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イルマ(悪周期)

さあ、これにサインしてくれよ

イルマ(悪周期)

琥珀先生。

琥珀(コハク)

……

自信に溢れた笑みを向け 教室移動許可証を差し出す

私がなんの問題もなく ただ頼めば判を押すと思っているらしい

現に後ろには問題児の生徒達が 談笑しながら時折私達を覗いている

琥珀(コハク)

( 先生達からの報告では皆クリアだったからな。 )

琥珀(コハク)

( 私を抜けて、早くカルエゴ君の元へ行きたいのだろう。 )

琥珀(コハク)

はあ、私も舐められたものですね。

イルマ(悪周期)

は?

私のその一言で場が揺れた

琥珀(コハク)

申し訳ありませんが
イルマ様。

琥珀(コハク)

私は判を押しません。

イルマ(悪周期)

!?

リード

え!?なんっ…

琥珀(コハク)

私がカルエゴ君と同じ意見だからですよ。

アズ

そんな…!!

ジャズ

え、でも琥珀先生はイルマくんのSDなんじゃ…

琥珀(コハク)

私はサリバン様のSDであって、イルマ様のSDではありません。

琥珀(コハク)

言うなれば、イルマ様は護衛対象です。

琥珀(コハク)

SDではないのですよ。

イルマ(悪周期)

……

クララ

入間ち…コハち……

心配そうな声を他所に 何も言わないイルマ様に近づく

片手で掴む移動許可証を奪い 私はそれを眺めた

琥珀(コハク)

イルマ様、貴方が今悪周期に入っている事は見れば分かります。

琥珀(コハク)

しかし、いくらイルマ様と言えど、限度と言うものがあります。

琥珀(コハク)

あの教室はあの方の為に造られたあの方だけの教室。

琥珀(コハク)

それ故に王の教室と言われ、何人も入る事は許されないのですよ。

ビリビリと目の前で破り 炎で一欠片も残さず燃やす

目を見開き、驚いた顔をするイルマ様

その後ろで同じ顔をさせ 目に見えて顔を青くさせる生徒達

我ながら大人気ないと思うが あの教室はあの方の物

生半可な彼らに渡すなど私はもちろん アイツも許すはずがない

他でもないアイツから怒られるのは 御免被りたい

問題児

………

琥珀(コハク)

( …だからって少しやり過ぎたか…もな。 )

琥珀(コハク)

ですが、哀れな後輩が約束をしてしまった手前

琥珀(コハク)

他でもない私が許可証を破くなどフェアじゃありません。

琥珀(コハク)

なので、少しだけ思考を変えましょうか。

え?と豆鉄砲でも食らったような声が 何重にも重なって耳に届く

琥珀(コハク)

私の許可証の紙は必要ありません。

琥珀(コハク)

ですが、代わりに似たような条件を1つ。

琥珀(コハク)

私の判が欲しいのならカルエゴ君に判を押させる事。

琥珀(コハク)

それで私は良しとしましょう。

ジャズ

つまり…カルエゴ先生が判を押したら…

リード

もう琥珀先生に確認とか取らなくていいってこと…?

琥珀(コハク)

はい、そういう事です。

おお!!とあからさまに喜ぶ生徒達

子供は感情表現が豊かだよなぁ… なんて思いながらイルマ様に視線を戻す

不服そうな顔を浮かべ 苦虫を噛み潰したような顔のイルマ様

本来なら私の許可証も手に入れて カルエゴ君に王手をかけたかったのだろう

しかしそれは失敗に終わった

それが悔しい以外の何者であるか

一抹の光が見えた他の生徒達は そんな彼に気付きもしないのだろう

或いは気付きつつ 言葉が見つからず何も言えない者もいる

リード

入間君!早く職員室行こ!

イルマ(悪周期)

え、あ、ああ。

アズ

なっ!!私と行きましょう入間様!

クララ

私も私もー!!!

アズ

えぇい!邪魔だ、アホクララ!!!!

リード

別にみんなで行くんだからいいじゃん……

ジャズ

琥珀先生も行こうぜ!

リード

移動させたくないからって逃げちゃダメだからね!

琥珀(コハク)

逃げる等…人聞きの悪い。
私はそんな事しませんよ。

「 逃げる必要などないのだから___ 」

職員室に着くなり 私達を見て嫌な顔をしたカルエゴ君

そんな彼に許可証について説明し 呆れながら了承を貰い

カルエゴ君とイルマ様 2人の決着が始まった

イルマ(悪周期)

約束の「教員全員の許可証」だ、確認してくれ。

カルエゴ

……ああ、確かに教員36名分問題ない。

イルマ(悪周期)

残りは貴方のサインだけだが、これでサインしないなんて有り得ないだろ?

