テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
その日、雅哉は教室のドアの前で立ち止まった。
中からは数人のクラスメイトの 笑い声が聞こえてくる。
気配を悟られたくなくて、息を潜めたまま、 その声に耳を澄ませた。
クラスメイト1
クラスメイト2
クラスメイト3
クラスメイト2
クラスメイト1
……その名前が出た瞬間、 胸が強く締め付けられた。
雅哉は、ゆっくりと一歩、後ろに下がった。
――その輪の中に、和人の声があった。
和人
笑ってはいなかった。 でも、否定もしなかった。
和人
ただ静かに、その場にいた。 それだけで、雅哉には十分だった。
雅哉
唇を噛んだ。 心の中で何かが音を立てて崩れていく。
これまで積み上げてきたものも、 和人への想いも、 ぐしゃりと潰されたようだった。
雅哉
そのままドアを開けることなく、 雅哉は踵を返した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!