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あれから3年
僕は水族館の従業員として
未だにこの水族館で海月担当をしている
今日も彼女は来ていない...
あれから3年も経つとゆうのに
僕は彼女の影を追っていた
水槽の中のクラゲ達は入れ替わり
もう何代目かも分からない
ただ変わらないのは
いつ見てもクラゲ達は綺麗だって事
あぁ、でも
見付けたのは僕の方かな
返事が出来ない相手だと分かっているけど
僕はポソリとクラゲ達に話し掛けた
もうすぐ閉館時間となる
僕は清掃などの業務を終わらせ
お客さんが残っていないか館内を見回る
館内を一通り見ても
特に異常は見られなかった
僕はクラゲ達に挨拶をして
薄暗い館内を後にした
いつもと変わらない帰り道
変わっているのは月の形と
流れる雲の量だけ
明日は勤める水族館に
新しいクラゲ達が来る
その為の準備もあり
明日は朝早い
僕は適当にコンビニで夜ご飯を買って
真っ直ぐに家へと帰った
翌日
クラゲ達の受け入れ準備も終わり
いよいよ新しいクラゲ達が仲間入りする
ミズクラゲ
彼女が1番好きだったクラゲだ
予定では5匹来るはずが
何かの手違いで1匹になったらしい
それに
小さな水槽に入った1匹のミズクラゲ
この子には色があった
オレンジに近い、薄い茶色
何年も海月担当をしているけれど
これだけハッキリと色付いた子は
初めて出会った
僕は笑顔で挨拶をする
すると
ミズクラゲは返事をするかの様に
ふわり...ふわり
薄茶色の体を揺らしてみせた
薄茶色のミズクラゲを
水族館の水槽へと移し替えてやる
新しい水槽に慣れる為か
ミズクラゲはふよふよ、くるくると
水槽の中をゆったりと泳いでいた
それから数日
少し困った事が起こっている
色付いた薄茶色の体は
ライトを浴びても綺麗だった
問題はそこじゃない
薄茶色のミズクラゲは
お客さんへの態度が悪かった
攻撃的だとか
そうゆう訳では無いのだけれど
いつも上の方に浮いてしまい
お客さんからはほぼ見えないのだ
ファンサがまるでなっていない
それが良い感じに広まったおかげで
全体図を捉えると幸せになれる
そんな噂のミズクラゲとなっていた
更に不思議な事に
僕が近付くとこの子は降りてくる
随分と懐かれているのは嬉しいけれど
やはり担当からすると
綺麗なこの子が見て貰えないのは
結構悲しかったりする
問い掛けても返事は無い
代わりにユラりと降りてくる
"だって...恥ずかしいから"
不意に聞こえてきた声に
僕は驚いて目を見開く
まさかクラゲが喋るだなんて
そんな事あるはずがないっ
自分に言い聞かせてみても
タイミング的にはこの子しか有り得ない
僕は目を擦り
もう一度ミズクラゲを見詰めた
いつも自分が磨いている水槽
ブルーのライトで照らされたそこに
懐かしい姿を見た
泣きそうになるのを堪え
僕はゆっくりと振り返った
そこに居たのは
黒いフードを被った
明るい茶髪の彼女だった
彼女はゆっくりとクラゲの水槽の前へ
僕の側へと歩を進めた
笑う彼女の顔がライトに照らされ
その淡い笑顔に胸が締め付けられる
3年前と
初めて言葉を交わした時と
全然変わらない笑顔
僕からも自然と笑みが零れる
少しおどけて言ってみると
彼女はまた、笑ってくれた
何だか心が通じた様で
僕の心は舞い上がっていた
ギュッと拳を握り締め
僕は彼女を真っ直ぐ見る
彼女に出逢ったのは
淡く照らされた海月の水槽の前だった
彼女を想ったのも
この海月の水槽の前
そして彼女と再会したのも
綺麗に色付く海月の水槽の前だ
僕にとってここは居場所であり
彼女にとっては通り道だった
これからは
2人の場所になればいい
まずは名前を聞く所から
海月が水を泳ぐ様に
ゆっくりと
〜fin〜
コメント
23件
待って誰のか分からんまま読んでって、 「うわぁこの人神だなぁ…フォローしよ…あっ、」 ってなったわ(訳:とてもエモくてよかったです)
やばいですよ、神ですやばいです😍 (うるさい) 再会しましたね、嬉しいです嬉しいです🤭 (なんでお前やねん) テキストの使い方も、雰囲気という雰囲気もすごいすごい綺麗で好きです😁 もう、もう、興奮状態です💭 (きもい)
おわーーーー!再会してる!再会してる!すてき!!! とってもすしですありがとうございますーーーー!! やっぱ水族館は最高ですね!!!(ダグありがとうwww)