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忘れ去られる、その日まで

第2話 - 友達と過去

2023年10月30日

#ファンタジー

#日常

たま

リン

ミク！

リン

ねえ、ミクってばー

ミク

んー…？

リン

おはよー‼︎

レン

あ、こら

レン

起こさないであげなよ

リン

えー？なんでさー

レン

こっちに来たばかりなんだっての

リン

はーい、ミクごめんね

ミク

大丈夫だよ💦

レン

おはよ、ミク

レン

朝ごはんできてるよ

ミク

あ、うん！

生死の世界に来てからあっという間に2日目

ここで暮らしていくことに不安はなさそうだ

リン

今日も雑貨屋さん行こうよ

レン

いいよ

リン

ミクも一緒に行こー！

ミク

うん！

ミク

(なんか…レンって)

ミク

(思ってることが分かりづらいな)

ミク

(昨日からずっと声色が変わっていない)

レン

…どうかしたの？

ミク

えっ？

レン

ずっと俺のこと見てたじゃん

ミク

あ、いや、何でもないよ

リン

なになに？恋の予感？

ミク

違うよ⁈

ミク

(ちょっと怖いかも…？)

雑貨屋にて

店主

いらっしゃーい

店主

おや、君は昨日の子じゃないか

ミク

こんにちは

店主

さ、見てって見てって

リン

ねーねー、アズっている？

店主

アズ？いるよ

リン

会いたいなー

店主

はいはいわかったわかった

店主

呼んでくるよ

リン

うん！

ミク

アズ？

レン

リンの友達？かな

リン

店主さんの子供なんだ！

ミク

へー

アズ

とうっ

店主

連れてきたよ

スタッフオンリーの文字が掲げられた扉から出てきたのはリンより少し背が大きい性別がよくわからない子だった

アズ

あー、お前じゃないかー

アズ

何でいるんだよー

リン

アズー！

アズ

うわ、近づくなあっ

リン

久しぶりだね

アズ

つい3日前に会ったじゃないかー！

アズ

何でコイツがいるんだ、レン

レン

行きたいって言ってたから連れてきた

レン

それだけ

アズ

もー、早く帰ってくれよー

ミク

(リンは喜んでるけどアズは嬉しくなさそう…)

店主

まあまあ仲良くしなって、アズ

アズ

‼︎

アズ

…おかあさまが言うなら

ミク

⁈

アズ

いいか、お前のためじゃないんだからなー

アズ

おかあさまのために仲良くしてるんだからなー

リン

ふふ

ミク

(え？お母様って言った⁈)

スイア

はあ

ミク

！

スイア

おかあさまおかあさまって、気持ち悪いよお姉ちゃん

アズ

はー？俺のどこが気持ち悪いんだー！

スイア

…マザコンなとこ？

アズ

なんだとー！

ミク

だ、誰？

レン

スイア。俺の方が仲良しかな

スイア

うん。僕スイア。アズ姉の弟

スイア

あなたは？

マザコンな姉アズと淡々とした口調で喋る弟スイア。

この2人は店主の子供らしい

ミク

私はミク。よろしく…？

スイア

よろしく

アズ

ミクー？

スイア

あ、マザコン星人

アズ

なんだとっ？！

2人は鬼ごっこを始めてしまった

すると…

店主

こら〜！！

店主

店で走るなって言っただろう？！

ミク

！

リン

うわっ

レン

…

アズ

ひっ、おかあさま、これは…

スイア

…はあ

店主

全く、いい加減にしてくれよう？

アズ

は、はいっおかあさま！

スイア

…はい

店主

仲良くしなね？

アズ

はい！おかあさま！

スイア

えー…わかったよ…

ミク

(ま、マザコンが役に立った？)

リン

あはは、アズって面白いよねー！

ミク

そ、そうだね(？)

スイア

アズ姉って生きてる時はこんなんじゃなかった

ミク

え？

ミク

生きてた時の記憶があるの？

スイア

うん。僕は珍しい記憶持ち型なんだ

ミク

そうなんだ…

レン

かなーり珍しいんだよね

ミク

へー

スイア

アズ姉、昔はすごい冷たかった

スイア

こんなに仲良く(？)話してるのはこっちにきてから

ミク

…

スイア

あと

スイア

僕レンと会ったことがあるんだ

リン

え？！そうなの？

ミク

リンが驚くの⁈

レン

そうそう

スイア

だから…仲良し

レン

仲良しって思えてもらってるみたいでよかった

店主

…

店主

なあレン

レン

はい

店主

レンもさ、なんか記憶持ちじゃなかったっけ

ミク

え？

アズ

そうなのかー？

アズ

おかあさまが言うなら絶対だろうけどー

レン

俺は…

レン

死ぬ間際の記憶しか残ってない

ミク

！

店主

あー…そうだったか

店主

聞いて悪かったね

レン

あ、いえ全然

レン

…

ミク

(顔は寂しそうだけど声色が笑ってる…)

ミク

(やっぱり掴めない人だなあ)

アズ

死ぬ間際の記憶が残ってるやつってたくさんいたよなー

スイア

うん。その中の0.2%ぐらいが僕みたいな全ての記憶を持ってる者

ミク

とても少ないんだね

店主

アタシは全然覚えてないねえ

リン

私もー！

レン

はい、話はその辺にしといて

レン

早く買うもの決めちゃって

リン

えー、そんな焦らなくてもよくなーい？

レン

まあ、そうだけど…

レン

お前を見てるとなんか危なっかしいんだよ

リン

えーなにそれー

ミク

(…あれ？ちょっと悲しげになった…？)

リン

んー、じゃあこのお菓子ほしいー！

レン

またか…いいよ、買ったげる

リン

わーい

会計後

店主

はい、また来てね

アズ

ふん、おかあさまに「また会いたい」と言われるなんて…

スイア

だる…

アズ

はー？！

店主

はいはい

リン

ばいばーい

レン

また来まーす

ミク

さようなら！

帰り道まだ日は高く、暖かい天気だった

リン

ねーねー

リン

お兄ちゃんって記憶持ちだったの？

レン

そうだよ

リン

生きてる時の私って、どんな感じだった？

レン

っ…！

ミク

レン…？！

リン

お兄ちゃん…！

ミク

(急にしゃがみ込んでしまった…)

レン

はぁっ…はぁっ…！

リン

お兄ちゃん！どうしたの？

レン

…なんでも、ない

ミク

大丈夫？

レン

なんでもないよ、大丈夫

リン

…

ミク

(なんだろう…さっきのレンから殺気が感じられた)

リン

(お兄ちゃん…どうして過去について何も話してくれないんだろう)

忘れ去られる、その日まで

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