カルエゴ

他が揃えば私もサインする…故にサインしない。

カルエゴ君がそう言うと 本日2度目、空気が揺れた

リード

しなっ…えっなんで?

カルエゴ

決まっている、
足りないからだ。

ジャズ

琥珀先生のはさっき説明しただろ!?

カルエゴ

先輩のサインがあっても私はサインはしない。

カルエゴ

先輩の分があったところで、それでも足りないからな。

カルエゴ

私は「教職員全員の許可証」がいると言った。

カルエゴ

つまり、この悪魔学校に従事する全員が含まれるという事だ。

彼の言っている事が分かったのか 生徒達はずるいなどと申し立てする

そんな彼らとは反対に 私は笑みを隠せないでいる

アズ

琥珀先生…まさか…知っていたのですか…!?

琥珀(コハク)

はい、もちろん。

クララ

どうして教えてくれなかったのコハちー!!!

ジャズ

そうだそうだ!!

琥珀(コハク)

先程も言ったはずです、私はカルエゴ君と同じだと。

琥珀(コハク)

敵に有利な情報を渡すなど…有り得ないではないですか。(((ニヤッ

サブロ

しかし…!!!

琥珀(コハク)

そもそも聞かれても居ませんでしたし…問題はないでしょう?

イルマ(悪周期)

くっ…だが…それはいくらなんでも、

カルエゴ

粛に。先輩を責めても意味は無い。

カルエゴ

貴様らはいつもそうだ。

カルエゴ

面白そうだと簡単に手を出し、すぐ先輩に頼ろうとする。

カルエゴ

火を掴もうとする無責任な子供のようだ。

カルエゴ

貴様らが手を出しているのは、この魔界の礎を築いた御方が残した高貴な業火。

カルエゴ

この学園が守ってきた尊き遺り火に触ろうと言うのなら、門番としてその首を噛みちぎる義務がある。

カルエゴ

思考力のない者はただの道化だ、そして火の輪で身を焦がす。

イルマ(悪周期)

(((ゴクッ

カルエゴ

私からは以上ですが、先輩からは何かありますか?

琥珀(コハク)

何故私に振るのですか…全て貴方が言って下さったのでありませんよ。

琥珀(コハク)

ですが…良かったと安心しています。

リード

あんしん…?

琥珀(コハク)

あの教室に入るのは道化ではない事に安心してます。

カルエゴ

……ふんっアンタの方が余っ程酷い悪魔だな。

なんの事でしょう?と笑って返せば カルエゴ君は何も言わなくなった

けれどその空気は先程までの空気ではなく 少々落ち着いているように感じる

彼も少なからず安堵しているらしい

しかし、それだけでは終わらなかった

用務員

イルマくんいるー?

イルマ(悪周期)

え、用務員のおっさん?
どうした…?

用務員

イルマ君が困ってるみたいだから許可証を持ってきたよ!

イルマ(悪周期)

……ありがとう。

リード

はは、ここに来てプラス1

ジャズ

嬉しいけどねー…

用務員

なんじゃ足りんのか。
おーい、やっぱいるってよー

用務員の方がそう口を開いた瞬間 ゾロゾロと職員達が入ってきた

1人1人がどうやらイルマ様のファンで 許可証を持ってきたらしい

その雰囲気が昔の雰囲気と重なった

イルマ(悪周期)

感謝する!!

イルマ(悪周期)

さて、カルエゴ卿、琥珀先生。貴方方の主張は正しい。

イルマ(悪周期)

我々はまだまだ未熟でツメが甘く、琥珀先生に頼ってしまう節がある。

イルマ(悪周期)

だが、今日に限ってはこれが悪魔学校の総意らしい。

イルマ(悪周期)

書類が揃ったらサインしてくれるんだろ?

カルエゴ

〜〜〜〜〜〜っ

そうしてカルエゴ君とついでに私は サインをする事になった

それを見届けた時 職員室がドッと湧く

カルエゴ

はー……

ダリ先生

やられましたねw

カルエゴ

まったく、いつも思い通りにならん…問題児共め。

ダリ先生

琥珀先生も、今回は本気だったみたいなのに。

琥珀(コハク)

そうですね、悔しいです。

琥珀(コハク)

でも、

ダリ先生

でも?

琥珀(コハク)

まあ、良かったのかもなって少し思いましたね。

カルエゴ

…?

琥珀(コハク)

大丈夫か?コイツ。みたいな目やめてください。

その日、問題児クラスは 「王の教室」へ移動が決定した

サリバン様のSDはもう一人居たようで…?

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