休日に定食屋に立ち寄った 多良木音弥 (たらぎおとや)は
そこで女性を偶然見かけた
女性
多良木音弥
音弥はその女性に釘付けだった
多良木音弥
食べるのかな?)
多良木音弥
ひとりは無いか?)
多良木音弥
行ってるのかな?)
女性
女性は手を合わせると 運ばれてきた大量の 食事を口に運ぶ
多良木音弥
多良木音弥
まじで1人?)
多良木音弥
女性のテーブルには ハンバーグ定食にカレーライス 大盛りカツ丼に味噌ラーメン
女性ひとりでは到底 食べきれないであろう 数人分の食事が並べられていた
多良木音弥
あの人・・・)
多良木音弥
食べ切れるのかな?)
音弥は女性に対して 驚きの視線を向けると同時に 疑惑の視線も向けていた
本当に女性1人でこの量の食事を 食べ切れるのだろうか?と
しかし男のそんな不安は 女性の並外れた食いっぷりにより かき消される
多良木音弥
女性は食事を楽しんでいるようで 満面の笑みで食べ進めていき 次々と皿を開けていく
多良木音弥
音弥は空いた口が塞がらないと 言った様子で女性を見つめる
女性
女性
女性
女性は満足げな表情で 口の周りを紙ナプキンで拭く
多良木音弥
ひとりで食べちゃったよ)
多良木音弥
食べきってないのに)
時間にしておよそ約20分
テーブルに並べられていた 大量の食事は綺麗さっぱり 女性の胃袋の中に収まっていた
店員
いっぱい食べたわね
女性
どれも美味しいから
つい食べちゃうんですよね
店員である中年女性に 話しかけられた女性は 恥ずかしいそうに小さく笑う
店員
ありがたい限りよ
女性
お手洗いお借りします
店員
女性はそう言うと席を立ち お手洗いへ向かって歩いていく
多良木音弥
女性を見つめていた音弥は 店員と目が合う
店員
あのお客さん
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
店員
店員
来てくれるのよ
店員
店員
食いっぷりには
毎回驚いちゃうわ
多良木音弥
そうなんですね
音弥はそれとなく お手洗いの方を見つめる
店員
多良木音弥
すいません
多良木音弥
店員
野暮じゃないかしら?
多良木音弥
そうじゃなくて
多良木音弥
店員
店員
店員
店員
あの量が入るのが
不思議でたまらないわ
多良木音弥
店員
店員
店員は音弥に そっと耳打ちする
多良木音弥
店員
声が大きい!
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
感じですけど
店員
愚痴ってたからね
店員
居ないはずよ?
多良木音弥
店員
してあげよっか?
多良木音弥
店員
中々イケてる顔してるわね
多良木音弥
音弥は照れたように笑う
音弥が店員と談笑していると お手洗いから女性が出てくる
女性
女性
女性はそう言うと テーブルの上に代金を置く
店員
店員
女性
多良木音弥
多良木音弥
音弥は残った料理を 口に頬張り
多良木音弥
(ごちそうさま)
音弥はテーブルの上に代金を置き 慌てた様子で店を出る
店員
ありがとうございます
店員
店員
店員
店員
音弥は店を出ると 女性を追いかけて走る
多良木音弥
女性
女性は背後に振りむく
多良木音弥
多良木音弥
女性
どうかされました?
多良木音弥
多良木音弥
女性
女性は突然の出来事に首を傾げる
多良木音弥
偶然あなたの事を
見かけまして
女性
女性は恥ずかしそうに 頬を赤く染める
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
女性
女性は驚いたように目を見開く
多良木音弥
女性
多良木音弥
多良木音弥
魅力を感じたんです
女性
多良木音弥
こんな事言われても
多良木音弥
思いますけど
多良木音弥
なりたいなぁ・・なんて
女性
したいって話ですか?
多良木音弥
多良木音弥
交換なんて
出来たらなぁ・・って
女性
多良木音弥
全然言ってください!
多良木音弥
言ったりしませんから
女性
女性は少し考えて
女性
多良木音弥
女性
じゃなくて
女性
多良木音弥
多良木音弥
女性
女性は恥ずかしそうに 小さく笑う
多良木音弥
よかったぁ〜・・
音弥は安心したように 胸を撫で下ろす
女性
多良木音弥
多良木音弥
人生で初だったんで
女性
多良木音弥
居ないって聞いたから
女性
聞いたんですか?
多良木音弥
いや、こ、これは、その
音弥は口が滑った事で 慌てたように言葉を詰まらせる
女性
おばさんですか?
多良木音弥
多良木音弥
女性
すぐ喋っちゃうんだから
多良木音弥
居ないんですか?
女性
嫌厭されがちですから
多良木音弥
多良木音弥
女性
ございます
多良木音弥
まだ名前を
言ってませんでしたね?
多良木音弥
って言います
女性
卯木莉子
(うつぎりこ)
って言います
多良木音弥
卯木莉子
LIME交換します?
多良木音弥
お願いします!