ぶぉぉぉぉん
80℃を超える熱風を出し続けているエアコンの音だけが部屋に響く
元々隣の部屋には雪国か、と思うほど冷たい部屋があった
しかし今は空っぽ。
元々、重症棟には2つの灯火が命のろうそくに灯っていた
1つは太陽のように熱い熱を
もう1つは氷のように冷たい冷気を放っていた
2つとも明るい輝きを放っていた
それはずっとは続かない事を今回や、前回の出来事が指し示す
勿論、それはこの病院だけには限らないが
【普通の人間】も必ずその命の灯火が消えることになるのだから
そして今回、弟のブルーを失ったレッドは残された灯火
まだ自分の身代わりとしてブルーが死んだことを知っていないのが幸いだ
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
ギュッ
レッドが抱きしめているのはブルーの病院服
少し血がついているが先生達が時間をかけて落としたのでレッドの服につくことはない
ブルーの骨は焼くとボロボロに砕けてそれまで燃えてしまったから、火葬の後は何も残っていなかった
だからその病院服が、ブルーの香りが残っているその服だけが唯一の遺品だった
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
手元にある病院服がさらに悲しさを増幅させる
目から溢れてくる涙が止まらない
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
Mr.レッド(発火病)
すまない病棟南側、自由室でのこと
Mr.バナナ(月光病)
バナナが重たい口を開く
Mr.銀さん(ガラス病)
マロ(花吐病)
マロ(花吐病)
マロ(花吐病)
ノエル(天使病)
ピクシー(蝶々病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
6人からはとても悲しいオーラが漂っている
最近立て続けに友達を失って辛い今、「今辛い人、話せる元気があるなら自由室に集まって沢山思っていることを吐き出して、傷を少しでも癒せたら」というすまない先生の考えで6人はここに集まった
レッドはすまない先生が病室に入り、1時間以上レッドの話を聞いて心を落ち着かせた
勿論悲しみや心の傷は完全に癒えないけれど少しはましになった、とレッドが言っていた
ブラックは…病気の関係でついこの前までは悲しい、辛い、という感情が残っていたが今ではそんなに負の感情を抱かないらしい
特に問題がなさそうだった
Mr.赤ちゃん(怪力病)
ふと、赤ちゃんが問いかける
Mr.バナナ(月光病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
ピクシー(蝶々病)
Mr.銀さん(ガラス病)
Mr.バナナ(月光病)
マロ(花吐病)
「誰がエアコンを切った」その言葉で部屋の空気は一瞬にして凍り付く
ノエル(天使病)
ピクシー(蝶々病)
Mr.銀さん(ガラス病)
Mr.銀さん(ガラス病)
銀さんは服の袖をギュッと握る
マロ(花吐病)
マロ(花吐病)
マロは震える声で銀さんに問いかけた
ここ最近悲しいことが起きすぎているせいで、ガラス病が進行してきているのだ
Mr.銀さん(ガラス病)
Mr.銀さん(ガラス病)
Mr.銀さん(ガラス病)
銀さんは少し悲しそうな顔でふっと笑う
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
ノエル(天使病)
ノエル(天使病)
Mr.銀さん(ガラス病)
少しは気持ちが楽になった6人
完全に癒えたわけではないけど、友達のお陰できっと乗り越えることができるはずだ
この人達と過ごしている時間は、ほとんど記憶が薄れてしまった家族と過ごしている時間よりも長い
だから、ここにいる患者は皆家族であり友達なのだ
何かあったら支え合い、励まし合えることが出来る、皆そう思っている
職員室
すまない先生
アリス先生
アリス先生
アリス先生
すまない先生
アリス先生
すまない先生
「あ、でも…」とアリス先生が声のトーンを落とした
アリス先生
アリス先生
アリス先生
アリス先生
アリス先生
アリス先生はカルテを書き進めていた手を止めてすまない先生の方を見る
アリス先生
アリス先生
すまない先生
すまない先生
いつもならもっと話してくれるすまない先生だが、何故か「そうか」の一言で終わらせ、カルテを書き進めた
アリス先生
アリス先生
アリス先生
アリス先生は頬をパンッと軽く叩き机に向き直る
そしてカルテをまた書き始めた
職員室にはボールペンが紙にあたって鳴るカリカリという音しか響かなかった
調理室
ジュッッッ
サリン先生
サリン先生は間違えて熱々の鉄板を素手で触ってしまった
左手を見ると大火傷していた
サリン先生
サリン先生
一旦調理する手を止め、サリン先生は職員室へと向かっていった
コメント
16件

んふふ、ジャージャーん みどりぃですっ! 復活来たぁぁ!
最初の灯火の表現が凄かった! 急に大好きでそして家族で、毎日、毎日「おはよう」とか「ありがとう」とかの言葉を言ってたのにその会話が急にプツっと無くなってしまったらどれだけ悲しいか... レッドの気持ちが...自分勝手だけど分かりたくないと思ったよ、 こんだけいろいろ考えられるって凄い小説だね、 もう誰も亡くなって欲しくないよ… ほんと夢羽は凄い、続きを楽しみに待ってるね
奇病を憎んでいた人がやったと思うと、許せないです。悲し過ぎます。本当に今回もすごくうま過ぎて引き込まれました。続きを楽しみにしています。夢羽さんはすごいですね。