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サイコメトリーと不思議な骨董屋

第8話 - 未来予知

345

2023年12月17日

#司類

#ミステリー

#ホラー

#ファンタジー

#冬彰

あかまる🍓🐾໊

司

(あの店員…冬弥さんだっけ？名前あったんだな…)

司

(しかし、あの時の言葉…)

「水曜日に店主が不在になるので、午後骨董屋に来て下さい。」

司

とりあえず来てみたが…なぜ店主不在の時なんだ？

カランカラン

司

こんにちはー

冬弥

…司さん、いらっしゃいませ

冬弥

…来ていただき、ありがとうございます。

司

いえ、どうせ予定もないので。

司

それで、どうして店主がいない時に？

冬弥

……これを

冬弥さんが手に持っていたのは、あの鍵だった。

司

この鍵！！？

冬弥

…どうぞ。貴方には持つ資格があります。

司

なんで…棄てたんじゃなかったんですか？

冬弥

…店主の言うことは、俺の中では絶対なんです。

冬弥

…だけど、あの店主はどうしても「棄てないでくれ」と言ってるようにしか聞こえなくて、

冬弥

…この鍵はきっと、店主の物です。

司

…

冬弥

…いい機会ですし、少し話してもいいですか？

司

もちろんです

冬弥

…俺が思うに、店主は記憶障害ではないかと思うんです。

司

何故ですか？

冬弥

…昨日食べたものを、あの方は覚えてません。決まって、「野ウサギのグリルを食べた」と言うんです。

司

野ウサギの…グリル？

冬弥

…もちろんそんなもの、1度も食べてません。ですが、きっと店主がここに来る前に食べたものなんでしょう。

司

ここに来る前って…店主がここに来る前の事で知ってることはないんですか？

冬弥

…申し訳ありませんが、何も分かりません。いや、店主も分からないんだと思います。

冬弥

…あの人は誰かを待っている気がするんです。けれど、誰を待っているかは俺も、あの人も分かってません。

司

誰かを待っている…

冬弥

…その鍵から、何が読み取れたんですか？

司

えっと、暗闇と……聞いたこともないような、耳を塞ぎたくなる悲痛な叫び声ですかね、

思い出すだけで、頭が痛くなりそうだ

冬弥

…なるほど、

冬弥

…もしもその鍵が店主の物なら、それは店主に関係のある声だったのかもしれません。

司

え？あれが？

冬弥

…ただの推測です。確証はありません。

「君の精神が保たなかった。」

司

(本当にどんな話だったんだろう…)

司

それにしても…冬弥さん、でしたっけ？変わりましたよね。

冬弥

…そうですか？

司

はい！前はなんかこう、もっと何も考えてない感じっていうか…

冬弥

…彰人さんにも同じことを言われました。

司

(おお、少し嬉しそうだ)

司

彰人と仲良いんですね。

冬弥

…仲が良いかは分かりません。俺は店員、彰人さんはお客様ですから。

冬弥

…あ、そろそろ店主が帰って来ます

司

え？！あ、帰った方がいいですか？

冬弥

…はい。あと、この事は秘密にして下さい。

司

分かりました！あの、ありがとうございます！

冬弥

…いえ、こちらこそ。

カランカラン

司

(やっぱり俺はまだサイコメトリーの事を知らなさすぎるんだ)

司

(この物語を読み取る方法がきっとあるはず)

司

(けど、サイコメトリーなんてどうやって調べれば…)

ねぇねぇ！！そこのお兄さーん！

司

えっ？！

これ、落としてたよっ！

司

あ、ありがとうございます…

ガシャンッ

司

えっ？！？！

司

(上から鉄骨が落ち…)

ふぅ、怪我がなくて良かった！

じゃあね！

司

えっ？！ちょ、待ってくれ！！

ほえ？

司

あの、助けていただいてありがとうございました。

司

(まるで分かってたみたいな…)

