ころん
こ、これは…ちが……ッ!
さとみ
…なんで、リスカなんかしたんだよ…ッ
ころん
っ…
さとみ
俺は…お前"には"リスカなんてしてほしくなかっ…
ころん
うるさい!
ころん
何にも知らないくせに…ッ
ころん
僕のなにも知らないくせに、分かったような口聞かないでよ!
さとみ
ッ!
ころん
もう帰る…ついてこないで
さとみ
……ころん…((ボソッ
さとみくんを振り切って、いつのまにか暗くなっていた帰り道を走る
通り過ぎる人は僅かだったが、必ず僕の方を振り向いていく
それもそうだろう。"泣きながら"包帯を持ってこんな夜中に走っている男なんて
誰もが振り返るはずだ
ガチャッ
家のドアを開けると、飼い犬のたぴちゃんが玄関まで迎えに来た
ころん
ただいま。たぴちゃん
わざと明るく振る舞い、話すことのできないたぴちゃんに、行動に対する返事をする
ころん
今,ご飯あげるね
そう言って、家に置いてあるドッグフードの蓋を開ける
たぴちゃんは、嬉しそうにしていた
お腹…空いてたのかな
ザザザッと、お皿にドッグフードを盛って、自分の部屋に入る
「ころーん、このパソコン、触って良いか?」
「一緒に第五しようぜ!」
さとみくんの、楽しそうに笑った顔が鮮明に思い出せる
ダメだ,この部屋は。
さとみくんとの思い出が染み付いてて…
さとみ
「お前にはリスカなんてしてほしくなかっ…」
ころん
「うるさいッ!」
ころん
ッ…さとみくッ……ッ
ころん
ごめんなさい……ッごめッ……ッ
部屋に立ちすくしながら泣いた
たぴちゃん
くぅーん?
ころん
…たぴちゃん……
ころん
僕ね…、さとみくんと喧嘩しちゃったんだ。
たぴちゃん
…
たぴちゃん
くぅーん…
ころん
…たぴちゃんもね、いつかわかるよ
この日、動画を上げる事はなかった
疲れ果て、寝てしまったから