むが、

ボールは床についた。

11 ー 11

倉見 修也

凌っ!!お前フェイントなんて出来たのかよ!

修也は笑顔で凌に駆け寄った。

桐山 凌

バカにしてんのか

倉見 修也

いやいや!

倉見 修也

凌ってスパイクバシバシ打つことしか考えてなさそうだからさー!

桐山 凌

バカにしてんのか

絞り出した策のフェイントしか点が取れないこの状況がやべぇな

次スパイク打つ時はフェイントは警戒されるし__

桐山 凌

修也!次のサーブ絶対ミスんなよ!

倉見 修也

プレッシャーかけるのやめて!?

宙丘のポイントが決まり、

11 ー 12

水木 光

ブレイクできないですね……

涌井 明里

このままだとヤバいかも__

燈李のサーブは修也の方へ飛んでいく。

倉見 修也

っ!

修也は崩れた体制のまま、なんとかボールを上へとあげたが__

涌井 明里

水木 光

やばいっ!

涌井 明里

ボールが宙丘の方に__

バァンッッ!

謙心のダイレクトは日坂のコートに突き刺さった。

11 ー 13

涌井 明里

うそ……

水木 光

そんな__

涌井 明里

(ここで2点差はヤバいよ……ッ)

スコアを書く明里の手が小刻みに震えた。

水木 光

私…見てられないです……

涌井 明里

私もだよぉ…

あと2点取られたら……終わり__

菊池 陽真

ふぅ……

陽真はゆっくりと深呼吸をした。

菊池 陽真

(11 ー 13……)

あと2点取られたら終わり…

それと同時に、引退か……__

尾瀬 一颯

……陽真

菊池 陽真

ん?

隣に立つ一颯は前を向きながら言葉を続けた。

尾瀬 一颯

引退するには__

尾瀬 一颯

まだ早いよね?

菊池 陽真

……ははっ

菊池 陽真

俺も思ってた!

尾瀬 一颯

ピンチの時ほど相手は油断するんだよ

尾瀬 一颯

俺のこと信じて、飛び込んできてね

菊池 陽真

…了解

ピッ、とホイッスルが鳴る。

宙丘のサーブを凌が上手くAパスを返した。

菊池 陽真

(ナイスレシーブ!)

「信じて飛び込んできて」……か

陽真はトンッと飛び上がり、打つ体制に入った。

バァンッ!!

一颯と陽真の速攻がコートに突き刺さった。

12 ー 13

菊池 陽真

よっしゃあ!!

尾瀬 一颯

……陽真なら決めてくれると思った

菊池 陽真

こっちのセリフだ

菊池 陽真

一颯なら俺のこと信じて速攻してくると思ってたよ

尾瀬 一颯

これが2年間の腐れ縁ってやつ?

菊池 陽真

腐れ縁と書いて友情と読むんだよ!

尾瀬 一颯

かゆいなぁ

菊池 陽真

ははっ

尾瀬 一颯

……んじゃ、このまま流れ取り戻してこ

菊池 陽真

おう!

ピッ

優成のサーブは宙丘の方へと飛んでいく。

レシーブは上手に咲久の元へと返る。

菊池 陽真

(どこに上げるかよく見ろ……!)

真宮咲久のセットはファイナルセットから急激に予測不能になった

"教科書"的なプレーからは程遠い__

例えるなら__

菊池 陽真

("自己中トス"……)

そんなセットを予測するなんてリスキーなことはできない

菊池 陽真

(だから俺は、トスを誰にあげるかを見てから動く!)

咲久はフワッと燈李にトスをあげた。

陽真は燈李の目の前に移動し、ブロックを飛んだ。

菊池 陽真

(……"来る"…!)

陽真は伸ばした腕をスッと引っ込めた。

バァンッ……

燈李のスパイクは陽真の上を通過し、コートを外れた。

千秋 燈李

クソ…ッ

13 ー 13

倉見 修也

キャプテンっ!!!えぐいっ!!!

志保 優成

すっご……

尾瀬 一颯

やるじゃん、陽真

菊池 陽真

ありがとな!

尾瀬 一颯

見えてたの?

菊池 陽真

ああ。

菊池 陽真

千秋燈李の目線__

菊池 陽真

俺の指先を見てた

菊池 陽真

ワンタッチしてアウトさせようとしてたから

菊池 陽真

第2セットで一颯が"わざと"スパイクをアウトさせてたのを思い出して__

倉見 修也

すげぇ!

倉見 修也

最強じゃないっすかぁ!

菊池 陽真

賭けみたいなところはあるがな……

桐山 凌

ま、とりあえずキャプテンの2連続得点のおかげで

桐山 凌

埋まりましたよ、2点差

菊池 陽真

だな!

倉見 修也

残り2点__

志保 優成

取った方が生き残れる……

桐山 凌

勝ちますよ、絶対

菊池 陽真

言わずもがな…な?

13 ー 13

千秋 燈李

はぁあ……

盛り上がっている日坂の選手たちを見て、燈李はため息をついた。

千秋 燈李

(ほんまムカつくわ……)

どう見ても宙丘が勝つ流れやったやん

空気の読めへん奴は嫌いやわ

千秋 燈李

………

燈李は自分の手のひらを見つめていた。

完全な持論なんやけど、この世界は"凡才"と"天才"に分かれてる。

俺は

"天才"ではない

バレーが上手いのと、バレーの才能は比例せぇへん

俺みたいな"凡才"でも

こんなバレーが上手くなれるんやからさ

千秋 燈李

(まあでも、腹立つんが__)

燈李は一颯と優成に目を向けた。

ああいう"天才"がバレーの才能を棒に振っとること。

俺があんな才能持っとったら

日坂になんか行かんと、もっと上を目指してたやろな

千秋 燈李

なあ、謙心

燈李は隣に立つ謙心に声をかけた。

真宮 謙心

……なんですか?

千秋 燈李

俺みたいなバレー上手いイケメンがなんで宙丘来たんかわかるか?

真宮 謙心

………急になんですか

真宮 謙心

まあ……家が近いからとか?

千秋 燈李

"凡才"の集まりやからや!

謙心は目をパチクリとさせてから、笑みを零した。

真宮 謙心

俺、千秋さんのそういう清々しくムカつくウザイところ好きですよ!!

千秋 燈李

しばくで

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