作者
作者
影山は打ちどころが悪かったらしく、しばらく目を覚まさなかった
当然、1週間後に迫っていたユース合宿も辞退することになった。
その間、僕は何かに押し潰されそうな日々を送った。
『このまま目を覚まさなかったら…僕は………』
常に心が重い。鬱陶しい。
1週間経ち、影山が目を覚ましたと山口に聞いた。
少し心が安堵した。 その後、見舞いに行った
だけど、僕は面会を断られた。 その後は先輩や友達を通じて容態を聞くことしかできなかった。
当然、か 自分に大怪我を負わせたやつなんかに会いたくないよね
影山が退院したあとも影山に会うことはなかった。
そして春高が目の前に迫っているのに僕は練習に行かなかった。
先輩も、仲間も、家族も、 誰も何も言ってくれなかったのが ありがたかった。
僕は自分を責めた。
もし、あの時僕がもっと早く車を見つけていたら。
もし、僕が事故にあっていたら。
どうして影山なんだ。
どうして、どうして。
月島蛍
月島蛍
月島蛍
月島蛍
月島蛍
ここ最近、ベッドの上に寝転がってそのことばかり考える
考え始めると止まらなくなって、寝返りを打つのも面倒になる
『事故がなかったら』とありもしない世界線の妄想をする。
ブブブブ…
月島蛍
電話の着信音が鳴る。 スマホの画面に表示された文字は 「山口忠」
月島蛍
そう言って、電話に出る
山口忠
慌てて電話を掛けたのだろうか そんな口調で山口は話す。
スマホからゴウゴウと吹き荒れる風の音が聞こえる。 外にいるのか。
山口忠
山口忠
喉がキュッとしまった感じがした
影山が退部…?
そのことを聞いて山口に答える間もなく、上着も着ずに部屋を出た
月島蛍
僕は影山の家に向かって走った。
今なら影山に会えるような気がしたから。
冷たい向かい風が吹く。 風が僕の体の芯まで凍えさせる。
呼吸をする度に12月末の冷たさが体内に入る。
頭から足の先まで冷たい。 さっきまでの暖かい部屋に居たぬくもりはもう既に消え去った。
それでも足を止めない
僕はさらにスピードを上げた_。
影山宅前
影山の家の前に1台の車が止まっていた。
影山母
影山飛雄
影山母
影山飛雄
影山飛雄
月島蛍
月島蛍
僕は自分でも驚くほど掠れた声で影山を呼んだ
影山飛雄
影山は目を開いて幻覚でも見ているかのように僕を見ている。
影山は松葉杖をつき、右足が包帯で巻かれ、固定されていた。
右目には眼帯、 そして左腕がなかった。
事故以来初めて影山の姿を直接見た。
容態は知っているのに、全身に鳥肌が走る。
これは寒さからではない。
影山母
影山のお母さんが困惑していた。 病院に初めて言ったとき、少しだけ話をしたことがある。
影山飛雄
月島蛍
影山は全く関係ないどこか1点を見ながら、そう言った。
影山母
影山母
影山のお母さんは少し戸惑ってから少しだけ考えたように黙った。 そのあと、承認してくれた。
そして、車の荷物を持って何も言わずに家の中に入った
__影山と二人っきりになった。
影山は片腕で傘を持って、俯いていた。
影山飛雄
何を話そうか考えてる内に影山が先に問いた。
何と言うべきか、迷っていても無駄だから正直に言う。
月島蛍
月島蛍
月島蛍
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
月島蛍
月島蛍
月島蛍
影山飛雄
影山は黙る。
月島蛍
僕は頭を下げた。
月島蛍
月島蛍
月島蛍
月島蛍
影山飛雄
月島蛍
月島蛍
月島蛍
もう一度深く頭を下げた
月島蛍
月島蛍
月島蛍
月島蛍
影山飛雄
月島蛍
僕は頭をあげた
そのとき影山が僕に抱きついた__
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