あの人と最初に出会った処は
生死の境界線上だった
それは、4月の初め。
桜が美しく咲き誇る 和やかな季節のはずだった。
あの人、1人を除いては。
桜の花弁が舞い散る中、
彼女は、僕の目の前で
命の灯火を吹き消そうとしていた。
蓮
!?
莉桜
わ・・・なんて・・・
何か喋っている。
しかし蚊の鳴くような声で 呟いているだけなので
全く聞き取れない。
兎に角、僕は
目の前で死なれるのも癪だったので
止めてやろうか、と思った。
蓮
あの・・・
莉桜
やめて!
莉桜
話しかけないで!
莉桜
私は、私はもう・・・
蓮
死ぬって決めたから、か?
莉桜
!?
莉桜
なんで・・・
蓮
自殺しようとしてる奴の
言うことなんて
皆同じだろうさ
言うことなんて
皆同じだろうさ
蓮
勿論僕も例外じゃないし
莉桜
・・・てことは
蓮
お察しの通りだ
蓮
僕も1回自殺しようか
と思ったことがある
と思ったことがある
莉桜
でも・・・あなたはやめた
莉桜
・・・どうして?
莉桜
死ぬって決めたからには
それ相応の理由があるんでしょ?
それ相応の理由があるんでしょ?
莉桜
私みたいに。
蓮
まあな
莉桜
あなたは、その時死なずに
生き続けていて苦しくないの?
生き続けていて苦しくないの?
とても、返答に困った。
僕が自殺に 追い込まれた理由は 単純だ。
金だ。
僕は元々、一般的な会社員だった。
だが、金の匂いを嗅ぎつけた 多くの女に貢がされ、
大量の借金を肩代わりさせられた。
その額は余裕で車が4、5台も 買えるくらいで、 僕の給料では到底 返せそうになかった。
だから、死のうとした。
だが、そこを大金持ちの 令嬢に止められ
借金も返すことが出来た。
だから、僕は全然苦しくない。
その旨を彼女に伝えると
莉桜
そう・・・
莉桜
あなたは運が良かったのね
莉桜
でも、私の問題は貴方じゃ
解決できない
解決できない
莉桜
さよなら
蓮
・・・え
蓮
って、おい待て!!
好評であれば 2話に続くかもしれません