司

鉄骨が落ちてくること、分かってたんですか？

…

えへへ…気持ち悪いって言われるかもしれないけど、私、未来が分かるんだ〜

この後、お兄さんともう1人の男の子と一緒にカフェにいるよ。

司

俺と…もう1人の男とカフェ？

彰人

あっ、センパーイ！また骨董屋っすか？

司

あ、彰人…？！まさか、

あっ、この人だよ！

彰人

え？なんすか？

司

…分かった、とりあえずカフェに行こう。

彰人

え？

はーい！

司

えっと…まず自己紹介をしよう。俺は天馬司だ。

彰人

東雲彰人です

えむ

鳳えむだよっ！

えむ

よろしくね！司くん！彰人くん！

彰人

よろしくっす

司

ええ、早速えむに聞きたいことがある。

えむ

何でも聞いてっ！

司

未来が分かると言う話、詳しく教えてくれ。

えむ

…生まれた時から、映画を見てるみたいにこれから起こることが見えたの。

えむ

さっきは、司くんが鉄骨の下敷きになっちゃうのが見えたんだ。

彰人

え？！

司

さっき、上から鉄骨が落ちてきたんだ。えむに助けてもらってな。

彰人

何すかそれ、危な。

えむ

えへへ…流石に、人が死んじゃうのを見て、放ってはおけなかったから、

司

その節は本当に助かった。

えむ

ううん！けど、気持ち悪いよね。未来が分かるとか、死神さんみたいだよね…

彰人

え？そんな事ないっすけど

司

ああ。俺も彰人も、他には無い能力を持っている。

司

俺はサイコメトリーと呼ばれるものだ。

彰人

俺は人の心読める感じですかね。

えむ

ええっ？！本当？！

えむ

わーい！！仲間だっ！

司

ああ。俺たちはその能力の不便さも分かっているから、えむの気持ちは分からんでもないぞ。

司

サイコメトリーも、いい事ばっかりじゃないからな。

彰人

人の心が読めるってのも、バレたら絶対気持ち悪がられるし。

えむ

…そうなんだ、

えむ

(私が変なんじゃないんだ…他にも色んな人がいるんだ…)

彰人

全然変じゃないっすよ

えむ

ほぇ？！

彰人

あ、すんません。聞こえてきたもんで。

えむ

すごーい！！本当に心が読めるんだ！すごいすごーい！✨️

彰人

ちょ、声デカいです！！

司

ええい！お前ら静かにせんか！カフェだぞ！

彰人

センパイの声が1番デカいですよw

えむ

ふふっ、司くん声おっきーい！

司

何っ？！

彰人

ま、とりあえず連絡先交換しましょ

えむ

はーい！

司

む、えむは遊園地が好きなのか？

えむ

うん！私ん家、遊園地経営してるから！

彰人

え？

司

お、鳳ってまさか……

えむ

フェニックスワンダーランドだよ！

彰人

マジか

司

お嬢様ではないか！？

えむ

うーん、そんな事ないけどなぁ

えむ

あっ、みんなで遊びに行こうよ！フェニラン！

彰人

いいっすね。最近行ってないし

彰人

(冬弥もこういう所行きたかったりすんのかなー)

司

むぅ、遊園地か…

司

(咲希も行きたがっていたな…)

えむ

…あれ、司くんって妹さんいるの？

司

え？いるが、どうかしたか？

えむ

この後妹さんに会いに行くんでしょ？

司

え？

ヴーｯヴーｯ

司

あ、咲希から？珍しいな

司

……えむ、お前の能力は本当に当たるな

えむ

えへへ

彰人

何て来たんすか？

司

今度いつ遊びに来るの？と…

司

(寂しい思いをさせてしまっただろうか。あっ、恋愛小説と服！)

