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いつからだったのだろうか…
私が死んだのは、いつからだったのだろう…
遥来
彼の好きな曲を聴き
遥来
彼の好きな飲み物を用意し、一緒に飲み
遥来
彼の夢のために、彼を支える仕事を選び、
果奈
近所のおばさん
私は彼に染まっていった。
別に彼がよく聴くジャンルの曲は興味はなかった。真反対のジャンルの曲が好きだった。
彼が好んだ紅茶は私は苦手だった。 紅茶自体そんなに飲んでこなかった。
私にもしたいことがあった。 小さい頃から夢見ていたことが。 だけどそれは、彼の夢を叶えるほうが大事になった。
私という人間は、消えていった。 彼と付き合ってから…
だけども周りは、素敵だと言った。 彼と付き合うにつれ、彼に染まっていくことを。同化を。 それは愛の美談となった。 私の好みが変わったことなど何も知らないような人は、好みが同じってやりやすいねと羨ましがった。
だけど私にとっては違った。
私は殺されたのだ。彼に。 そして私はいなくなってしまった。消えてしまった。
私という人間は隅に追いやられた。 私という人間は遥来となった。
自分を取り戻したかった。 だけどそれは不可能に近いこと…
彼と離れたくない 彼が好きすぎて、私は自分を取り戻せない……
彼がいるうちは
——彼がいるから私は死んだままなのだ——
ある日私は生き返った。 自由になった。
だけど、彼という存在は前よりも深く、近く、強く、重くなっていた。
生き返っても、完全には抜け出せなかった。 結局は、私は彼に染まる運命だったのだ。 どんなに足掻いても、その分締め付けられる。
私の心に住み着いて離れない。まるでヒルのように、私に噛みつき、私というものを吸い取り、離れない。 厄介で…愛おしくて…
果奈
果奈
果奈
心に住む遥来に、毎日同じ質問をする
—あの日、生き返ったその日から—