【その欲に"救済"を】

垂れたインクが紙に滲んでいくように じわじわと恐怖に支配されていく 震える手をぎゅっと握り締め、 声まで震えてしまわないよう意識し 言葉を紡ぐ。

取り出した拳銃の銃口を誰かに、 いや"ナニカ"に向ける。 一切動じないソレになんとも言えぬ歪さを覚える。……まぁ僕にそんなのは関係ないですから。

パァン────

嫌な予感。咄嗟に 能力を発動し"人形"の能力を避ける

わざと見えるようにされた能力の光は攻撃対照を見失い次の攻撃対象へと 追跡を切り替えた。 次の対象は______________

シュンｯ─────

いままでの無が嘘のように 欲がぶわりと圧になってのしかかった 能力を解除し、欲を回収しようと もう一度銃に手をかける

実弾よりもはるかに軽いその感覚 いつも気分が高揚する引き金だ

ぱたりと倒れたソレに ちらりと目をやった輪廻は、 回収した欲を身体中で回しながら くるりと振り返った

あ、3人もきましたね ……あれ、鏡梨さんがいない…？

そう言い輪廻はいつもの無邪気さとは無縁な妖艶な笑みをこぼした。 そして、指をパチンと鳴らす

輪廻は話を続けるが 他は話を聞いているどころではない なんせよくわからない空中に 飛ばされたのだから

傀儡はキョロキョロと 興味深そうに辺りを眺める

見えてなかっただけで、 近くにいたらしい鏡梨は 気だるそうに翼を羽ばたかせる

紫雨､李美の2人は目を見開き慌てる

道化師は無表情に周りを見ている

雨音は心底嫌そうに顔を歪めた

睡枷は何故か、怯えたように 周りを見渡す

三者三様…いや、七者七様の反応に 輪廻は笑った。

輪廻の可愛らしい笑い声に 紛れながらも睡枷は疑問を吐き出した

その言葉と共に、Zéroの両手に 巨大な２つ鎌が生成された 一つを玲夜に放り投げたZéroは 欲の子達の方へ向く

不思議と誰もZéroに攻撃を仕掛けなかった。絶対に怪しいはずなのに。 ただひたすらに､話に耳を傾けている｡

カチリ、とボタンを押す。 ピ、ピ、と時間を刻んでいくタイマー きっとそのタイマーが0になるまでに彼女を脱出させなければならない。

食い入るように画面を見つめる7人。ただ1人はZéroを睨んでいた。

𝕿𝖔 𝕭𝖊 𝕮𝖔𝖓𝖙𝖎𝖓𝖚𝖊𝖉…