彰人

あ、今から買いに行きます？

司

話が早すぎるだろ

えむ

え？なになにー？

司

これが普通の反応だな

彰人

センパイが恋愛小説と服買うんですって

えむ

えーっ！行く行く！

司

えっ？！しかし…

司

いや、2人がいてくれた方がいいか？

彰人

服は任して下さい

えむ

私いい本知ってるよ！

司

なら2人とも、頼む

彰人

こういうのとかどうっすか？

司

少し破廉恥ではないか？

彰人

え？マジすか

司

もう少し露出は控えて欲しい

彰人

シスコンかよ

彰人

んー、じゃあこういうの？似合いそうですよ。

司

む、確かに好きそうだな。

えむ

この本すっごくおすすめ！

司

む、そうなのか

えむ

うん！咲希ちゃんも気に入ると思う！

司

ならそれにしよう。

えむ

あっ、あのお菓子美味しいよー！

司

…お菓子も買っていくか

司

2人ともありがとう。本当に助かった

彰人

楽しかったですよ。

えむ

私も！お出かけ楽しいね！

彰人

けど、俺らまで着いてきていいんですか？

司

ああ。咲希も喜んでくれると思う。

司

咲希、入るぞ

司

咲希、調子はどうだ？

咲希

お兄ちゃん！来てくれてありがとう！

えむ

こんにちはーっ！

彰人

こんにちは

咲希

あれ？お友達？

えむ

鳳えむだよ！よろしくね、咲希ちゃん！

彰人

東雲彰人です。

司

これを選ぶのを手伝ってくれたんだ。

咲希

…わぁっ！可愛い服！！

咲希

あっ、この本読みたかったやつ！

咲希

ありがとう！すっごく嬉しい！

司

良かった……

えむ

咲希ちゃん髪ふわふわ〜！可愛い〜！

咲希

えへへ、えむちゃんありがとう！

彰人

なんか仲良くなってますね

司

ああ。やはり年齢が近いからだろうか

咲希

この服、彰人さんが選んでくれたの？

彰人

え？あ、はい。写真見せてもらって、似合いそうだったんで。

咲希

すっごい可愛い！ありがとうございます！

彰人

喜んでもらえて良かったです

咲希

お兄ちゃんも、本当にありがとう。今日はお母さんも来れなくて、寂しかったんだ。

司

ああ。最近来てやれなくてすまなかった。

咲希

ううん！今日は私の我儘で来てくれてありがとう。

司

我儘なんかじゃないぞ。寂しかったらいつでも呼んでくれと言ったのは俺だからな。

咲希

ふふ、それ5歳の時だよ？

司

でも覚えてるじゃないか。

咲希

うん、そうだね

えむ

本当に2人とも仲良しさんなんだね

彰人

だな。

えむ

…！

えむ

咲希ちゃん！その点滴、いつもと違うところない？

咲希

え？点滴？

咲希

あー、今日は新人の看護師さんが刺してくれたよ！

えむ

司くん！ナースコールして！

司

え？わ、分かった！

咲希

え？！どうしたの？

看護師

どうしたの咲希ちゃん？！

えむ

看護師さん！点滴が間違ってます！

看護師

点滴が間違ってる？ちょっと見せてね

看護師

……！！

看護師

先生よんで！早く！

看護師

は、はい！

咲希

え？なになに？どうしたの？

看護師

大丈夫よ、咲希ちゃん。心配しないで。すぐ気づけたから問題ないわ。

医者

どうした？！

看護師

先生！この点滴が~~~~

医者

ふむ……咲希さん、ちょっと失礼するね

咲希

は、はい

医者

……血圧、脈は異常なし

医者

低血糖にもなっていないし、すぐ点滴を取り替えれば問題ない。

医者

今日の点滴は誰だ？

看護師

あ…私、です

看護師

すみません。この子に頼んだのは私です。責任は取ります。

医者

分かった。とにかく司くん、ちょっと向こうで話そう。

司

は、はい。

彰人

咲希さん、大丈夫ですか？

咲希

うん、特にどこも悪い感じしないけど…

えむ

多分、あの点滴違う患者さんのだと思う

彰人

え？！

えむ

あのままだったら危なかったと思うよ

司

…戻った

彰人

センパイ！何て言われました？

司

点滴を間違えたと、言われた

司

一応、この後母さん達にも連絡する。咲希には異常ないそうだ。

司

えむ、本当に感謝する。あのまま気付かなかったら危なかったらしい。

咲希

えむちゃん、ありがとう。

えむ

ううん！咲希ちゃんが無事で、本当に良かった。

司

(えむがいなかったら、今頃咲希は…)

彰人

センパイ、大丈夫すか？

司

…ああ、大丈夫だ。咲希が無事で本当に良かった。

えむ

あっ、私そろそろ帰らなきゃ…！

司

そろそろ帰るか。咲希、また来るな。

咲希

うん！みんな来てくれてありがとう！

えむ

またねー！咲希ちゃん！

君、本当にどうしたんだい？

冬弥

……

らしくないよ。私に隠し事なんて

冬弥

…すみません

今までこんな事なかったのに…

ううん、隠し事をするのは悪いことじゃない。怒る必要はないね

けど、司くんとの密会は？

冬弥

…

私に隠し通せると思ったかい？

冬弥

…会っていたことがバレても、何も問題ありません。

そうだね。向こうはお客様だ。会っている事には問題ない。

けど、内容によるさ

冬弥

……

僕は棄てろと言ったはずだ

冬弥

…

そのままずっと黙ってるつもりかい？

冬弥

…何も言うことはありません

そうかい。けど、

もしあの鍵でまた彼に何かあったら、容赦はしないからね。

冬弥

…

私は、お客様を危険に晒せと教えた記憶はないが？

冬弥

…ごめんなさい。

……はぁ、ちょっと頭冷やしてくるよ

冬弥

…

店主は、「私」と言う時と「僕」と言う時がある。

冬弥

(その使い分けに、意味があるのかは分からないけど、)

やっぱりあの鍵はきっと、店主のものだ。

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ごま俺的な感じで使い分けてるのか、それとも二重人格的な。“僕”が自分自身、“私”は自分とは正反対の、他の誰かさんだったり

うーん…類くんがここに来る前に何かあったことは確かだよね。「僕」は類くんの人格で、「私」は博士かなんかの人を演じているとか？

あかまる🍓🐾໊

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